自作アプリのアイデアを出すための考え方

プログラミングを学習し始めて5ヶ月目、学んでいるスクールの必修課程はだいたい終了し、自分で好きにアプリを作るフェーズに入っています。

自分で好きなアプリを作っている中で、「何をつくるか?」で非常に悩んだので、考えたことをシェアします。


対象ユーザーを決める

アプリは「使う人」のためにあります。

ちょっとプログラミングを学ぶと、「その技術でできること」に集中したくなりますが、結局プログラミングは技術であって、それそのものに意味はありません。

例えば「絵の具を作る技術」に優れた人がいて「この絵の具はこういう性質が素晴らしくて、こんだけ手がかかっていて・・・」と言われても、鑑賞者にはあまり関係がありませんね。
一方で、絵描きさんが「こうこうこういう表現がしたいんだよね」といった思いを持ったとき、その表現にドンピシャにハマる絵の具を作れる「技術」は重宝されます。

要は、技術をひけらかすためではなくユーザビリティのためにつくろう、ということです。

で、ユーザビリティを最も高めるのは「想定ユーザを決める」ことです。
身近な人を対象に据えることも多いですが、僕の場合は「自分が使いたいアプリ」から考えることにしました。

対象ユーザを自分にするメリット

昨今、アプリを全く使わずに生活している人はいないと思います。
カレンダーやメモは使わないにしても、LINEやカメラなど、何かしらのアプリは使っているでしょう。
そんなときに、使っている中で「ここの操作がちょっと面倒で気になる」とか、「ここを押してこういう機能が出てきたら便利だな」と思うことがあると思います。
そういった違和感を改修につなげることができる点で、まずは自分のためのアプリを作ってみるのが良いと思っています。

一方で、日常的にコミュニケーションをとりフィードバックが得られる距離感で、別の想定ユーザがいる場合には、その人の意見や要望を聞いてみるのも良いでしょう。

どんな手を使っても解決できない問題って、なかなか無いよな

何をつくるか?を考えたとき、どうしてもよぎってしまう問題がありました。

  • その課題って、〇〇っていうアプリで解決できるよね

  • それって、Notionでだいたいできるよね

  • その機能って、〇〇のアプリにあるよね

いまどき、すでにあるもので解決できる課題が多いのです。
特に、僕は非IT系の仕事をしているガジェットオタクなので、自分でアプリを作らずに、既存のデバイスやサービスを使っていろんな課題を解決することに力を注いでいた経緯があり、ライトながらNotionとかを、ちょっとばかし使いこなしてしまうのでした。

ということで、自分の課題を解決するのに「世の中に1個もソリューションがなくて、自分が初めてつくる」みたいなアプリってなかなか無いです。

いま無いものを作るアプローチ

スクールの諸先輩がたの中には、AIを駆使してタイピング練習アプリにAI画像生成を組み合わせたり、綺麗なトイレの場所をマッピングして共有するアプリを作っている方もいらっしゃいますが、これらのアプローチを以下1.2のように分析しました。

1. 必要な機能ではなく付加価値に振る

AI画像生成で楽しくタイピング練習をするというアプローチは、いわば「すでにあるものに、価値を足す」というアプローチであると言えそうです。

タイピング練習アプリはすでにいくつか有名なものがありますが、自分の入力したものを画像で生成されるという付加価値でオリジナリティを出したものです。

これはいわば「アイデアの掛け算」であり、その爆発力はアイデアそれぞれのパワーと、掛け算されるそれぞれのアイデアの距離がある程度離れていたほうが大きな効果を発揮するイメージです。

「AI画像生成」つき「タイピング練習」は、要素同士がいい感じに離れています。
一方で、たとえば「電卓機能付き家計簿アプリ」は、掛け算されるアイデア同士の要素が近すぎて、ちょっと新規アイデアとしては厳しいように思います。

2. ユーザーコミュニティから情報を集める

今ないものを作るアプローチの2つ目は、ユーザーから情報を集めることです。例えば綺麗なトイレの場所をユーザーがマッピングしたり、ラーメン屋の行列の長さを「並んでいる客たち」みずからが投稿することで、店舗の混雑状況をシェアするという共同体をつくるアプリです。

 これはユーザー数のスケールに比例して、アプリの価値が上がっていく側面がありますが、逆に言えばユーザー数が少ない間には価値提供が難しく、最初の100人を獲得するのにエライ苦労しそうです。(イメージですが)

一方で、多くのユーザーが参加していけることはWebアプリの大きなアドバンテージでもありますので、多くのユーザーが同じ価値を共有すること自体に価値を見出せるジャンルであれば狙ってみるのがよさそうです。

つまり、「ラーメン屋の待ち時間」を共有するアプリの価値と、「一食100万円のレストランの待ち時間をシェアするアプリ」の提供価値は必然的に変わってきてしまいます。
(100万円のレストランは当然予約やろがい、というツッコミはポッケにしまっといてください。利用者が相対的に少ないことの例えです)

3. 機能を絞る

さて。上記1、2を踏まえて、僕はさらに別のアプローチでいくことにします。

Notionから得た学び

僕はNotionユーザーなのですが、Notionってわりと「なんでもできる」ツールなんです。
メモ・カレンダー・タスクリスト・ガントチャート・日記・ほしいものリスト・買い物リスト、などなど。ほんとに割と何でもできてしまいます。
そして、使ってみるとわかるのですがNotionって「ユーザーが機能に引っ張られる」んですよね。
つまり、「単にメモが書きたい」と思ってNotionを導入しても、使っていくうちにデータベース機能があって、カレンダーやタスクリストの機能があることを知るにつれ、書くだけでよかったメモにいろんな使い方を追加してしまいます。
そしてある日、「そのシステム全体の管理コスト」が「利用メリット」を上回ったとき、挫折します。

そして、Apple純正リマインダーやカレンダーアプリの「単機能」であることの使いやすさに感動したりします。
(実際にはこれらのアプリは十分に多機能で、まったく”単機能”ではないのですが、Notionのようなマルチツールに比べて”単機能だ”と感じることで、脳の負荷が軽いのは実感できます)

ということで、「自分でNotion使って実現できることを、あえて単一のアプリにする」アプローチにすることにします。

例えるならば、Notionは「なんでも書いてよい巨大な白紙」である一方、
機能を絞ったほかのアプリは「罫線や区切り線のあるメモ帳」「チェックボックスが最初から印刷されたメモ帳」のように、用途を限定することで特化したアイテムのイメージです。

絞るなら、深く

水の出ているホースの先をギュッとつまむと、水の勢いは増します。
機能を絞るメリットは、同じ労力で、より特化した機能を実装できることです。

今回、僕が作っているアプリは「ほしいものリスト」のアプリですが、単に「ほしい」という記録だけで終わらず、なぜ欲しいのか?ほかの商品ではいけないのか?といった掘り下げを通して、納得して買い物をするための内省をうながすアプリ、というアイデアがフワッと出てきたので、これをもう少し深めていこうと思っています。

いずれにせよ、身近な誰かのためにつくろう

以上のように、アイデアの出し方はいろいろありますが、最初に述べたように「身近な人や自分のためにつくる」ということだけ忘れなければ大丈夫だと思っています。
技術のための技術にせず、ユーザーのために技術を使いましょう。

ということで、僕がオリジナルアプリのネタを考えるのに難儀したので、敢えてアイデアの作り方を文章にしてみました。
参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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