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謹賀新年

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中も大変お世話になり、ありがとうございます。

株式会社エヌ・ティー・エス(略称表記NTS)は今年、創業から40周年を迎えることとなりました。
長寿高齢化の日本ではありますが、出版業界には出版社寿命20年説というものがあると先輩から何度か耳にしました。弊社も幾度となく存亡の危機を乗り越えて来れたのも、ひとえにご支援いただく著者、読者、取引先の皆さまのおかげでございます。改めて感謝申し上げます。

「創業は易く、守成は難し」とは俗に言うことですが、私の場合は昭和59年、1984年1月1日のことでした。志を同じくする同士2名とで興した事業でしたが、早くも一年目にして決裂の危機を迎え、社名を変え現在のものとなり、軌道に乗るまでの数年は試行錯誤の連続でした。

 設立10年目にようやく編集企画部が創設され、売上も右肩上がりの成長を見せましたが、設立20年頃から寿命説の例にもれず業績悪化が始まり、立て直しのためにそれまでの個人の経験と直感に頼りがちな経営から幹部会によるデータ経営に切り替えました。それが奏を功し、どうやら出口が見え始めるまでが次の10年。
 翌年、当地(科学技術館)への転居を果たし今また10年を迎えようとしています。

 転機は設立20年頃、出版社の心臓ともいえる企画力の衰退と再生に向け苦闘する中、会社の支えとなったのが、
2005年に始まる大ヒット【骨単シリーズ】の著者との出会いでした。
 2009年頃、彼から3Dプリンタを提案され、幹部会で迷うことなく導入を決定したのも、著者との共創を最優先と捉えたためで、未だ世に知られず、数千万円の高価な代物でしたが、共創から生まれた単シリーズの売上と利益は予想を遥かに超え、その投資も回収でき、次の10年の足場を作ることができました。著者との出会いがなければ会社の立て直しもままならなかったことを思えば、「出版社とは著者との出会いが全て」といっても差し支えないと思います。

 さて創業40年目を迎える今年の目標は、迫りくるデジタル社会への対応です。その本質は出版社と読者の双方向性にあります。紙の本を一方向的に売るのではなく、電子書籍はマイクロコンテンツ(章節)等、読者の要望にきめ細やかに応えることが可能です。1月よりホームページ内該当書籍の《書籍販売サイト》からの注文に加え、取次を経ず海外へ自社から直接案内することも可能となりました。
 その他にも読者への発信力を高めるためtwitter等のSNSやNTS Journalにも力を入れ始めました。そのような状況下、今年1月16日付で<メタバースビジネス開発推進グループ>を新設いたします。
 「紙」と「電子」からなる基幹事業の一元化が目的です。

最後に一般読者市場の更なる開拓に向けサイエンス・コミュニケーション(SC)にも取組みます。
 NTSは地域の活性化のための地域づくり探偵団』(1991)、『科学がおこす、コメ騒動コメッセ』(2008~2010)等、創業期よりSC活動に取り組んできました。
 数年前からは「サイエンス・ファンタジー(SF)」という切り口で地域の活性化につなげる試みに挑戦しています。こうした試みがNTSの基幹事業と融合し、専門家と一般読者を結ぶ一つのプラットホームが生まれることを期待いたします。


 みなさま、ありがとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

出版物、著者・監修の先生方
すでに故人となられた先生方
読者・研究所・図書館のみなさま
印刷・製本に関わるお取引さま
セミナー会場他、講演に関わるお取引さま
金融機関ならびに制作資金にご配慮いただきましたみなさま
志半ばにして卒業した従業員と現在の従業員みなさまへ

令和5年 元旦        
株式会社エヌ・ティー・エス 代表取締役社長 吉田 隆

新春イベント:1月11日17時半より神保町の古書店“ブックカフェ20世紀”にて、私と娘の連弾の思い出もある母の遺品100年前のドイツ製ピアノRENNERの披露会が行われます。作曲家中村八大ともご縁があるその由来等を紹介しプロの演奏もお楽しみいただきます。