日記(2021/12/22) 「ひとまず上出来」を読んだ #まじ日

「ひとまず上出来 / ジェーン・スー」読了。
ジェーン・スーより年齢が下でよかったな、と思う。この先加齢にやる良いことも悪いことも、クリアに言語化されている。仕事の悩みも人間関係も、突き離さないでいて、過剰に優しくもない、そのバランスが好きで、私はジェーン・スーのエッセイだったりラジオだったりを日々摂取している。

クレアの連載が収録された本著。
最後に収録されている「推し活」についての話は、まさに名文。推しへの出会い、浮かれてハイになる気持ち、幸せなどがビビットに描かれているだけでなく、グロテクスな感情や自分勝手な部分までキチンと述べられているのが、いいな、と思う。
推し文化は昨今の流行りだが、とくに生身の人間を推すというのは、本当にグロいことだと私は思う。自他の境界が曖昧になることもあるし、人権侵害のような発言をしてしまうこともある。商品のように他人を評するとき、私はいつか地獄に落ちるんだろうなぁと思う。
ジェーン・スーに推しができた当時のラジオを覚えている。正直、違和感を覚えた。ファンダムの力で推しを育て、時には意見し、また、他者への推薦や、プロモーションのためのランキングハックまでもを賛辞するような(に聞こえた)言いっぷりは、確かに最近の流れではあるけれど、危ういように思える。ジェーンスーからファン視点とプロモーター視点で語られる推し論には、そういった危うさを軽んじているのでは?と感じた。他にも、推し活をあまりにポップに語る様も、勝手に少しハラハラした。
でも、本著のエッセイはその辺りがうまく調整されており、清濁併せ呑みながらも、止められない思いが書かれていて、単純にとても共感したし、面白かった。さすがだなぁと思った。
ラジオで話した時から、そう思っててたまたま言わなかっただけかもしれないし、今もあの時と同じ考えなのかもしれない。その辺はわかんないけどでもまぁ、この文章は、本当にいい。

ネットで読める。太っ腹だ。


他のエッセイも小気味よかった。「正義と仲間は相性が悪い」「昔の私に教えてあげたい、夢の叶え方」「やりたいか、やりたくないかの二択です」「中年の楽しいお買い物」あたりが好きだったな。あと、スーさんは恋愛が好きなんだなぁとしみじみする。しみじみするだけで良い悪いは別にないが、好きなんだなぁと思う。


私たちもジェーンスーの推しを当てようとしたことがあった。


概念会、今週の土曜です。おたよりおまちしてます!
gainen.the.sun@ジーメール まで

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