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「10年後の私はどうしてるだろう」

「人は14歳の頃に好きだったこと、ものに執着し続ける。」とはよく言うけど、どうやら本当らしい。
最近、友人がプラモデルを始めた。ジャンルが美少女モノなので、自分の本職ではないんだけど、ちょっとここは先輩風をバビュンバビュンと吹かしていきたい。

バビュンバビュンと吹かされまくっている、友人。

なにせおいらはGBWC(ガンプラ・ビルダーズ・ワールドカップ)2011準々決勝出場の男だし。
「最初に揃える工具はこれが良いぞ!」「この記事の講座は凄い為になるぞ!」やらやっているうちに、自分の方の血が騒いできた。

全身全霊を懸けてプラモに熱中していた中学時代とは違って、懸けられる時間も気力も限られてるんだけど、あの頃齧り付いて読んでいたブログとか雑誌とかを読んでいたら、なんだか腹の虫がドコドコしてきた。

手始めに、中学時代の2〜3000円のお小遣いじゃ中々買えなかったプラモを買う。


好きだったんだ〜!レッドホーン。

6000〜8000円って、あの頃は国が動かせるくらいの感覚だったけど、今は飲み会の二次会でも行けばポンと飛んでしまうような額だ。
毎日のように二駅分の電車賃をケチってチャリを飛ばして模型店に行って、数時間齧り付いて眺めていたショーケースにあったキットが、こうもインスタントに手中に収まってしまうと、何だか歳月がもたらしてくれた物と失くしてしまった物について考えてしまう。
あの頃は学校から真っ直ぐ帰ってきて、毎日夕方から夜中の2時過ぎまで作業時間が取れたけど、もう、そうは行かない。

これが中2の頃かなぁ。上手いね、オレ。


「ヒケの処理が〜」「面出しが〜」「資料を元にディテールを〜」「塗装前に洗浄して粗サフを〜」とか、技術的にやりたい事は山程あるんだけど、んなことをやっていたら何年経っても完成しないので、何にも考えずにバチバチとパーツを切り出して説明書通りにパチパチと組むだけだ。

なんか、やっぱり好きなんだよなぁ。高校に入って、軽音部に入ってからは、やれスタジオ練習だ、機材だ、ライブのチケット代だやらなんやらで忙しくなって、随分とこっちの世界からは遠ざかっていた。

高校の頃に完成したのはこれだけ。どっちも超大作。


大学に入る頃には、なんか拗らせてしまって、「こんなにネクラっぽくてチマチマしたことしてたら、オンナノコにモテないぞ!」とか、いらん自意識を溜め込んで、なんとか”卒業”したと思い込んでいた。
自分の”好き”の気持ちに蓋をして、あれやこれやと被害妄想ばかり膨らませて、表層の仮面造りばかり上手くなるのは、とてつもなく息苦しいし、本当の意味で人から好かれる事は無いという事に気づくのは、少しばかり時間がかかった。

先述の友人と、秋葉原ボークスに行ってきた。模型界の中では、ガレージキット(組み立てと塗装が必要なフィギュア)の超老舗だ。

リトルアーモリー×ストライクウィッチーズの展示で
深く拝む俺「神棚かと思った。」


4階に上がった途端、目に入ってきたのはF.S.S(ファイブスター物語)の展示だった。F.S.Sの立体物は、ボークスでしか取り扱っていない。


丁度この前、ところざわさくらタウンで、永野護展に行ってきた僕には、とてもタイムリー。


元々は別の用事で立ち寄ったのだけど、なんだか敷居が高くて中学時代から尻込みしていた永野護作品。いっちょ形から入ってみるかと思って飛び込んだ。

絵がうますぎるだろ。


デザイナーとしての鬼才っぷりはさることながら、氏の作品はモチーフに妙にマニアックなハードロックや、プログレのバンドが由来になっている事が多い。
氏の漫画デビュー作「フール・フォー・ザ・シティ」の由来になっているフォガットの「fool for the city」が延々と会場bgmでリピートされていた。


他にもアトールやら、アシュラ・テンペルやら、「洋楽モチーフにするにしたって偏屈すぎるよ」というチョイスの欧州のプログレバンドが。
作品の力ももちろん鬼才そのものなんだけど、永野先生の偏屈さと愛嬌が、すごく好きになった。

L.E.Dミラージュ。画材はBの鉛筆らしい。どうなってんだ。


どうやら今年は永野先生とご縁があるらしい。


買っちゃった。L.E.D ミラージュ。特集号のホビージャパンも一緒に。


ホビージャパンをしみじみ読むのなんて何年ぶりだろう。中学生の頃に憧れていたモデラーの方々は、まだ現役でいらっしゃる様だ。
この作風、この文体、懐かしいなぁ…と思いながら、永野護氏がフェイバリットに挙げている曲をシャッフルで掛ける。「良い趣味してるぜ永野先生!!!」と叫びたくなる曲と、「初めて聴くんですけど…この曲は何…?何ですか…?」と言いたくなるのが、半々。

昔から大好きものを追いかけている様でいて、新しい出逢いもあり。

中学生の頃の俺へ。今のお前が好きだって言ってるもの、今のお前が思ってるよりもずっと本当に腹の底から、へその裏から大好きだからな。逃げようと思っても逃げられないぞ。
大学生の頃の俺へ。君が沢山回り道をしてくれたお陰で、色んな景色が見えるようになりました。

「10years after 10年後の私はどうしてるだろう」
↑ガンダムの曲で一番好きです。08小隊いいよね。

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