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山を宝にしたい・火災をなくしたい想いから誕生した耐火木材/新素材で新しい安心安全な生活空間

私たちNPO法人日本再生プログラム推進フォーラム(NSP)では、ヨコ型・シェア型・参加型の活動を通して、これまで観光立国新しい農業・日本列島の大掃除を政策提言してきました。

そして、偉大なる共生社会の実現に向けて、2016年・平成28年より「健康立国」を提唱し、健康イノベーション 3本の柱:(1)ストレスのない職場(2)病気にならない生活(3)安心できる社会インフラを展開していく新しいライフスタイルを推進しています。

今回は、ご縁と共に「そこに行かなければ出会えない」現場で体感する学びや気づきを共有していく「知って・行って・観て・会って」を通して、健康イノベーション3本柱の(3)安心できる社会インフラの一例をお届けします。

内容を深めていただき、皆さんの日々の暮らし・衣食住のご参考に、未来を創る発想や行動のきっかけになると嬉しいです。

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火災から命と財産を守り、山を宝にする!

火災をなくしたい山を宝にしたい想いと行動から、森林資源の木材(杉・檜・松など間伐材の利用促進)を中心に紙・繊維などの植物資源由来素材を不燃化する技術開発(*)と商品製造販売(**)を続けている浅野成昭さん(株式会社 アサノ不燃 代表取締役)と昨秋ご縁をいただきました。

(*)ホウ酸塩薬剤 セルフネン(開発・特許取得:株式会社アサノ不燃)で処理した素材は、耐火性能の実現と煙や有毒ガスを抑制し、新しい安心安全な生活空間の創造になる。

(**)国内で初めてアサノ不燃さんの不燃木材が建築基準法の不燃認定を受ける(建築基準法2条9項:不燃材料の規定に適合した木材)、不燃加工した新素材・耐火素材(木材・壁紙・和紙・発泡スチロール・発泡ウレタン・紙管・段ボール)を国内外に普及している。

*建築基準法の不燃木材:初期火災に相当する750度で20分間熱しても基準の熱量(8MJ/1㎡)に達しない木材

対談から約1ヶ月後の師走、大阪市北区でのビル火災により大きな被害が発生しました。(大阪市北区のビル火災を受けた緊急立入検査について/総務省消防庁

煙と有毒ガスを抑えることで延焼せず火災になりません!このことは世界中何方でも理解できる事実です」と浅野さんより直ぐにご連絡をいただきました。

“今回のクリニックや京都アニメ会館など法的内装材を使用しても延焼し火災になる状況ですが、命は火災で亡くなる前の1分2分程度の煙とガスで亡くなります。

ガソリンが燃焼した場合、まず感知器で排煙設備が作動しますが、クロスなどに延焼する事で新たな煙と有害ガスを発生します。このクロスは、特殊建築物の場合、不燃性能を求められ不燃材料認定商品で単体と複合がありますが、クロスの場合はガラスや石膏ボードなどの不燃材料との組み合わせた複合です。

問題は、国の評価基準で不燃材料として認定を受けていますが、表面のクロス材は燃えて煙と有害ガスを発生します。この事を知らないほとんどの人は、確認せず国の認定商品として信じています。燃焼させ確認頂ければご理解頂けると思います”

そこで、都内・江東区にあるアサノ不燃さんの本社・ショールームへ伺うことになりました。(浅野さんの地元:福井県坂井市に工場およびグループ企業あり)

不燃クロスの燃焼実験(黒く焦げても炎も煙・ガスも出ない)などの視察見学を年明け1月・私たちNSPで毎月開催している勉強会(第72回NSP時局ならびに日本再生戦略講演会)の翌日に、「知って・行って・観て・会って:アサノ不燃・浅野成昭さん編」をしてきました!

「自ら進んでいかないと実現しない」と間伐材の価値を高める材木商3代目であり、地域・気候調節ができる住宅もつくる一級建築士でもある浅野さんが独学で研究を続けてきた想いと20年以上継続されている活動をご紹介します。

“私たちが住む環境の安全性が問われているなか、建物で火災が起きたときに有毒ガスや火災での犠牲者を止めなければいけません。そのためにも、燃えない木材・火災にならない木材の大切さを知っていただきたい、理解を深めていただきたいと思います”(理事長・藤原直哉

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浅野成昭さんの原点と特別な想い

福井県坂井市で山と川の大切さを感じながら育った浅野成昭さん。

山を宝にしたい
=間伐材等を高付加価値化
=LVL+耐火処理
=新しい産業+雇用
=災害予防+ふるさと継承

火災をなくしたい
=煙と有害ガスを抑える
=火災にならない建築物
=命と財産を守れる+CO2排出ゼロに貢献
=安全安心な生活空間の確保+地球環境貢献

新しい安全安心な生活空間を作りたい
=初期火災を無くす
=新しい法整備+新しい資産価値
=新しい社会に貢献

セルフネン技術と商品を広げたい
=技術・ノウハウの供給+共感者

“山にいて木を1本切るのに昔はノコギリだから、1日4,5本。1本・1本切るためには、周りをきれいにして感謝しながら1本ずつ倒していくんですよ。自然の中に生かされている環境で育ってきたので、今では山を見ると日本の文化と関係なく違う方向へ行っているような気持ちになります。最近ではCO2削減とか言うけれど、その考え方は日本にずっと前からあるもので。だからこそ日本の伝統文化を生かしていきたいですよ” 

・不燃技術を開発したきっかけ:お母さまの実家が家事に(100坪の木造家屋が全焼)

・「木造家屋に未来はないのか」「人と火の付き合い方を見直して、燃えない木の家をつくりたい」材木商3代目であり、一級建築士であり、18年間消防団の一員でもあった浅野さんの悲しみと希望

・独学で研究を始め試行錯誤の末、10年の歳月を経て木材の不燃化に成功(不燃木材の製造に成功)

・更にその技術を応用して、不燃加工した壁紙・不燃和紙・発泡スチロール・発泡ウレタン・紙管・段ボールを実現(熱だから溶けるも燃えない)

・国づくりをする上で非常に必要な技術:火事をなくすために不燃技術を生かしたい

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知って・行って・観て・会って/アサノ不燃・浅野成昭さん編(動画あり)

*収録時のみマスクを外して撮影しています。

・大阪の火災、NYの火災、煙とガスで亡くなっている
・火災をなくしたい想いと山を宝にしたい想い
・木材の付加価値を上げたい
・独学で10年、最終的に辿り着いたホウ酸塩
・木材の欠点:燃える、腐る、カビが生える、シロアリが来るを補う(防火、防腐、防カビ、防蟻、マイナスイオン効果あり)
・煙ガス、二酸化炭素も抑えることができる
・木材から発泡スチロール、紙、繊維までいろいろな素材から煙ガスを抑える
・白い固形物のホウ酸を液体にして木材に含浸、白華防止現象と経年変化状況
・新たな素材だから、新たな実験をして、新たな発見がある
・LVL材(Laminated Veneer Lumberの略称。単板積層材)は歩留まりが良く山の木材を使える
・縦方向に積層された頑丈な木材:圧縮強度はコンクリートの約9倍、引っ張り強度は鉄の約4倍

01木質素材のメリット
02木質素材のメリット


・セルロースの塊である木材に染み込むホウ酸塩
・伊勢湾台風(昭和34年/1959年 参考:災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1959 伊勢湾台風/内閣府 防災情報)以降、日本中の建物が木造建築から鉄筋コンクリートへ
・新たな指針:官庁施設における木造耐火建築物の整備設計
・新しい言葉:木造耐火建築物
・メンブレン型(セルフネン耐火被覆)と燃え止まり型(一般木材)の違い

“せっかく「木材を使いましょう」という法律ができたのに、燃えたらおかしいよなと。世界中が燃えない木材とか、煙ガスが出ない木材などあるわけないという発想なんですよ”

“木材に石膏ボードを貼るのではなくて、僕は木材を使いたいんですよ。そうすることによって、新しい木造建築、煙ガスを抑えて火災にならない木造建築、新しい安心安全な空間を世界に広げたいんですよ”

・構造材と内装材を不燃木材・不燃クロスから耐火木材・耐火クロスへ
・黒い煙と有毒ガスが出るクロス+石膏ボードの不燃問題_材料規定による20分間の総発熱量
・脱石油で考える新しい時代の暮らし
・限られた人生、できることをできるだけやろう
・理解を得た納得の1枚の絵
・一緒に溶け合うことのない無機質なホウ酸塩と有機質な木材の合体

“有機物と無機物は絶対に一緒になりませんから、セルフネン不燃木材は分けられるから(薬剤と木質材料に分離)、リサイクルもできる(再資源化)好循環なのですのよ” 

*アサノ不燃さんの不燃木材は、加熱し続けると最終的に炭になるため、有害物質は出ずに安全に廃棄できます。

・含浸技術としての個体から液体への濃度
・不燃木材用ホウ酸系とリン酸系の薬剤実験_溶脱性能確認試験
・リン酸系での含浸処理木材:液だれ現象
・ホウ酸系での含浸処理木材:白華現象
・難燃薬剤処理木材の品質管理基準等の検討、事業報告(JIS)
乾湿繰り返し試験_質量変化
・着色と専用塗装による白華防止(通常の木材と同様に自然な木目、風合い、香り、自然なゆらぎ効果あり)
・認定方法と薬剤低下
・不燃加工による木粉(木工屑)の再利用開発_塗り壁材として有効活用
木ぬり壁/木材利用シンポジウム in 福井 PDF版120ページ目
・珪藻土使用したぬり壁材の発がん性物質、アトピー問題
・珪藻土を粉にする加工で出るシリカと接着剤問題
・ホウ酸塩によりカビが生えない不燃材料とでんぷんのり
・地元福祉_塗り壁からパネル製作も検討中
・紙管建築物も不燃・耐火へ
・廃棄が大変なセラミック
・火種になりうるインテリアも不燃化する必要
・防煙性能としての防火カーテン_燃える燃えないとは別

“防煙とか不燃ではなく、素材を耐火に変えたいんですよ”

・世界にないものを開発するコツ_自分の役割
・新しい生活空間の安心安全
・私だけの財産ではないからこそ責任を取りたい
・知財がマイナスになってしまう日本の問題
・知財に対する開発は一般会計と別会計にしたい
・法律を変えたら健全になる企業

“木造ですか。耐火建築物ですか。それとも木造耐火建築物ですか。この3つによる法整備ができていないのですよ”

・国交相の指針はあっても決めていない財務省
・企業責任の時代

“いろいろな壁を愉しみに、1つずつやっているわけですよ。新しい技術を皆さんと共有したいですね。新しい生活空間をつくりましょう”

・独自で突破口を開いての未来づくり
・新しい性能の融合による新しいライフスタイル
・良い意味での現代化
・一点突破がやがて未来を変えていく

収録を終えての談話にて:木材の供給基地は、全国につくりたいのです

・JAS(日本農林規格)では、杉は1種類
・不燃木材など薬剤を含浸させると同じ杉でも入るものと入らないものがあるから、地域によって全部違ってくる
・地域ごとに小さな工場を作った方がいい
・地域での新しい産業・新しい雇用も生まれるから、地域の材料も活かせるわけ
・小さい工場なので大きな建物はできないから、全国に小さな工場(300坪)が10箇所できたら
・大きな建物の場合には各々に受注してやると、みんなに仕事があるわけ(定期的な仕事があることが工場継続の条件の1つだからこそ)

収録を終えての談話にて:燃えない木材と消防について

・「消防は、火を消していればいい時代は終わった」と話したニュージーランド消防庁長官(来日した際のインタビュー)
・火災は日本でも減少傾向だが、今は煙で死ぬ時代:正確にいうと煙死(かつての火災は焼け死ぬことが一般的)
・巨大化する自然災害、木造密集地による圧迫死
・燃えない建物・物があれば煙死の速度は変わる
・建築基準法:煙が出ること前提、第1条:最低の基準のメッセージ
・煙がでなければ全く違う
・表面燃焼は炎が出ない、煙やガスも微かに出る程度、致死量には至らないから消防にはありがたい
・火災に対する考え方が変わるのではないか

“仲間をつくらなきゃ、一人ではできっこないですよ。どう活かすかは皆さんと話していくんですよね”

・耐火建築物は木造はダメという感覚からの転換

特許だけ見ても真似はできない/技の結晶とこだわり

<特許だけ見ても真似はできない不燃技術の秘密>
・木材に不燃液を染み込ませてつくる不燃化処理木材
・不燃効果のあるホウ酸塩の水溶液を最大限の濃度に溶かして木材の地域による材質によって調整

<技の結晶とこだわり>
・不燃液が染み込んだ木材を炎にさらすと、ホウ酸塩が空気中の水分を集め燃焼を抑える
・更に温度が上がると、ホウ酸塩が溶けてガラス質変化
・ガラス質は酸素が入り込むことを防ぐので燃焼を抑制
・独自の含浸機(直径1.5m, 長さ9m)とノウハウによりホウ酸塩が適切な濃度で木材の奥深くまで染み込むため、ガラス質が多く作られより高い不燃効果
・木材1本1本に刻印されるバーコードで木材管理:識別(不燃液含浸量を計測)
・木材それぞれに個性あり、同じ素材でも浸透率が違う

サントリー美術館のエレベーターホールには、越前和紙を使ったセルフネン不燃壁紙が採用されています。

03木質素材のメリット
04木質素材のメリット
世界唯一のセルフネン技術

NSP知って・行って・観て・会って
2022年・令和4年1月
株式会社 アサノ不燃・浅野成昭さん


先日発表された第166回直木賞:塞王の楯(今村翔吾さん著)は、戦国時代の越前・一乗谷生まれの石工が主人公。

国の特別史跡である福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡博物館(仮称)の建設工事では、セルフネン不燃木材が天井及び壁面にもふんだんに採用されているそうです。来秋が愉しみです。


浅野さん、関係者の皆さん、視察見学に同行してくださった皆さん、ありがとうございました!






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