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【Stay Dream】4年佐々木大貴


いいお話ではないけど覚悟はある?

病院で働いてる小学校から仲が良かった先輩からの言葉だった。
 
9月11日 その日は後期に向けての練習試合だった。
前期はいろいろあり、僕はあまり試合に出れなかった。でも最後の方に試合に出ることができ、結果を残すことができてきた。
後期こそは何がなんでも活躍をしなきゃいけない。だから僕はコンディションをあげていた。さあここからは主役になってやると。

 
しかしそれは突然起こった。前半の途中、僕はただ相手のボールを取ろうと体を前に入れた。そこで膝が抜けたみたいな、グニャってなった。なんじゃこれってなってすぐ倒れた。激痛とかよりかは、なんじゃこれが大きく、よくわからないが勝った。
まあでもすぐ治るだろうと、2日くらい経てば良くなるだろうと。
でもだんだんものすごく痛くなってきた。
 
次の日僕は病院に行った。MRIを撮って、レントゲンを撮って、診断を受けた。でもその時は前十字靭帯を切れてるいるとは言われず、ちょっと怪しいかもだけだった。
 
だから前十字靭帯じゃないことを祈った。みんな願っていた。僕も空をみ見上げて神頼みをしてみた。
 
そして9月11日から2日が経った夜
一本の電話が来た。
 
 
 
「いい話ではないけど、覚悟はいい?」
一瞬時が止まった。今思うとほんとにあの時はスローモーションに見えた。
 
 
「前十字靭帯だね。いまは整理できないかもだけど、、、」
 

はい?何を言ってるんだ。そんなわけないだろと思った。
これから活躍するんだろ?後期アピールするチャンスだろ?え、これでサッカー終わり?
いろんなことを思ったが、電話が切れると僕は無意識にそとをずっーーと眺めていて、無の境地に入った。
 
 
 
すると母が、僕の部屋に入ってきた。多分察したのだろう。
涙を堪えていた。
 
母は僕の膝を触り、


大丈夫

といった。
 
 
涙が止まらなかった。
死ぬほど泣いた。あぁこの歳にしてこんなにも泣くんだくらいに泣いた。泣き喚いた。
 
その日はそのまま何も考えられずおわった。
 
 
次の日僕は気づいた。不思議なことに。
普通なら落ち込んで、数日間何も考えられない人もいる。サッカーを辞めちゃう人もいるかもしれない。なぜならこの時期だから。
しかし昨日の涙の瞳の奥にもう1人のもがいてる自分がいたことに気がついた。
 
そこから葛藤が始まった。
 
もう終わりか? 辞めるのか? 諦めるのか?
 
 
 
ふざけんじゃねぇ
 
 
諦めてたまるか
 
 
昨日まで泣いていた男が嘘かのようにやる気に満ち溢れた。
 
 
 
あぁこれも神様の試練か。まだまだ強くなれってことか。
 
そして神様からお告げを得た
 
君は深い深い谷底に落ちた。だからこそ高い山に登れるチャンスを得た。
これは人生を転機する大きな試練だと。
 
 
 
こんな苦しいことはみんな味わえないだろ?
こんな悔しいこと経験できないだろ?
僕はこのような経験を人生の中ですることができて、とても幸せ者だと感じている。
 
今回怪我をしたことで得たものがある。
 
人一倍強くなれるチャンスを得た。
勇気を得た。挫折を経験できた。意地のためには、プライドは捨て恥をかいても目的に向かっていくことを諦めないことを得た。
支えてくれていた、応援してくれていた家族をはじめ友達、チームメイト、コーチや監督、今まで関わってくれていた人々、たくさんの人たちに支えられて生きていることに気がつけた。ほんとに感謝しかない。
 
 
これからまた壁にぶち当たるかもしれない。失敗もする。思い通りに行かないことも。
そんな時は何度も挑み続ける。何度倒れても這い上がる。
強く逞しく、そして頑強な漢になるために。
授かった命、毎日挑戦し続けることを誓い、命を懸ける。


名前:佐々木 大貴 (ササキ タイキ)
学年:4年
学部:体育学部体育学科
経歴:FC東京むさし→帝京高校