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「歯が折れたよ!」さて、次の手は... 超高齢社会の歯科医療

「歯が折れたよ!」
この声を聞くとドキッとします。
超高齢社会で歯科医療を行っているので、時々起こっています。

開院して来月始めで丸16年になります。
そんな中、長年通って下さっている方が多数います。

今、僕が一番悩んでいるのは、あと数年で100歳の方。
義歯を使いたくないとの事で、SDA(shortened dental arch, 短縮歯列)で何とか持たせてきたのですが、この1年で先日は3本目の破折。

この歯を抜歯すると、次々と雪崩が崩れるように歯列崩壊が起こりそうなので、ご家族に説明してから残す治療に。
あの手この手で、次回、補綴が入ったら、とりあえず治療は終了。

他にも危険水域の歯が多数あるので、さて、いつまで歯列を維持させる事が出来るのか。答えはないです。

初診時に数本しか残っていなくて、年齢も高齢の場合は、僕は基本、抜歯して総義歯を提案しています。
通院出来なくなった時のリスクを考えてです。

どうしても抜きたくないという人には、舌感は悪くなりますが、床タイプで作成し、いつでも追補が出来るようにしています。

自分の行った治療が今後どうなるのか、きちんと経過を追いたいので、初診時に資料をしっかり残しています。
これは義歯に限らず、全ての患者さんに対してです。

保険点数で加算できない事(口腔内写真の枚数、パノラマ撮影に追加してのデンタルレントゲン写真...etc)があるので、正直、経営としては完全に赤字です。
しかし、そこは医療をやっているという使命感があるので、続けています。

話を戻すと、これから日本は高齢社会にまっしぐらです。
都会でも間違いなく起こります。そして、都会は独居老人の問題があるので、家族のサポートが得られないので、より医療は困難になると予測出来ます。

そんな中、しっかり資料を残していくのは、とても大切な事になるのではと僕は思います。
後輩の先生から症例相談が時々くるのですが、規格で撮影された写真やレントゲンは、ほぼないです。それだと振り返りが出来ないので、臨床力は上がらないよなと心の中で思っています。

また、スタディーグループの発表のためと症例を無理やりつくる先生もおられますが、それもどうかなと。
そんな事をしていたら、側で見ているスタッフ達から、どう見られるでしょうか?

6月に2年ぶりにオンラインにはなりますが、東北大学の歯学部の6年生に講義させて頂く事になりました。
今回noteに書き留めているものをもとに、症例写真を交え、90分間、将来、歯科医師人生を楽しめるヒントに出来るように準備します。

写真:上海の夜景です。また行きたいなぁ。

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