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「Nudge NFT Wallet β」開発秘話 〜ブロックチェーン技術の民主化を図り、ファンエンゲージメントの向上と、収益の多角化を狙う〜

Nudge(ナッジ)は、普段の買い物の支払いの際に使うだけで、好きな「クラブ」(アーティスト、スポーツチームや選手など)の応援に繋がるクレジットカードです。
また、利用金額に応じて応援する「クラブ」からオリジナル特典がもらえます。

2023年3月14日、ナッジカードに新たな機能が追加されました。アプリ内蔵型NFTウォレット「Nudge NFT Wallet β」です。
これにより、ナッジカードユーザーは、リカバリーフレーズや暗号資産の管理を気にすることなく気軽にNFTを楽しむことができます。

本記事では「Nudge NFT Wallet β」の概要説明とともに、その開発秘話についてナッジの担当者にインタビューした内容をご紹介します。

(2023年3月14日、ナッジ株式会社リリース記事)
次世代型クレジットカードNudge、「Nudge NFT Wallet β」を提供開始


Nudge NFT Wallet βの特徴

これまでNFTを購入・保管するためには、「MetaMask」などの分散型ウォレットをPCやスマートフォン端末にインストールし、リカバリーフレーズの管理やイーサリアムなどの暗号資産の購入が必要でした。また、一度リカバリーフレーズを喪失すると、二度とウォレットを開くことができないなど使い勝手が悪く、NFTが広く市場拡大する妨げになっていました。

「Nudge NFT Wallet β」は、これらブロックチェーン技術特有の使い勝手を改善すべく誕生した、ナッジアプリに内蔵されたNFT特化型ウォレットで、以下が特徴です。

1.ログインは生体認証のみで、パスワード・リカバリーフレーズ不要

「Nudge NFT Wallet β」はパスワードやリカバリーフレーズの自己管理が不要です。生体認証でナッジアプリにログインするだけで、簡単にウォレットが利用できます。

2.暗号資産不要でNFT入手、外部ウォレットへのNFT送付可能

入会金・年会費無料のナッジカードに申し込むだけで、一切の金銭的な負担なくウォレットが開設でき、NFTを受け取ることができます。カード利用特典として入手したNFTを転送する場合にもガス代(トランザクション手数料)の負担は不要であり、暗号資産の購入や管理を気にすることもありません。

3.クラブオーナーは無料でNFT配布できる

ナッジにクラブを開設したクラブオーナー様は、2023年内であればナッジアプリを通じて無料でNFTをユーザーに配布することが可能です。デジタル素材のご提供のみで、簡単にご利用いただけるソリューションです。


Nudge NFT Wallet βの主な機能

このウォレットの主な機能は以下の3つです。マス層に向けたNFTウォレットながら、Polygonブロックチェーン上で稼働するWeb3.0に相応しい本格的な分散型ウォレットとなっています。

ナッジ開発担当者インタビュー

ナッジ株式会社、開発担当者の大塚和慶さん、Nguyen Hoang Phuさんの2名に「Nudge NFT Wallet β」の開発秘話についてインタビューしました。

導入のきっかけ

(質問1)
ーーNFTウォレット機能をナッジカードに実装する計画はいつから始まりましたか?また計画したきっかけはなんでしょうか。

NFT(Non-fangible token)は、ブロックチェーンを活用することでデジタル資産にオーナーシップをもたらす革新的な技術です。クリエイターエコノミーやファンエコノミーに新たな可能性をもたらすとして、2020年頃から世界中で注目が集まっていました。
ナッジは「好き」を応援する次世代型クレジットカードであり、アプリを通じ、日々のキャッシュレス決済の都度、ファンがアーティストやクリエイターを身近に感じられる仕組みを提供しています。ナッジのサービスとNFTは、コンセプトから非常に親和性が高いと考えていました。

NFTに関する取組みは、株主であるソニーさんから「NFTに関する勉強会をやってほしい」とご依頼いただいたのがきっかけです。その後、2021年12月に「NFTコンソーシアム」を立ち上げ、NFTやWeb3に関する情報の偏在の解消や、安心して最新の技術に関する知見を得られるオープンな学びの場として、これまでに9回の勉強会を開催しました。毎回、法律・税務やテクノロジー、ビジネスまで、各分野の第一線でご活躍される方々を講師にお招きし、60社以上、200名を超える方々に参加頂きました。

Nudge NFT Wallet βは、こうしたオープンイノベーションで得られたインサイトを基に開発された機能です。

(質問2)
ーーNFT機能を追加したのは、クラブオーナーやカードユーザーのニーズがあったからでしょうか?あった場合、どのようなニーズだったんでしょうか。

コンソーシアムで講師や参加企業の方々と議論していく中で、「NFTに関心はあるけれど、販売や配布を実際に始めるには不安がある」という声を多く聞きました。実際に、NFTに関する事業を始めるためには、暗号資産の取扱いや、法務面・技術面での対応など多くの課題がありますが、なにより、ブロックチェーン特有の”とっつきにくさ”があります。

ユーザー視点でも、MetaMaskなどの分散型ウォレットの開設やリカバリーフレーズの自己管理、NFTの転送や二次販売のためにユーザー自身にて暗号資産の購入・保有が必要になるため、これまでクリプトやNFTに触れたことがない方にとっては大きなハードルになっていました。

そこで、ナッジカードに入会したユーザーが、リカバリーフレーズや暗号資産の管理を気にすることなく、気軽にNFTを楽しむことのできるプロダクトとして、ナッジアプリ内蔵型NFTウォレット「Nudge NFT Wallet β」を開発しました。

今回のNudge NFT Wallet βのリリースによって、これまでNFTに関心はあったものの分散型ウォレットの取扱いが難しいと感じていた方や暗号資産の管理に不安にあった方にも気軽に始めやすく、分かりやすいWeb3体験をお届けします。

(質問3)
ーー導入にあたり、国内外で参考にされたサービスはありますか?

近時では、「Web2.5」というフレーズがよく囁かれています。これは、Web2とWeb3の中間を示す言葉で、NFTのマスアダプションを目指していく上では、純粋なWeb3のプロダクト・サービスで克服できないUX状の課題を、Web2の強みであるユーザーの利便性やサポートも活かして解決していこうというコンセプトを意味しています。

現在では、多くの企業が自社アプリとウォレットを連動させたり内蔵させることで、Web2.5のアプロ―チを採用していますが、Nudge NFT Wallet βもこうしたWeb2.5のコンセプトにのっとり、「初めてでも安心で、使いやすいNFTウォレットを通じたNFT体験の実現」を目指しています。

(写真:NFTプロジェクトリーダー 大塚和慶さん)


NFT活用の目的

(質問4)
ーーNFT機能をナッジのサービスに活用する目的を教えてください。

ナッジにクラブを開設したクラブオーナー様は、ナッジアプリを通じて無料でNFTをユーザーに配布することが可能です。このNFTをナッジカードの利用特典としてクラブのファンにお渡ししたり、リアル会場に来てくれたファンにだけNFTを配布したりするなどして、ファンとのタッチポイントをさらに増やすことができます。

(質問5)
ーーNFTを導入することのメリットはなんですか?クラブオーナー側、ユーザー側それぞれの目線で。

例えばライブやスポーツの試合などのリアルイベントで参加記念NFTを配布することで、特定のNFTを保有するユーザーに特別な体験をお届けすることができることがメリットです。
クラブオーナー視点では、限定NFTを全て収集した熱量の高いファンに限定してプレミアムな特典や体験をお届けすることができますし、ユーザー視点では、まさにスタンプラリーのように”集める楽しさ”を体験することができます。

ウォレットの機能について

(質問6)
ーープライベートチェーンではなく、パブリックチェーンのPolygonを選択した理由を教えてください。

パブリックチェーンであるPolygonを活用したのは、PolygonのDAppsが活用できるためです。従来のWeb2の発想では、異なるシステム間でのデータやコンテンツのやり取りをすることは困難でしたが、Polygonチェーンを活用することで、自社で保有していないマーケットプレイスやSNSでも、ナッジで受け取ったNFTを使うことができるようになります。Web2.5のコンセプトで楽しみやすいUXを実現しつつ、受け取ったNFTをMetaMaskなどの外部ウォレットに転送することで、受け取ったNFTを活用できる幅が広がるため、Polygonを選択しました。

(質問7)
ーーガス代は2023年中はナッジ負担とのことですが、将来オーナーやユーザー側でガス代を払うことになりますか?その場合、MATICは必要となりますか?必要となった場合、ナッジのアプリ内で決済可能でしょうか?

ガス代については、将来的に機能が拡充していくとともに一部課金する可能性もありますが、その際にも暗号資産での支払ではなくカードのご利用料金にのせるなど、UXを損なわない形にしたいと考えています。

今後、できるだけ多くのクラブに気軽に始められるNFTの配布システムとしてNudge NFT Wallet βをご活用頂きたいですね。

NFT流通について

(質問8)
ーークラブオーナー側で、自由にNFTが発行できるのでしょうか?ナッジの審査等はありますか?

ナッジのクラブオーナーは全員、NFTを配布することができます。2023年中は無料ですので、どなたでも気軽にNFTを作成して、ファンやサポーターに特別な体験をお届けすることが可能です。

現時点では、クラブオーナーの方からのご要望に応じて、ナッジの運営側でカード特典にNFTを設定したり、ユーザーへの配布を行ったりしていますが、将来的には、NFT以外も含めて、クラブオーナー様がご自身でカードのクラブ会員証をアップデートしたり、カードの利用特典を更新するなど、自由なカスタマイズができるような姿を目指しています。

(質問9)
ーーMetaMaskにナッジNFTを送り、Openseaで売却した場合、ロイヤリティ収益はNFTを発行したオーナーに支払われる仕組みでしょうか。

NFTを配布したクラブオーナー様は、OpenSeaでNFTが二次流通した場合のロイヤリティを収入として受け取って頂けます。デジタルトレカNFTをカードの利用特典としてガチャで配布し、その二次流通から副次的な収益を獲得することも可能な仕組みになっています。

(写真:NFTプロジェクト開発リーダー Nguyen Hoang Phuさん)


お客さまの声

(質問10)
ーークラブオーナーはどのような反応でしょうか?

クラブオーナーの方には、とても始めやすく分かりやすい仕組みとしてご好評を頂きました。音楽フェスで実際にアプリを通じてNFTを配布した際には、これまでにない取組みとして、運営スタッフの方や来場された音楽業界の関係者の方にたくさんのご質問をいただき、こちらも気付きやアイデアが湧く貴重な時間となりました。
また、近日開設予定であるNeo Tokyo Punks様のクラブについて打合せを行っている中では、ナッジの目指すWeb2.5的なアプローチについて強く共感していただいています。

(質問11)
ーーユーザーはどのような反応でしょうか?

実際にライブ会場で実際に配布した際には「こんなに簡単にNFTが受け取れるんだ」という声をいただきました。開発チームと密接に連携して、NFTのスムーズな受け取りには徹底的にこだわり抜いているので、そうした感想をユーザーの方から頂けるのはとてもうれしかったです。

NFT機能開発秘話

(質問12)
ーーサービス開発にあたり、最もこだわった点はなんですか?

こだわったのは「分かりやすさ」と「扱いやすさ」です。NFTはデジタルデータの所有に最大の特徴がありますが、せっかくNFTを受け取っても、暗号資産を持っていないと他のウォレットに転送することすらできません。こうしたUX面での課題を解決することが最大のテーマでした。

また、ブロックチェーンの特性上、NFTの作成や受取りには、トランザクションの実行のためのタイムラグが発生する場合があるなど、システムの挙動の安定性確保が重要になります。Phuさんをはじめとする開発チームの努力があって、この点はかなり理想形に近い形で実装できていると思います。

(質問13)
ーーサービス開発にあたり、最も苦労した点はなんですか?

暗号資産がなくてもNFTを受け取ってトレードできるウォレットというのは、これまでにない新しいプロダクトです。ガス代を自己負担しなければならないというのは、パブリックチェーンで発行されるNFTの常識でもあったので、そうした常識をくつがえすための様々な工夫をしています。

開発面だけではなく、法務や経理も含めて、企画当初は本当に多くの課題がありましたので、そうした中での「生みの苦しみ」全てが苦労した点ですかね(笑)。週末ずっとNudge NFT Wallet βのことだけを考えていた時もありました。

今後の展開

(質問14)
ーー今後どのようなNFT配付を予定していますか?

「Nudge NFT Wallet β」を活用し、次のようなキャンペーンやユースケースを用意しています。

①アーティスト
『打ち鳴らせ、魂動』をテーマに新しい音楽フェスシーンをお届けするSAMURAI SONIC。3月26日に東京ドームシティホールで開催される「SAMURAI SONIC vol.4」にて、ナッジユーザーに限定デジタルバッジNFTを配布しました。また、NFTを受け取った方の中から抽選で1名様にチケット代をキャッシュバックするキャンペーンを行いました。

②NFTプロジェクト
国内屈指のNFTコレクションである「Neo Tokyo Punks」のクラブが開設準備中です。「Nudge NFT Wallet β」を通じてオリジナルNFTがもらえるカードの利用特典をご用意しています。

③アニメ・Vtuber
クラブから発行された特定のNFTを保有するユーザーには、毎月撮りおろしの着ボイスや限定イラストを届けるツールとして活用可能です。

④SDGsプロジェクト・NPO支援
社会事業に貢献した証として、NFTを配布し、それを保有するユーザーを対象に、活動報告・お礼メッセージの追加配布や、ボランティアへの優先参加権の付与を行うことができます。

詳しくは、以下のサイトの「ジャンル別活用モデルケース」をご参照ください。
https://nudge.works/news/NFT-wallet

(質問15)
ーー追加で実装予定の機能があれば教えてください。

今後は、NFTを通じたユーザー体験(UX)の更なる向上のため、Nudge NFT Wallet βの更なる機能向上やUIの改善を行うとともに、Nudgeのアプリ上において、NFTの販売やユーザー間での売買が可能となるような仕組みについても検討を進めていきます。

(質問16)
ーーNFTに取り組むことで、今後実現していきたい世界観があれば教えてください。

ナッジは、Nudge NFT Wallet βを通して、これまでにない新たな金融体験をユーザーに提供すると共に、アーティストやアスリート・スポーツチーム、NFTプロジェクトをはじめとするIPホルダーが、NFTを活用することでファンエンゲージメントを向上させ、収益を多角化することを目指します。

Web3の中核技術の一つであるNFTが、気軽に安心して楽しめる仕組みを提供することで、少しでも多くのユーザーに新しい体験をお届けし、Web3のマスアダプションに貢献したいですね。


終わりに 〜日本におけるチャレンジャーズバンクを目指すスタートアップ「ナッジ」に、今後も目が離せない〜

最後までお読みいただきありがとうございました。

ナッジは、さまざまなクラブオーナー様と一緒に、「未来の金融体験を創る」会社です。

特に、Web3時代の主役となるZ世代に向けて、キャッシュレス機能の提供のみならず、気軽にNFTを体験できるweb3ゲートウェイとしてのプロダクトを目指していきます。

少しでもナッジにご関心あれば、お気軽にご連絡ください。

取材:山咲かもめ


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