起業のススメと簡易マニュアル

大学で研究や教育に関わる方で、起業を目指す方を想定して作成しました。ある程度、一般的な方々にも利用できる部分があるのではと思います。いくつかのメモやマニュアルを統合しただけなので、常体と敬体が混合しており、今後随時清書していきたいと思います。

起業をオススメする理由

法人格を持っていると、B to B(business to businessの略、企業対企業)の取引が円滑になります。また、研究費での購入が面倒な物品の支出が可能になります(例:100円ショップの現金精算など)。その他、自分自身に報酬を入れないこともできる(=個人としての確定申告不要)など、研究活動の幅が広がります。

法人の収益がどれだけ多くなっても個人の報酬をゼロや100万円未満にすることも可能です。脱税や抜け道などではなく、正当な経営判断として自由に裁量できます。このことは、個人の収入を扶養の範囲に収めたい方にも最適です。

起業のメリットは、経費や収入の裁量が可能であることや、仕事の幅が広がり収入をアップすることができます。定年後も仕事を続けることができ(そもそも定年の概念がなく)、人生に大きな余裕が生まれます

設立の簡易マニュアル

以下、大まかな会社設立の手順です。

・クライアント:まずは仕事を依頼してくれる人や法人が必要です。

・法人の種別を決める:まずは合同会社で十分です。株式会社には、消費税を払いそうな時に(法人設立より2年未満、もしくは年商1000万未満は消費税免除)組織変更、もしくは新規に設立することもできます。

・定款を作る:ネットにテンプレートが多いです。社名や仕事の内容、登記住所(自宅、賃貸でもOK)など基本的な情報をA4で1~2枚くらいの分量です。電子定款にすると4万円削減できます。

・法人印を作る:社印、認印、銀行印のセットで最近は1万円未満です。通販での購入が基本です。

・通帳の作成:個人名義、どの銀行でもOKです。資本金をその通帳に振り込みます。資本金は10万円程度で良いです(上記の印鑑、以下の印紙に必要な金額以上にしておくと便利です)。

・法務局に行く:印紙が最低6万円必要です。印鑑証明と全部事項証明を各3通くらいもらっておくと、税務署や口座開設などに便利です。

・法人名義の銀行口座を開設:個人と違い、一般的な銀行は毎月ネットバンクの月額利用料が徴収されてしまいます。振込手数料の安い銀行(ゆうちょ銀行、楽天銀行など)がおススメです。ゆうちょは設立から6ヶ月後より手続き可能です。

税務の簡易マニュアル

・税務署に行く(開業届):法人登記が完了したことを知らせる必要があります

・帳簿を付け始める:まずは、設立費用(印紙や印鑑)より。交通費も可能。税理士さんを頼らない場合は、会計ソフトウエアなどが必要。1.5~3万円くらい。税理士さんに依頼の場合は月1万円程度より

・決算手続き:年に1度。オンラインでも可能だけど、数ヶ月前には準備を。帳簿付けが甘いと(何のためにお金を使ったか覚えていないなど)、かなり大変。税理士さんは10万円程度より。1万円のソフトウエア(楽々法人税)などで自力でも可能

・税金の支払い

無理のない進め方

前述の通り「クライアント(仕事を依頼して下さる法人や個人)」がいることが重要です。

在宅業務の方(雇用ではない方)

個人事業主を申請することで独立の一歩になります。青色申告できるように申請すると、大きな節税にもなります(65万円の控除)。そのためには、複式簿記のできるソフトウェア(無料版もあり)を使用する必要があります。税理士さんへの依頼をすることも可能で、年額10万円程度が相場です。個人事業が軌道に乗ったら、また当初より会社設立という選択肢もあります。

当研究グループの研究員もしくは他より給与を得ている場合

現在の給与所得に加えて、当グループからの業務を別途引き受けることが第一歩になります。在職中に会社設立をして、業務や研究(統計解析や報告書作成など大学の機材を利用しない部分など)をその会社の受託とすることもできます。

当研究グループからの業務の事例

・事務、秘書的業務
・研究レビュー:文献の調査、報告書の作成、機能性表示食品申請のサポート
・ヒト試験:統計解析や報告書、論文作成等。質問紙であり人数が少ない場合は、完全に独立して実施も可能。採血が必要な場合もDEMECALの利用も可能。

Q&A集

Q:個人にお金を入れたい
A:可能。役員報酬として。設立や決算の3ヶ月以内に決めたら、1年間は変更不可。

Q:身近な人に知らせた方が良い?
A:あまり良くない。法的に問題なくても、嫉妬を最も恐れるべし。家族の理解は得られる必要アリ。

Q:所属機関への届出は必要?
A:就業規則を確認して、記載がない場合も理解が得られていた方が良い。普段の業務に支障がないことと、守秘義務の徹底も。


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