もう31歳、まだ31歳。
26という響きに自分自身が動揺している。かつての私が想像していた26歳の図と現在の私があまりにも剥離しすぎて実感が一切湧かない。26歳ってもっと大人っぽくて格好良くて凛として颯爽として飄々としてカツカツしているイメージで。なんなら10年前に描いた私の未来予想図ではすでに2児の母の予定だったんだけど、あれは「カ・ン・チ・ガ・イ」のサイン?
そんな26歳のあの頃から5年が経過、わたしも今日で31歳です。ハ・ヤ・ス・ギ・テ。
20代後半くらいは、アラサーという言葉になんとなく恐れを感じていた。30代からはマジで代謝落ちるからね、身体の無茶きかないからね、転職がシビアになるからね、結婚相談所は20代割きかなくなるからね、マッチングアプリのいいねもすっげー減るからね。そんな先輩各位の多様な脅しに戦々恐々。
からの、いよいよ正真正銘サーになった昨年。
なってみたら、なんというか、それ以上でも以下でもなくただ30歳だった。
諸々の衰えや年齢のプレッシャーを感じるような(ライフ)イベントがそんなになかったとはいえ、それでも「もう26歳……!」と焦燥感で爆発しそうだった5年前を思うと、ちょっと拍子抜けするくらいにはただひたすらに30歳。
こう言うと、少し年齢の離れた先輩方から「正直30歳なんて20代後半とさして変わらない、本当に大変なのは35を超えてから」と返されることもある。
ここで思い出すのは、介護施設に勤める友人の言葉。
「75歳の方に80半ばの方が『75なんてまだまだ若い、本当に大変なのは80超えてからだよ』って言ってたわ」
この手のやり取りは、最高齢でギネスに載らないかぎり続くものだと思うことにした。
26歳ブログを書いた自分は、文章からもありありと伝わるほどに「もう26歳」への焦りに捉われていた。
”若さ”の恩恵を受けることもある一方で、年齢に対する妙な重圧を感じることもどんどん増えていた頃だと思う。
思い返すは25歳の駆け出しライター時代、クライアントから叱責を受ける際に「あなた、25歳でしょ?」と言われたこと。副業のキャバクラで「25歳かぁ……」と苦笑されたこと。
あぁ、25歳ってきっと”ギリギリ”なんだ。
はやく年相応の立派な大人にならないと。
若さや経験を言い訳にしない”デキる”ライターにならないと。
年齢でがっかりされないよう自分を素敵に磨かないと。
”みんな”に認めてもらわないと。
書いてる自分が焦燥感で溶けだしそう。もともと常人の500倍(当社比)は怠惰な人間だけど、あのときはとにかく焦りをガソリンにとにかく大爆走して頑張った。
朝キャバで早朝から黒霧島開けて昼からガリガリ原稿書いてたの、今からはちょっと信じられない。あれが、つまり若さ……?
(朝キャバ嬢ブログ)
”あの頃の若かりし自分ががむしゃらに頑張ってくれたから、今わたしは肩の力を抜いて自分らしく生きることができている――”
みたいなことを昨晩ドヤって書いてた30歳の自分を沈めたい。
アップせず下書き保存で終了しといて本当によかった。自己嫌悪で翌朝吐かずに済んだ。「随分いい感じにまとまったけど本当にこれか……?」と考えてみたら、違う違う、キレイにしすぎた美談美談。コトがそれほど簡単ならば、この世からとっくに戦争はなくなっているのです。
確かに、あの頃の自分ががんばってくれたから、今わたしは肩の力を抜いて自分らしく生きることができている。
要約すると、あの頃(というかここ5年)の自分がせかせか働いて貯めたお金があるから、今わたしは脱力ニートができている。「自分らしく」も何も、ただ現在頑張る目標や対象がないから元々のド怠惰な自分でいても特に問題ないだけで。
年齢、というか経験と年月を重ねるごとに、生きやすくなった感覚は間違いなくある。多方面でよく聞く「加齢とともに生きやすくなる」とはこのことか!と感じることもある。
いろんな経験を積んで、自分のことがよく分かったでしょ。
「好き・得意・できる」も見えたでしょ。
「嫌い・苦手」はつらいでしょ。
心穏やかで健やかな生き方が最優先でしょ。
だから安全圏で適度に情熱注げるものを探しましょ。
それが賢いオトナの生き方!
その結果、「何もしない」という(超短期的には)最強の安全圏でヌクヌクとしているのが今である。
バカ野郎。その「もう31歳」なドヤ面ぶん殴りたい。
自己啓発ドハマりで「圧倒的成長!負荷に感謝!つらい気持ちは成長痛!」なメンタルだった大学時代や20代前半頃に戻りたいとは思わない。自分の心を騙し騙して無理に鼓舞して忙殺することは、わたしにはゆるやかな自死行為だった。
その反動か、あるいは加齢によるものかは分からないが、31歳、今の自分は「めっちゃ守り」な感覚がある。傷つくのが怖い。できるだけ省エネで事なきままに暮らしたい。欲しいものは負荷より平穏。
今いちばん迷っているのは仕事、そして働き方。本当に、もうものすごく迷っている。そしてこういう迷いの時は、大体浅はかで安牌な方に流れてしまうのが我の常。
が、選ぼうとする仕事・働き方がド守りになると「本当に?? 本当にお前はこれでいいのか!!?!?」と心で飼ってる松岡修造が叫ぶ。
これでいいのか!!? お前そうじゃないだろう!!?? 合言葉は「努力友情勝利」だろう!!?!? それはさすがにちょっと安牌すぎやしませんか!!!?!?!?
そんな冷静と情熱のあいだという名の無間地獄にいます。
0か100かの世界ではなく丁度いい落としどころはあるかもだけど、未だに頭でぐるぐるモタモタしちゃう。年齢・経験を重ねて賢くなったつもりでいても、実はただビビりに拍車がかかっただけだコレ。ダサいね。
「もう31歳」じゃ全然なかった。まだまだド未熟31歳。
自分のことすらまだまだ分からない。悟りなど程遠い。迷うし比べるし焦るし焦る。多少知恵をつけたところで元がアレだからプラマイゼロ、むしろマイ。
最適解なんて全然見えない。だから結局、引き続きのトライ&エラー&挫折&停滞&奮起&トライ(以下しばらくループ)になる気がするな。人生ってややこしいなこの野郎。
でも、まだ31歳。ファイトだわたし。
大丈夫、75歳でもまだ若いらしいし。
読んでくださってありがとうございます◎