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価値観の国際比較

世界価値観調査(World Values Survey)という分析報告書がある。
1981年から行われ、最新版(2021年3月に発表)では、世界77カ国が参加している。
日本では、電通が窓口になっている。電通??と聞くと、やや胡散臭い気もするが、元々の調査自体は信憑性のおけるものである。あらためて、論点を洗い出してみたい。

たとえば、
あなたの生活に”仕事”は重要か?』という問いに対して、”Yes”と回答した日本人の割合は81%、全体で71番目/77ヵ国中であった。
また、『あなたの生活に”余暇”は重要か?』という問いに対して、"Yes"と答えたのは91%、全体で21番目/77ヵ国中だ。
さらには、『余暇が減っても仕事第一であるべきか?』に対して、"No"と答えたのが59%、全体で2番目/77ヵ国中だった。

一昔前は、「働きアリ」とか「エコノミック・アニマル」と揶揄されていた頃が懐かしい。日本人の価値観は「仕事よりも余暇」に変わっているのだ。
たしかに、見渡せば「よき組織人」はたくさんいるが、本当に仕事に責任感を持っている人は少ないように思う。経営層が頭を悩ませるわけだ。

また、『新聞・雑誌を信頼するか?』に対して、”Yes”が69%で4位、
毎日、新聞を読むか?』は"Yes”が58%で1位、
毎日、テレビから情報収集するか?』は"Yes”が90%で1位だった。
これが真実だとすれば、調査窓口である電通にとっては、日本人は御しやすい、洗脳しやすい国民だろう。たしかに、「新聞を読む=教養人」という価値観は、「バレンタインデー=チョコを贈る」以上に、強く根付いたステレオタイプだ。

さらには、『政治に関心を持っているか?』は、”Yes"が60%で8位、
政治は私の生活に重要だ』は、”Yes"が65%で6位、
国は安全な暮らしに責任を持つべき』は、”Yes"が76%で5位。

一方で、
政治の事を周りと話すか?』は”Yes"が51%で39位、
国家権力は尊重されるべきだ』は”Yes"が1.9%で、なんと77位(ビリ)だと。

その他の結果も踏まえると、要するに日本人は
受益者として権利は求めるが、能動的な参画はしたくない
・家族は重要だが、介護の義務は負いたくない

情報はせっせとインプットするが、公衆の場で議論できない
個人の自由よりは、身の安全を尊重する
代表者任せにするが、代表者が権力を掌握することは認めない
・自国民としての誇りは低い
という、多くの二律背反を持った「意外と面倒くさい国民」ということだ。あくまで相対比較ではあるが。

政治家の肩を持つことはしないが、この国のリーダーは結構大変だと思う。リーダー自身にそれほど能力がないし、国民は表面上は従順だけれども、実はかなりのへそ曲がりだから。その理由については、後日考えたい。

とりあえず、私たちの姿勢としては、一人ひとりが鏡に映った自分の姿を見つめることが大切。


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