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レザーウェア縫製に必要な道具について|エヌエスプロの設備紹介

こんにちは!

福島県福島市にあるレザーウェア縫製工場、エヌエスプロ代表の杉山です。

少し前、会社にスマートスピーカーを導入しました。すごく便利です。こういうパソコン、スマホ関連のツールは、ガジェットって呼ぶんですね。生活に密着しているツールだから、みなさん関心があって、関連の情報がたくさん出てくるんですよね。

国内では1920年から1960年にかけて、ミシンは一家に一台ぐらいのレベルで普及していったので、縫製指南の雑誌もたくさんあったみたいです。その基準からすると、当時の縫製道具はいまでいうガジェットみたいな存在だったのかもしれません。今では毎日ミシンを踏まれる方は少数派かと思いますが😅

とはいえ、今でもミシンや縫製の情報を必要とされている方はいると思うので、今回はレザーウェアの製造に使う道具類を紹介していこうと思います。

エヌエスプロに仕事の依頼をするときに、こういう道具があるならこういうことができるんじゃないかな、と想像しながら読んでいただけたら嬉しいです!

ミシン

ミシンは家庭用、職業用、工業用があります。細かい差はありますが、ミシンのパワーの違いと考えてもらえるとわかりやすいと思います。パワーというのは針を刺すパワーと、生地を送るパワーです。

革は縫い代が重なると厚みが出るので、パワーの弱いミシンだと、針が折れたり、糸が絡まったり、縫い目が詰まったり(ステッチが不規則になったり)します。なので革を縫う時は基本的に、パワーのある工業用ミシンを使っています。

・針送りミシン

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台数:5台 糸の太さ:40~30番手 針の太さ:14,16,18

エヌエスプロの主力ミシンです。送り歯と針が一緒に動きます。5~7㎜ぐらいの厚みまで。ラムなどの絶妙な厚みの革を縫うならこれです。

縫っていると途中、縫い代が何枚も重なっているところがでてきます。厚みによる高低差で糸調子を乱さないよう、同じ運針で縫っていくのが技術です。製品を見ると何でもないように思うのですが、何でもないように仕上げるためにこそ技が必要なんですよね。

・上下送り

台数:1台

送り歯に加えて押さえがねも動くミシンです。準備中なので、まだ画像がありません!

・総合送り

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台数:3台 糸の太さ:30~8番手 針:18,20,21,22,23

こちらのミシンは、送り歯、押さえがね、針のすべてが動いて生地を送る、工場で一番パワーのあるミシンです。1㎝ぐらいの厚みまで縫えます。なので、ステアハイドやホースハイドなど、分厚い革の仕事はこのミシンを使います。

関東は上下送り、関西は総合送り、なんて話もあるようで、この二種類は同格扱いみたいです。カバンなどにも使われるので、そのような製品の中で使い分けがあったのかもしれません。

・本縫いミシン

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台数:3台 糸番手:50~40 針の太さ:9,10,11

こちらのミシンは薄物、裏地を縫う用に使っています。生地の下から送り歯で送ってくれます。針や押さえ金は動きません。布帛用に調整してあるので、革だと縫えても4-5㎜ぐらいまでですねー。

・ボタンホールミシン

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ボタンホールを開けるためのミシンです。最近導入したばかりなので、がんばって仲良くなっているところです😅

・二本針ミシン

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ストレッチの革などに使います。こちらは環縫いミシンともいわれます。英語だとチェーンステッチ。縫い目が伸びるステッチです。お持ちのTシャツをチェックしてもらえると同じステッチがあるかもしれません。

・ロックミシン

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裏地など、布帛の生地端を処理するときに使います。

余談ですが、わたしたちの使っているミシンは基本JUKIさんのものです。地方の工場だと近くにメンテナンスできる人がいることが、導入の決め手になったりします。

道具類

・別たち、重石

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革を切る道具です。重石で革を押さえて別たちで切っていきます。

・裁ちばさみ、金槌

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布や革を切る用の裁ちばさみと、縫い代を割ったり厚みを潰したりするための金槌です。

金槌は、ホームセンターにある商品ををいろいろ使いまくって、ようやく辿り着いたもの。柄の短さが使いやすさのポイントです。痛むと革を傷つけるので、定期的に買い替えています。

・銀ペン

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革の印付けに使うのは銀ペンです。革に対して色が映えるのと、水性なので消しゴムや水で消せるのがポイントです。

・接着剤、両面テープ

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どちらも革の縫い代を押さえるために使います。革の厚みによって使い分けます。

こちらもちょうどいい粘着のものを探すのにいろいろ試してきました…。

・伸び止めテープ&端打ちテープ

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袖ぐりなどが伸びないように貼るテープです。接着芯とあわせて使うことで洋服の形を出していきます。

・芯貼り機

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全面芯は芯貼り機、小さいパーツはアイロンで貼ります。

・縫い糸

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わたしたちが主に使っているのはフィラメント糸(長繊維のポリエステル糸)です。スパン糸(短繊維のポリエステル糸)でご依頼の場合は、別途発注をお願いしています。

廃業した工場さんから残った糸をもらっていたら、こんな量になりました。ほとんど揃っているので、今ならどんな色でも対応できますよ!

・定規、目打ち、糸切りばさみ

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主に縫う時に使う道具です。目打ちは革を抑えるときに重宝します。

・ミシン針

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工業用のミシン針です。下に書いている18,16,14というのが針の太さです。これも革の厚みによって使い分けます。

おわりに

以上エヌエスプロのガジェット紹介でした!

以前ボタンホールミシンを導入した際、メーカーさんが「ミシンは出来上がった時が50%で、残りの50%は使う人が調整しながら100%にしていく」とおっしゃられていました。

運転手のブレーキの踏み方で車に癖が出てくるように、ミシンにも使っている人固有の癖がついていくんです。

ミシンという単語はマシーン(machine)からきているそうです。直訳すれば機械という意味になりますが、使っている人間からすると、そんなに無機質なものではなく、それぞれを個性のある相棒のように感じています。

苦難を共にしてきたので、メンテナンスをしっかりして、これからも一緒にがんばっていきたいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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