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奥田健次(2011).『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』大和書房.

 著者が,自分の専門は「応用行動分析学」と述べているように,行動療法の観点から子供の行動を促す言い回しや対処方法についてQ&A方式で説明されている本。

 結論から言うと,参考になることが多いし,忙しいとつい自分もしている言動があるなぁと反省と共に読了。行動療法は,専門ではないので何とも言えないけど,ポイントは2つのように感じた。

 1つは,刺激と反応のように,行動の結果,何が起きるのかを子供に分からせるということ。良いことをしたら思い切り褒め,悪いことをしたらサンクション(罰)を与えるということ。罰といっても,もちろん暴力やネグレクトではなく,子供と交渉の土台に立たないということ。本書の例では,本来1日1時間と決まっているゲームの時間を子供がゲームの時間の前借りをしてしまうという相談の例があった。前借りを許し,自転車操業になるのではなく,次の日はゲームを禁止にするという「イエローカード」ではなく,「レッドカード」を出すということ。

 もう1つは,ゲーミフィケーション*の手法が取り入れられていること。

ゲーミフィケーション=ゲームのRPGをクリアするようにゲーム感覚で課題に取り組むことで物事をこなしていくこと。受験勉強や仕事でも(ゲームのRPGのように)小さな課題をクリアしていくことで,目標を達成するやり方。ゲーム世代の若者を惹きつける仕事方法として注目されている。

 子供に指示を出すのではなく,疑問形で問いかけ子供の好奇心を煽るやり方が紹介されている。「どうして○○しないの?」ではなく,「15かぞえるまでに○○できるかな?」と相手にとって詰問風に聞こえる「why」ではなく,Do you-, Howに切り替え,子供がその行動が出来たら思い切り褒めて行動を強化する。

第4章では子供が学校に行きたくない時の対応についてとても大切なことが書いている。まずは,何故か子供が学校に行きたくないのかを3つのパターンから考える。
1.家>学校(家の方が楽しい)
2.親に注目されたい
3.嫌なことを避けたい

もし3ならば,子供最優先で対応しなければならない。よく「親が学校に言うと余計いじめが酷くなる」というのは,子供の認知限界から生じるもので真に受けてはいけないとも書かれていた。

 あと,日ごろから常に子供のことを最優先に考えていることを子供に伝えることが,子供が親に言いやすい環境を作るとも書かれている。親は子供にとって最大の拠り所だから,(3が起きることはないに越したことはないが)土台を作っておきたい。

 最後に気になった点。全般的に語りの主語が「お母さん」になっていた。子育てをするのはお母さんの仕事とは限らない。特に若い世代は一緒に子育てする割合も高いだろう。その点は表現を変えた方が良いと思った。












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