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レザーウェアはどうやって作られるのか?|エヌエスプロの縫製手順

こんにちは!

福島県福島市にあるレザーウェア縫製工場、エヌエスプロ代表の杉山です。

洋服になる生地は、ほとんどのものが糸からできています。織物、編物という分け方がありますよね。どちらも糸をどう組織するかについの分類です。

レザーの原料は動物の皮です。そのため、糸から作られた生地とは若干扱い方が違ってきます。違っているといっても最後は洋服の形になるので、大筋の手順は同じなのですが、使う道具や、縫い代の始末の考え方について、布の洋服づくりとは少し違ったノウハウが必要になってきます。

というわけで、今回はレザーウェアができるまでの一連の流れをご紹介させていただこうと思います。

1.裁断

まず最初は裁断です。届いた革に型紙を乗せ、革包丁や別たちという道具でカットしていきます。

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革を広げて傷や色を確認します。1枚ずつに個体差があるので、布のように重ねてカットすることができません。製品1着分ずつ革を選び、使えない部分を避けてパターンを詰めていきます。

わたしとしては、裁断が一番難しく、全てのかなめになる作業だと思っています。革の状態や製品によっては、1着あたりに2時間かかることもあります。

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上の画像は別たちでカットしています。レザークラフトされる方にはおなじみの道具ではないでしょうか?ちょっと癖があるので慣れが必要な道具です。

2.テープ貼り、芯貼り

続いてテープ貼り、芯貼りです。

厚いレザーを扱う場合は使わないところもあると思うのですが、わたしたちが扱うことの多い柔らかいレザーの場合、形を出すためにテープや芯を貼ります。

まず先に、伸び止めテープを貼ります。テープに関しては工場お任せで依頼が来ることが多いので、どこに貼るのが最適か、構造を見て担当が判断することになります。

ここも経験がものをいう作業ですね。

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次に芯貼りを行います。大きいパーツは機械で貼っていきます。

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細かいパーツは手で貼っていきます。

3.縫製

パーツがそろったら、いよいよ縫製です。

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同じ種類、同じ色のレザーとされているものでも、染めたタイミングによって、微妙に色味が違ってくることがあります。なので、1着の製品の中で、異なるタイミングで染められたレザーが混ざらないよう、印をつけておきます。

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革の厚みに合ったミシンを選んで、縫製を行います。

レザーの場合、縫い糸が太いので、返し針をするとその部分だけ糸が濃くなって目立ちます。そのため表に見えるステッチの端は裏で結んで処理することにしています。

どこが表になって、どこが裏になるのかを理解していないと間違ってしまうので、ここも注意しながら作業します。

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レザーの縫い代はアイロンだけでは起き上がってしまい、表にひびくので、両面テープやノリで固定します。

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縫い代がたくさん重なる箇所は、針の通りが悪くなり、縫い糸が切れます。そうならないように、先にハンマーで打って厚みを押さえておきます。

ちなみに、外のステッチはある程度作業に習熟した人にお願いしています。レザーは縫い直しが効かない素材なので、ステッチがよれているとどうしても目立ってしまうからです。

1着あたり全部で約30個ぐらいのパーツを縫い合わせます。もし1人で裁断から縫製までやろうとすると、1着縫うのに10時間ぐらいかかるイメージですねー。

4.まとめ

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まとめは、まつり縫いやボタン付けなど、機械を使ってできない作業を、人の手で行う工程です。

昔務めてくれていた70代の方にお願いすることが今でもあるのですが、本当に素早く、きれいに仕上げてもらえます。それを見ると自分もまだまだがんばらないとなと思って気合が入ります。

5.検品

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レザーの付属(ファスナーなど)は検針機に対応していないので、触診がとても重要です。ポケットの中や裏地の中に何か紛れ込んでいないか、しっかり確認をします。

確認が終わったら、梱包、出荷します。

おわりに

これが一通りの流れになります。布の衣装を縫ったことがある方には、なんとなく作業の違いが伝わったかもしれません。

これが毎回完璧にできるといいのですが、なんだかんだ、ほとんどの工程を人間がやっているので、伝達ミスやトラブルはつきものです。事前に対策することももちろん大事なのですが、その斜め上をゆくトラブルは必ず起こります。わたしたちはトラブルと納期のあいだで、それに対処するスピードに命を懸けて仕事をしています。

縫製業はチーム戦でもあり、個人戦(技術)でもあります。どちらもあって初めて成り立つものなので、”俯瞰する目”と”技術を伸ばす日々の積み重ね”を、たゆまずやっていきたいですね。

なんだか最後、縫製論みたいになってしまいました。何かのご参考になればうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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