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ジムバトル優勝ロトムVSTARの備忘録

 先月末、仕事終わりにふらりと寄ったジムバトルで望外にも優勝することができました。人生初の優勝です。

デッキ選択の経緯

 使用したのはロトムVSTARデッキ。組んで1週間ほどしか経っておらず、試運転のつもりで出たジムバトルでまさか優勝できるとは、正直思ってもみませんでした。
 それもこれもすべてデッキの力にあると思っています。デッキを組むにあたっては、シャリンさんのnoteを大いに参考にさせていただきました。

 横浜CLベスト8に輝いたデッキなのですから、それは強いわけです。雷弱点となるパルキア裏工作が多いであろう環境で、ギラティナにもスピードで勝るアグロ性能があり、ミュウVMAXもさほど苦労なく一撃で落とせる瞬間火力がある。非V対面が多いと辛いものの、V相手には滅法強い、紛うことなき勝ち組デッキであったと思います。
 私は、シャリンさんの2種ある構築のうち1種と58枚同じにしています。具体的なレシピはシャリンさんのnoteに書いてあるので、ここでは明かしません。ロトム組みたいと思っている全人類は上記noteを読むべきです。

 ただ、世に公開されているレシピのなかで近いものを挙げるとすれば、ポケカ公式チャンネル・ライチュ梅川さん考案のものになるかと思います。

 いわゆる、あくの塔型ロトムです。
 ただ、ライチュさんの構築は思想の上では「似て非なるもの」だと考えています。
 ライチュさんの構築でも安定して強く戦っていけるはずですし、ツツジを2回撃てるゲーム運びができれば劣勢さえも覆せるかもしれません。が、ほんの僅かな違いによって、終盤の最後のひと押しが足りなくなってしまうおそれも孕んでいるのではないかと個人的には感じています。それについては後述します。

 このデッキ、とにかくたくさんドローできるのが楽しくて仕方ありません。あくの塔でいちげきのカードをトラッシュして2枚。ナイトアセットで最大6枚。博士の研究で7枚。セレナで最大5枚。ガラルフリーザーVのさいこうちくで1枚。攻撃せずに番を返す最初のターンはロトムVの特性きゅうそくじゅうでんで、ふとうのつるぎよろしく3枚。極めつけはロトムVSTARのVSTARパワー「へんかんスター」で、任意にトラッシュした枚数ぶんのドロー。試合が終わるころには基本的に山札をほぼ掘りきるくらいまで行きます。フィニッシュでは400ダメージ以上出ることも稀ではありません。逆に掘れない試合は、弱点を突ける水デッキ相手の試合以外では負けているでしょう。
 エネルギー加速手段にマルマインが採用されているのが天才的で、基本的に特性エネエネはつでんは1回しか使いませんが、進化前のビリリダマがいちげきのカードとなっています。つまり、余ったビリリダマは手札に巻物がないとき、あくの塔で2枚引くための緊急のドローソースにもなる。60枚、役割が有機的につながっていて、本当に無駄がないシナジーを持ったデッキとなっています。
 ただ、このデッキを回してみての感想は「楽しい」だけではありませんでした。たしかにやることは単純で明解ですが、このデッキ、いざ対面で試合をしてみると思った以上に頭を使うし難しい。使いこなすには相当の練度を要する奥の深さがあるように感じました。

当日のマッチアップ

9.30ホビーステーション溝口店ジムバトル

使用デッキ:シャリンさん式ロトムVSTAR改

1.パルキア裏工作 先6-3勝
2.リファイン型れんげきテンタクル 先6-4勝
3.パルキア裏工作 後6-3勝

優勝🏅

 ご覧の通り2回もパルキアに当たる有利マッチでした。純粋にプレイングというよりデッキ選択の勝利でしたね。しかし、だからといって優勝までの道のりが決して楽なわけではありませんでした。

初戦 パルキア裏工作

 ロトムスタートできて、ハイパーボールでロトム2体目を置けたものの手札が細い状態でした。パルキア戦ではベンチを広げるとロトムが一撃で倒されてしまう圏内に入ってしまうため迷った末に、2枚目のハイパーボールからクロバットV、ナイトアセットでドローしたところ完璧につながってくれました。マルマイン込みでロトムを3面完成させてツツジ。最後お相手はパルキアで殴れずゲッコウガを前に出して延命を試み、ツツジの応酬でこちらの手札にあったセレナを流してきましたが、2-2-1-2と取っても十分に勝ちきれる構え。たまたまツツジで引いたのがネオラントだったのでルミナスサインからセレナを奪還して、裏のパルキアVを呼んで2-2-2と取りきりました。

2戦目 リファイン型テンタクル

 相手のマリガンでリファイン型テンタクルが見えて不利なマッチを覚悟しました。というのも、ロトムVSTARは耐久力に難があり、どちらかというと非V対面が苦手。もちろんマルマイン自爆からのツツジという凶悪なハンド干渉があるため悲観しすぎることもありませんが、LTB対面以外はほとんど練習してこなかったので完全にアドリブでした。そもそも連撃テンタクルと当たること自体が初めて。リファインテンタクルについてはTier4チャンネルさんで見たことがあったので、それを思い出しながらのプレイになりました。

 ゲームプランとしては、相手が2-2-2と3ターンで取りきってくることが予想されるため、サイド2枚を取られる前になるべく3枚取れるよう絶対に攻撃を途切れさせないこと、そして2枚取られた返しにエネエネはつでんからツツジを撃って手札を事故らせること。
 幸運なことに、相手は初手にVIPパスが引けずなかなかベンチ展開できずで、苦しい展開。相当事故っているようでした。こちらは裏の非Vを呼べるボスの指令もないので先2からスクラップパルス素点で前を倒し続けて祈るだけ。祈りが通じて相手のワザ宣言が4手目まで遅れてしまったので、ロトム3面+学習装置とマルマインのほぼ詰み盤面ができて、ツツジを使う前に勝利することができました。

3戦目 パルキア裏工作

 そして生涯初めての決勝卓。せっかく有利なパルキア相手だったのに、こちらはネオラントスタートという微妙な展開。しかも最初の山札確認でロトムV1枚とロトムVSTAR2枚がサイド落ちしたのが見えて絶望しました。このデッキにはヒスイのヘビーボールが入っていない(なにせどうぐをトラッシュできないので)ということもあり、これらのメインアタッカーを救出するにはとにかくサイドを進めるほかありません。
 しかも、初手の手札にはロトムVSTAR。ロトムVSTARは3積みなので、もう山札にはVSTARが1枚も残っていないことになります。最悪ロトムVだけでも戦っていけるのが優秀ではありますが、耐久が低く、こちらがベンチ1体に絞ったとしてもやまびこorベルトorシューターで落とされてしまうおそれがあります。なんとしてもお守りつきロトムVSTARで1ターン耐える展開を作りたい。
 そのため虎の子のロトムVSTARを後1に博士で切ることもできず、博士を後2以降に回してサポート使用なしでなんとかベンチにロトムV1体を用意し、きゅうそくじゅうでんを使ってターンエンド。先2クロススイッチャーからロトムVにあくうのうねり180が飛んできたので、ベルトかアメ+シューターを引かれていたら負けていました。ここは運がよかったとしかいえません。
 ここからは反撃の展開。サイド落ちは悲惨でしたが、逆にいえば後続のロトムVとロトムVSTARがサイドに沈んでいることで、不用意にアタッカーが博士の研究などのコストになることなく、後2以降はバンバン山を掘ることができました。セレナでベンチのパルキアVSTARを呼んで倒した後は、ひたすらサイドから後続を引けるのを信じてアグロ。
 パルキア2体を倒してVSTARを2体救出、へんかんスターは温存したまま取ったサイド4-2で迎えた相手のターン、雪道ツツジアクアバレットを繰り出されて番を返され、こちらのトップドローがクロバット。雪道を消す悪の塔も裏を呼ぶセレナも引けずにその番でのフィニッシュとはなりませんでしたが、場には120ダメージを負ったおまもりロトムVSTAR(2エネ)と、20ダメージを受けた学習装置ロトムV(エネなし)。その横、ベンチに元からいたマルマインにも学習装置で逃げエネを兼ねて基本雷エネを1枚つけてありました。
 このとき山札には、相手のツツジによって基本雷エネが1枚戻されています。
 エネエネ発電はベンチにいるときにしか使えないため、マルマインにつけておいた1エネが活きました。
 次の相手の番、

(1)前のロトムVSTARが倒された場合
→学習装置の効果+エネエネ発電→ロトムVが起動してトドメ

(2)ロトムVがボスで呼ばれて倒されず前に縛られた場合
→エネエネ発電でロトムVに1エネつけて逃げ→ロトムVSTARでトドメ

(3)マルマインがボスで呼ばれて倒されず前に縛られた場合
→逃げエネ切って逃げ→ロトムVSTARでトドメ

 ということで、ロトムVSTARで素直にインテレオンを倒してサイド5枚目を取って番を返すと、お相手は後続のエネも届きそうになく、ここで投了。前の番に回収ネットで回収していたジメレオンの裏工作で手札にボスを持ってくることはできたはずなので、実際にはこちらの山札に基本エネが埋まっていないことをお祈りで(2)か(3)の選択肢を取られて6-3の決着になったと思われます。

採用枚数について

 先に挙げたライチュ梅川さんのレシピでは、ポケモンのどうぐが17枚入っています。
 しかし、今回私が使ったデッキには、正確な配分は秘密ですがどうぐが18枚以上入っています。この違いは、些細なように見えて、じつはけっこう大きい。個人的に他のカードを入れるにあたって、どうぐを17枚以下に減らすことは考えられません。
 では、どうぐ17枚と18枚以上ではどう違うのか。
 単純に、このデッキにおけるどうぐとはすなわち火力となっています。一試合で与えられるダメージ総量がどうぐの数によって左右されるわけです。
 あくまで仮定の計算ではありますが、デッキにどうぐを18枚入れて、サイド落ち+山札の下に残っていて最後まで引けないどうぐが2枚くらいあると仮定すると、一度のゲームで触ることのできるどうぐは16枚。ロトムVSTARのスクラップパルスで3回攻撃するとして1回のロスト平均は5.333…枚、293.333…ダメージとなります。
 一方、これを17枚に減らして15枚使えるとすると1回の攻撃平均5枚、280ダメージ。実際にはロトムVで攻撃する局面もあったりと、これより下振れる可能性は大いにあるわけなので、280のVSTAR3体を落としにいく最大出力の展開を考えると、どうぐが18枚以上ないと安心できないのです。
 なお実際には、セレナで裏のV220を呼んで倒せればどうぐを節約できますし、サイド3枚を取れるVMAXを一撃で倒すことができれば、かなりリソース的には楽になります。

 私の場合は学習装置を重く見た構築で、決勝戦であったように、余裕があればマルマインにも学習装置をつけることを意識しています。基本エネ2枚をつけたロトムが倒されたときに、後続のロトムだけでなく、マルマインにもエネを貼っておいて逃げエネとして機能させる目論見です。自爆するときに学習装置はトラッシュに送られるため、火力にもなる。プランとして緊急避難用のふうせんを手札に抱えておくこともありますが、手札干渉の多い環境なので、なるべく場にある素材で完結できるように準備しておきたいと考えています。

このデッキの弱点・課題について

 第一に非V対面が難しいと思われます。
 ロトム1体を倒された段階で、マルマイン自爆からのツツジでお祈りすることになるかと思います。相手にとってはまだサイド2枚しか取っていないにもかかわらず強引にツツジを撃たれたら、そりゃ嫌だろうなと思います。ましてや準備に時間がかかる非V系のデッキであればなおさら。とはいえ、他のVに比べると耐久に劣るので、なるべくおまもりを貼ってお祈りすることになりそうです。
 当然、闘タイプ相手には辛い戦いを強いられます。とくにれんげきウーラオスVMAXのしっぷうづきを決められると1エネ300ダメージを出されておまもりつきでも吹っ飛ぶので、ゲーム性が崩壊してもはや虚無です。1エネ300はさすがにやりすぎだろ。
 エネ破壊にも弱い側面があるかもしれません。ふつうのつりざおなどトラッシュからエネを山札に戻す手段を搭載していないので、エネはすべて山札にあるぶんから賄う構造になっています。エネエネはつでんの供給元も山札。つまり、序盤に運悪く基本エネを引きすぎてしまうとコストとして切りづらいし、エネ加速すら満足にできなくなる可能性があります。一度走り出したら後ろは振り向かない、紛うことなきアグロデッキです。今後ますます増えてくるであろうシンオウ神殿も課題のひとつで、スピード雷エネルギーを貴重なドローソースとして運用しているので、神殿によってワザを撃てなくなることは避けたいところ。その点はスタジアムを4枚以上積んでいるので、リソース管理が重要になりそうです。
 そして最大の弱点は、ミルタンクを突破する手段がないこと。先述したようにどうぐの枠がカツカツであり、ミルタンクのためだけにキャンセルコロンを入れるのも付け焼き刃でしかなく、そもそもミルタンクを複数枚出されたら負けなので、ミルタンクが見えたら潔く番を返して殴られ続けて投了するしかなさそうです。手札を捨てられるオーロラエネルギーを1枚入れて、いちげきビリリダマが巻物をつけてだんがんとっぱで殴る……というのも一瞬だけ考えましたが、エネ要求的に迂遠すぎて却下しました。

今後の楽しみ

 ロトムVSTARを使うようになって楽しいのは、新発売のカードで新しいポケモンのどうぐが発表されるたびに、デッキに入るかどうか検討できるところにもあると思っています。目下、スターアルケミーを使える森の封印石は候補の筆頭。ロトムVSTARのVSTARパワー・へんかんスターも手札が詰まったときに使えて起死回生の糸口にもなってくれて非常に使い勝手がいいのですが、スターアルケミーがあれば、たとえば任意のタイミングでツツジを持ってきたり、どうしてもエネに触りたいときにスピード雷エネルギーを持ってきたりと、選択肢の幅が広がりそうです。他のデッキでは封印石は使ったらそれきりですが、ロトムの場合は使用後も火力を出すコストとして意味を持たせることができるので、相性が悪くはないかもしれません。

 あくまで勝手な私のイメージですが、同じ青天井ダメージのポケモンでも、キュレムVMAXはHPラインが優秀だしモミの回復もあるしで、次期Tier1入りを確信していそうな優等生。
 一方のロトムVSTARは体力ペラペラだし時には自爆も辞さないけれど、とにかく爆速で走りきろうとするヤンチャなヤンキー暴走族みたいなイメージがあります。倒されてもサイド2枚で済む、良い意味での小物感もあります。
 総合的に見たら当然キュレムVMAXのほうが上なのでしょうが、ロトムVSTARデッキはとにかくたくさん山札を掘れるので、回していて単純に楽しくて病みつきになってしまいます。「デッキが回る」ことの重要性と強さを実感できるし、縦引きカードゲームの練習にもなる。小物が大物を一発で突破するときの爽快感は格別です。

 今後、雷弱点のルギアVSTARが増えてくると予想される環境で、さほど立ち位置が悪くないと思われるロトムVSTAR。オススメです。

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