大丈夫。
息子(7才)と娘(12才)が、ソファに並んで座っていた。
3人掛けのソファを、彼らは勝手に半分に分けてそれぞれの領土としている。その境界線から、息子の肩がはみ出した。姉は黙って押し返す。弟は怒って姉を蹴る。
それを見ていた父(私の夫)が、「そんなことしたらだめだよ。お姉ちゃんに謝って」と言う。
そこで、息子の場合、どうなるか。
もちろん謝らない。
言い聞かせようとすると、怒りの矛先は父に向かう。
「お父さんが悪い。だから〇〇して。言うとおりにしないと〇〇するよ」と言い出す。口調には強い感情がこもっている。罰は、大事そうなものを捨てるとか、小部屋に閉じ込めるとか、そういう内容。「うん、いいよ」とは言えない。父は黙っている。
すると息子は、何度でも同じことを言う。額が触れ合いそうな至近距離で。
彼はよく怒る。身の回りのいろいろなことについて、「これはこうあるべき」というのがあるようで、そこから外れると怒る。関係する人を責め立てる。
そこまで論理のなかった幼い頃も、よく怒っていた。
どうしてこんなに怒るんだろうと、息子が幼い頃から考えていた。
私が彼を怒っているからではないと思う。
私は怒ることは苦手。
上に書いた息子の言葉のような、「〇〇したら〇〇」方式の懲罰や報償もしない。なるべく、誰かを自分に従わせたくない。
息子の怒りに対する私の基本姿勢は、「黙って耐える」「右の頬を打たれたら左の頬を差し出す」。
ただ、怒りにさらされるのが辛くなることもある。かなりのエネルギーなので、そばで見聞きするのさえ辛い。
どうして怒るのか。
彼の場合、不安が強いのかもしれない。
たとえば、姉の友人に挨拶でハグされて、怒ったことがある。話を聞いてみると、彼はハグが苦手らしい。
その心地よくない感じ(不安)が、怒りのもとになるのかも。
注意されたときに、逆に怒り出すのも、注意されることが苦手(不安要素)なのかもしれない。
息子の中にある強い感情は、怒りより不安なのかもしれない。新しいことに慣れるのも時間がかかったりするし。
これから成長して、大人になって生きていく上で、そんなに怒っていてやって行けるのかな、と思ったこともある。
でも、私にできることは、「大丈夫」と息子に伝えることだという気がする。息子自身が「大丈夫」と思えるように。
怒ってようがいまいが、なにをしていようが、君は大丈夫。
タイトル画像は、近所の桜。マドリードは今、あちらこちらで桜が咲いている。
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