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A子さんは今もいますか

Francfrancが、もとは福井県の家具メーカーの子会社だったとは知らなかった。

リビングに積まれていた本と雑誌の中から、引っ張り出した『一橋ビジネスレビュー』2020年春号。

Francfrancに関する記事だけ読んだ。
同社の成り立ちから、経営戦略の変遷、最近の動向など。

1992年に天王洲に1号店を出したFrancfrancには、明確な顧客象があった。
それは「A子さん」。25才で一人暮らしのOL、という設定だったそうだ。

2010年代に行われた、経営者の高島郁夫氏へのインタヴューが引用されている。
「A子さんは今もいますか?」というインタヴュアーの問いに、
高島氏は「いませんね」と答える。
だが、こう付け加えている。
「でも、30代、40代になってもA子さんの心を持ち続ける人たちがいます。以前は、どうしても生活感が出ていた」

”ウサギ形のしゃもじ”とか、”真珠貝のランプ”みたいな、ファンシーな雑貨のメインターゲットとなるのは、やはり20代だとは思う。
それはともかく、その30代や40代というのは、どんな人たちなのか気になった。そこまでは記事には書かれていなかった。

ところで、文中で「OL」という言葉を使ったけれど、この言葉はどうにかならないのだろうか。ちょうどよい代替語がないために、まだたまに使われる死語だと思う。だが、そもそも「女性」と「会社員」の組み合わせを取り立てて示す必要がなければ、消えて無くなる語だ。

「30代・40代のA子さん」もまた、「OL」という言葉の響きからは外れたところにいるような気がする。

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