すこし長い話
「きらめき」from “chrono-e.p.”
われわれswimmyのドラムス担当鋤崎(すきざき)が、近年めでたく結婚した。彼が婚姻届を役所に出したすぐあとに、ギター永井の提案でメンバーから桐箱入りのメロンを贈り、さらに一年後には、結婚式の馴れ初めムービーに3人で作った曲をつけてこれまた贈った。
そう、多分祝いすぎだ。だけど鋤崎の結婚はわたしたちにとってもそれくらいハッピーな出来事で、うそではなく、心の底から祝福したくなったのだった。
ちなみに永井は馴れ初めムービーの「ムービー」のほうも作った。多才だ。そして何と言っても彼は現役の僧侶である。え?失礼、いささか情報が渋滞しました。
この曲の歌詞の第一稿を書いたのは、鋤崎から婚約の話を聞いたのとほとんど同時期だったと思う。なんとなく書いてみたいと思っていたテーマ「ひとりでなくなると、日常に色がすっと染まったりするでしょ そういうのがあたりまえになっていくけど、ふと横向いたら生きてる人がいてくれて、そのことに気づけるから、ふんわり大事に生きていこうよ」(当時の私の原文ママ)に、ぐっと具体的な重みと像を与えてくれた報告だった。
べつに恋愛や結婚じゃなくても、友人でも、きょうだいでも、同僚でも、ご近所さんでも、よくすれ違う顔馴染みのおじさんとか駅員さんとか、極論は頭の中にいるもうひとりの自分でも、いいと思う。何にもがいているかもわからないけれど必死に生きている毎日を、少しでも大切にしてみたいと思いなおすきっかけになる<ほかのだれか>と対話していたい。
その退屈の畦で/少し長い話がしたい
曲の出だしに持ってきたこのフレーズにはこだわりがあった。少し長い話は<ひとり>ではできない。わたしはそれをしたい。それを大事にしていたいし、だれかに持ちかけ続けていたい。
メンバーに歌詞を見せてすぐに入ったスタジオで、ベースの樋口が
「少し長い話をしたい、ってとこだけで泣けるよ」
と、ため息みたいに言ってくれた。
わたしは内心ガッツポーズしながら、同じように思ってくれるひとがこんなにも近くにいることに感謝した。
「きらめき」
その退屈の畦で 少し長い話がしたい
掛けた声は遠く
まるでとわずがたりのように浮かぶ
「たとえばいちばん鮮やかな色について」
値打ちのない気障を
決め込んでもなにもないけど
夕凪 揺らす呼吸
うたかたの毎日
弾け飛ばないように包む
ハレーションはカーテンみたいに
さらさらとなびいて
目を透かせば
ちょっとむくれた顔のまま歩いている
たしかな温度挟む対話
ふとうれしくなる
夢のふちに思惟の森で会った
似つかわしくないね、
モルタルの防波堤に響いて
細波ゆらぎ 西陽と織りなして
補色に染めていくのを
あなたと見ていた
目を透かせば
ちょっとむくれた顔のまま歩いている
長くは続かないけど
今はいつまでも
目を透かせば
こころのなかどうして溢れていく
たしかな温度挟む対話
うれしくなる
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自己紹介させてください。
はじめまして、4人組バンドswimmy(スイミー)です。私はボーカルギターの池田です。職業も年齢も趣味嗜好もばらばらな社会人4人で、それなりの距離感で、とてつもなくマイペースに音楽をしています。
このnoteではわたくし池田が、バンドのことやそうでないことを、つれづれ気ままに記していこうと思っています。
気分屋の飽き性なので、更新頻度もテーマも決めていませんが
よろしければ、たゆたう水のごと、どうぞゆるりと末長く、お付き合いくださいませ。