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仕事上のストレスが生じる背景

カラセックの示したモデルがシンプルで分かりやすい。
まずは「仕事の要求度」と「コントロール可能性」の二軸でマトリクスを作る。4マスのうち、最もストレスが高くなるのが、「要求度 大」「コントロール可能性 小」の領域である。コンサル的な受託案件、受け手にスキルが備わっていない場合などはこれに該当しよう。報酬や教育面でのプラスの意味合いは大きいだろうが、この仕事ばかりが続くと、早晩バーンアウトしてしまうだろう。

「要求度 大」「コントロール可能性 大」の領域は、「やりがい案件」である。たとえ難しい仕事でも、自分の裁量で進めていくことができれば、厳しくも楽しい仕事だと言える。

「要求度 小」「コントロール可能性 大」の領域は、低ストレスで楽な仕事だと言えるが、いずれつまらなく思えてくるだろう。「要求度 小」「コントロール可能性 小」は、パート・アルバイトの仕事が該当しよう。生活のためだけにやっている仕事である。

このマトリクスは分かりやすいのだが、粒度が粗いのが難点。この4分類だけだと、ストレス回避の方法は生来の「闘争か逃走か」(fight or flight)反応のみになってしまう。


そこで、NIOSH(アメリカ労働衛生研究所)が示すモデルでは、上記カラセックモデルで示した「仕事上の要因」に加え、「個人的要因」「仕事以外の要因」「緩衝要因」がストレス発生を引き起こすとしている。

「個人的要因」とは、個人の性格や能力、年齢、性別、経験値など。ま、そりゃ当然。仕事が同じでも、人が違えば感じるストレスは変わってくるだろう。

「仕事以外の要因」とは、育児・介護、友人関係、パートナーとの関係など。コロナで在宅勤務が広がった反動として、この仕事以外要因が大きくなったのではないかと思う。

「緩衝要因」とは、周囲からのサポートの受けやすさ。これまた、コロナで在宅がメインになってしまうと、職場の同僚が何に不安や不満を抱えているのかが分かりにくくなってしまう。

かようにして要素分解を細かくすることによって、「心理的柔軟性」(by ACT)の考え方に沿った対処を施すこともできる。最も有効性が高いと思われる策は、とにかく「今、ここ」に集中することだと思う。それさえできれば、周りの嫌な奴の言葉も、雑念も、自分が抱いていた不安・不満も忘れることができる。

マネージャーだけでなく、フォロワー、働く一個人としても、自分が何にストレスを感じているのか、把握するための枠組みを知っておくとよいだろう。



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