日記 2023/12/17 断煙
母に会う。
「なにか、あなた宛に来ていたよ……あれと……これと……、」
「あと、電子タバコの割引案内」
爆弾。
わたしは家族にたばこを吸うことを打ち明けていない。なんとなく後ろめたくて隠している。
この案内が送られてきてしまった要因としては、クーポンにつられてウェブアンケートに回答した際、IQOSの割引に興味がありますか?という質問項目に「興味がある」と回答したからだと思う。そして、登録してあるのが実家の住所だった。
そのことにすぐ気付いたので、クーポンのためにアンケートを適当に回答したせいだと答えた。半分本当で、もう半分は、
「IQOS安く買えんならいいかもな~」
……嘘だった。
ただ、わたしにいちばんの衝撃を走らせたのは母の言い方だった。
喫煙に否定的な母が、もうずっと、わたしがそうしていたことを知っていたかのような淡々とした言い方をした。
匂いのあるものなのだから隠し通せるものでないことは理解していた。知られているのかもしれないとは思っていた。しかし、周囲がほぼ喫煙者で匂いのつきやすい環境であったし、特に前職では勤務中に別の香りを持ち帰ってしまうためその香りに紛れているのではないかと思っていた。吸っているのか、と聞かれたこともなかった。母は子どもに思い入れの強いタイプのため、気付いたら問いただされ、止められると思っていた。それで、結局はバレていないという思いでいたのだ。
なにもかもわたしの推測でしかないので本当のところは何もわからない。
もう大人だし、自由にしたらと思っていただけかもしれない。
前職ではたばこ休憩以外昼休みも含めてほぼまとまった休憩時間が無いも同然だったこと(実際には勤務中たばこは吸わなかったが)、わたしが仕事に対して自分では抱えきれないほどのストレスを感じていたこと。こういうことを母もなんとなくわかっていて、喫煙などということに走ることへのギャップがなかったのかもしれない。
いやわからん。シンプルに健康診断結果とか偶然見られてしまっただけかもしれん。
なんにせよ、わたしは「(母、そして自分にとって)良くないことを嘘までついてコソコソしている自分」がたいへん恥ずかしくなってしまった。幼い私にとっては堪え難い臭いだった父のラッキーストライク、真っ黒な肺の写真、方方から聞こえる否定的な意見、嫌煙家。私にとっても喫煙は「良くないこと」なのだ。煙をあいすることも煙をあいしている人のことも好きだけれど、わたしがそれをすることにはいつも、うしろめたさが伴う。正直に、すなおに生きていたい。
なんだか今なら、たばこを辞められそうだな、と思った。すてきな灰皿はきれいに洗ってアクセサリー入れにでもしようか。
まだ実行し通せるかはわからないけれど。
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