日記(2021/06/20) #まじ日
「チェ・ゲバラ -旅、キューバ革命、ボリビア / 伊高浩曙」「キューバ現代史 -革命から対米関係改善まで / 後藤政子」読了。
約1ヶ月かけてようやく2冊の本を読み終えた。3行に1回は眠くなるので本当に大変だった。
きっかけはオードリー若林のエッセイ「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んだこと。若林氏の資本主義ではない(広告のない)街、キューバ旅行記は、にわかにキューバへの興味を高めるのに十分だった。そもそもキューバのこと何にも知らないな、チェゲバラのビジュアルと革命した人ってことしか知らないな、ていうか革命って何をするんだろう?と思って、とりあえず上記2冊を図書館で借りて読んだ。
そもそもの帝国主義をうまく説明はできないけれど、支配されている国が独立しようとすることは至極真っ当な感情に思えた。キューバ革命はゲリラ革命だったのだが、ゲリラは想像以上に過酷なものだった。想像以上に、と言ったが、正直キューバやキューバ革命に対して、想像したこともなくて、ほぼ完全に、無の状態から知識を入れていくことに等しかった。
キューバ革命の目指すものと社会主義は繋がっているようだったし、それでも社会主義はうまくいかなかったこともわかった。でも、別に社会主義を目指した革命ではなかったらしい。米国の手から逃れるためには、ソ連を頼るしかなかった。社会主義の範囲に収まるしかなかったところもあったし、実際、それでなんとか経済を維持しようとしていたところもあったらしい(が、結局、社会主義網の中で、サトウキビ担当としてモノカルチャー農業に従事するしかなくなっていくのは辛い話だった)。いろんな考え方はあると思うけど、アメリカのキューバ制裁はかなり厳しいことも知った。ちょっと引くくらい厳しかった。今も厳しい。キューバが経済的に孤立させられている様子は、一面から見ると「かわいそう」なのだが、理想を追う政府によって、市民が困窮する姿にフォーカスをあてると、致し方なしなのだろうか?とも思った。でも、本を読む限り、キューバ革命の理想や、キューバの目指す先はとても理想的で(だからうまくいかなかったのだろうが)、実現された世界は幸せなのでは?と思ったりもした。
キューバのイメージも変わった。例えば、医療や教育を重んじていることは初めて知った。キューバの識字率は世界1位らしい。希望すれば大学まで無料でいけるらしい。だから、キューバには知識層や高学歴層がわりといるのだが、それらが有利に働く場面はあまりなく、結局外貨が入ってきて儲かる観光業に従事することになるというのは皮肉だな、と思った。物質的欲望なしに人は働かない。それはそう。全員がチェゲバラだったら、そりゃ、めっちゃ素晴らしい国になるんだろうけど、そんなわけはない。
チェゲバラは、かなり革命に燃えた人らしい。そもそもキューバ人ではない(アルゼンチン人)。ラテンアメリカの独立を掲げ、戦場に赴くことを使命としていたようだ。出自は医者。日記や文を書くのが好き。カストロと意気投合し、革命に携わるが、革命成功後、共に戦ったカストロの策略により外様にされていくのが苦しかった。
チェゲバラの方だけではよくわからないかもと思ってキューバ現代史も読んだけど、それは良い判断だったと思う。革命後にカストロが関係者を処刑していく様子などはキューバ現代史の方ではあまり書いていなかった。読み終わった後ググっていろいろみたけど、カストロめっちゃ賛否両論だった。2冊読んだだけじゃまだ見えていないところがあるんだろうなと思う。
歴史を語るのは難しい。とくに近現代史は、問題が今も続いているので、下手な言及はよくない気がする。だからこそ学ぶべきだとは思うが、いかんせん、テーマがでかい、そして複雑。アメリカとキューバの関係も、経済や政治、思想、その他いろんなものが絡み合っていることは薄々わかった。
とはいえ、いままでほぼ全く知らなかったキューバのことを知ったのは、いい機会だったと思う。
チェゲバラは戦後の日本も訪れている。原爆ドームを見学したらしい。こんなひどいことをされても怒らず、アメリカの庇護化にいようとする日本に失望していた。日本は怒るのが下手なんだな、と思う。今の状況を見ていてもそう。そして、私も、どうやって怒ったらいいのかがいまいちわからない。革命があっても、それを支持するムードになるかというと、どうだろう。とにかく、怒ることに慣れていないんだと思った。し、怒らなくても生きてこれたのだ、少なくともここまでは。たぶん。
コテンラジオのアメリカ開拓回も聞いたりして、なんとなくアメリカ大陸に思いを馳せた1ヶ月だった。キューバ革命もまだまだわからないことばかりだし、ぜひコテンラジオで取り上げてほしい。
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