温泉行きのセルフケーブルカー?徳島の祖谷温泉
平家の隠れ里伝説が語り継がれている場所は日本各地にあるが、徳島にある祖谷渓(いやけい)もその一つだ。祖谷渓は吉野川に沿った険しい渓谷地帯として知られており、日本三大秘境のひとつに数えられている。
そんな祖谷渓には、美しい渓谷風景を楽しめるいくつか温泉宿が存在するが、中には温泉までケーブルカーを使う場所もあるという。
今回の異次元空間では、ホテル祖谷温泉を紹介してみたい。
祖谷渓に沿った道路から川までの高さは約200メートル。覗き込むとその深さにぞっとする。写真の小便小僧は1968年に観光名所として整備されたものだそうだ。
さきほどの小便小僧の近くにあるのがホテル祖谷温泉である。
谷底にある源泉かけ流し露天風呂まで、ケーブルカーでご案内いたしております。約170m下の露天風呂までは約5分。傾斜角42度の断崖を、ゆっくりと大パノラマの景色を一望しながら下っていきます。
祖谷川の流れにせり出すように造られた男女別の露天風呂には、豊富な湯量が自噴しています。日本三大秘境の景観を楽しめるケーブルカーで、
贅沢な時間をお過ごしください。
ホテル祖谷温泉ウェブサイトより
ケーブルカーに乗るためには宿泊するか、立ち寄り湯を利用する必要がある。立ち寄り湯は1700円するものの、ケーブルカーと源泉かけ流しであることを考えれば相応かもしれない。
ケーブルカー乗り場は写真のように張り出している。
ケーブルカーは乗り場に設けられたスイッチを押すことで呼ぶことができる。まるでエレベータのようだ。
ケーブルカーについては乗り場に乗り方の指南が掲示されている。英語でも中国語でも書いてあるあたり、外国人観光客も多く訪れるようだ。
ケーブルカーは17人乗り、長さ250メートル、標高差170メートルを7分かけて移動する。
ケーブルカーが動き始めてから待つこと数分、ケーブルカーがやってきた。いい具合に撮ろうとカメラを構えていたものの、予想よりも移動が遅く拍子抜けした。
ケーブルカーの前方には「上り」ボタンと「下り」ボタンがある。ケーブルカーは乗り場とケーブルカー自体の扉を閉めた上でこのボタンを押さない限りは動かないようになっている。
自分で呼び、自分で発車させる。そんなセルフサービスなケーブルカーがあるのはここならではではないだろうか。
降りた先には祖谷渓の渓谷風景があった。
振り返れば谷からせり出すように作られたケーブルカー乗り場と露天風呂の建物が見える。目玉となる露天風呂は源泉掛け流しであった。「渓谷の湯」「せせらぎの湯」が男女日替わりで提供されているという。
露天風呂から戻る際は、再びボタンを押してケーブルカーを呼ぶことになる。タイミングが悪ければ上り・下りで15分程度待つことになりそうだ。夏はともかく、冬はホームで待ち続けるのは厳しいかもしれない。
ケーブルカーのある珍しい宿、ホテル祖谷温泉。観光で祖谷渓に日帰りするときは立ち寄ってみるのもいいかもしれない。
日本にはまだ見ぬ不思議な光景があるものだ。
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