「時間」と「夢」というフィルターをかけて美談を描く違和感

とってもとってもとってもとっても納得いかないのでぶつけさせていただく。

テレビで、通学に3時間半かけている子が紹介されていた。夢のため、東京の学校に通っている、とのことだ。努力家で、前向きで、素敵な話。

だけど私は見れば見るほど苛立ちしか湧かなかった。だって通学3時間にメリットを感じないから。通学や通勤の移動は無駄な時間だと思っている。実際、私は中学〜大学と通して通学時間は10〜20分だ。

社会人になって少し移動時間が増えた。といっても30分ぐらい。ただ通勤ラッシュを避けた時間での出社だったから、ストレスは少なかった。(通勤ラッシュも無駄)で、転職した今は15分。軽くTwitterでニュースとか読んでいたら到着するぐらいの時間。丁度いい。出勤時間は30分以内、可能ならば徒歩圏内を想定して職探しをした。

そもそも電車での移動中って何もすることがない。本を読むぐらい。運が悪ければずっと立ちっぱなしだし、座れたとしてもPCひろげて仕事も難しい。寝るか、本を読むか、ゲームするかしかない。実際、電車に乗るとそういう人しか見ない。たまに化粧している人も見るけど。あと参考書読んでる学生も見るけど、あんなに揺られて集中できるのだろうか。私は無理だ。

だったら少しお金をかけてでも会社や学校の近くに住んで、移動という時間を買ったほうがメリットがあるのではないか?時間をかけて移動するということを美談として描くその番組に違和感しかなかった。

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というか、私自身がひねくれているところもあって。

18歳で私は親元を離れて一人東京へとやってきた。そこから姉と2人で暮らし始めたが、今まで両親がしてくれていた炊事洗濯家事親父は、自身でするしかなくなった。親元離れて暮らすことは自由で好きなんだけど

実家ぐらしずるい!!!!!甘え!!!!!

というところがきっと根底に根付いていて(といっても実家には帰りたくない自由な生活万歳という複雑な乙女心)。実家ぐらしにもいろいろ理由があるから一概に「甘え」なんて言えないけど、寝食の不自由がないってやっぱりいいなあと思う。理由なく実家に居座る人って、なんで?ってなる。一人暮らしじゃないと経験できないこともたくさんあるし、親はいつかいなくなるんだから自分だけで生きていく術を身につけるには早いうちから一人暮らしした方がいいと思う派。

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話が脱線したので戻す。その番組の何が違和感だったかって
・片道3時間以上かけて通学
・定期代一ヶ月で20,000円近く
・片親(母親)を助けるため、実家から通っている
(家の手伝い等を率先して行っている)
・始発に乗るため母親に車で送ってもらっている
・夢のため東京の学校へ行っている

これは効率的なんだろうか。

定期代に3〜4万足せば少し近くに住める。学生マンションだってある。移動が少なければバイトが出来る。親の金銭的負担が減る。物理的負担も減る(朝4時に起きてお弁当作って駅まで送るなんて、負担としか思えない。私は母にそうさせたくない)。親の手伝いも大事だけど、それはその子がしなくてはいけないことなのか?兄弟がいるんだからみんなで協力すればいい。一人暮らしすることで親の金銭的負担が増えるかもしれないが、物理的負担は減るのではないだろうか。子ども一人いるだけで、親の時間はその分減っていくんだから。

めちゃくちゃ優秀な子らしいから、奨学金だって貰えるはず。それさえあれば一人暮らしできる。私もしてた。

Twitterとか見てると「いい話だな」「頑張ってるな」という声も見られたけど、私はそうと思わない。「夢」というフィルターをかけて、全体が美しい話であるかのように演出していたのが気持ち悪くて仕方がなかった。「時間」をかけることが素晴らしいことだと思えない。非効率。もっといいやり方があるはずなのに。片道3時間半、往復7時間。7時間もあればもっともっといろんな可能性が広がるのに、それを選択しない理由を誤魔化したまま終わってしまったせいで、苛立ちだけが残った。

私がこの人の人生を否定する資格はない。きっといろんな事情があるのだろう。ただ、これを美談として取り上げることに違和感を覚える。

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