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蝮どもにおくる

若いころ、ネルーダの足跡をたどりたくて、チリまで旅をした。
ネルーダは1971年にノーベル文学賞を受賞した。授賞理由は、「一国の大陸の運命と、多くの人々の夢に生気を与える源となった、力強い詩的作品に対して」というもの。

憤懣やるかたない今の情勢に対して、ネルーダの言葉を借りたい。
ロシア国民も監視下に置かれているだろうが、自国リーダーへの圧力を強めてほしい。

「あたりには 活気にみちた声が溢れていた
市場の広場には 塩が積まれ 焼きたてのパンの山があり
市場には 蒼白いインキ壺のような銅像があり
油は スプーンのなかを流れ
街通りには 賑やかな足音や 手を鳴らす音が 溢れていた

「ある朝 そのすべてに火がついた
ある朝 真っ赤な火が大地から吹き出して すべてのものをなめつくした
そのときから 戦火が燃えあがり
そのときから 硝煙がたちこめ
そのときから 血がながれた

「街じゅうに子供たちの血が 子供の血として素朴に流れた
山犬にさえ侮蔑される この山犬ども!
蝮にさえ嫌われる この蝮ども!

「きみたちは尋ねる なぜ私の孫が夢や木の葉をうたわないのか
故国の大きな火山をうたわないのか と

「来てみてくれ 街々に流れている血を
来てみてくれ 街々に流れている血を
来てみてくれ 街々に流れてるこの血を!」




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