Vol.18 さしがね

(ノックする音)
「お呼びでしょうか。」
『あぁ中村。お前、明日の地下格闘技大会の首尾はどうだ?』
「えぇ。それはもう抜かりなく。仰せの通り、異種格闘技戦とのことで様々な分野の最高峰が集う素晴らしい大会をご提供いたします。」
『ふふふ...なかなか面白くなりそうじゃないか。ところで、一番重要な我々のさしがねはどうなっている?』
「はい。もちろん最強の刺客をご用意いたしました。」
『よくやった。これで利益は全て我々のものになる!ところでどんな奴を用意したんだ?』
「こちらでございます。」
『...。おいおい、見る分には随分と華奢な体付きだがコイツで本当に大丈夫なのか?』
「ご安心ください。彼は間違いなく、フォートナイトのトッププレイヤーです!」
『.......。え?ん?あ??なんつった?』
「え、フォートナイトの、トッププレイヤー。」
『...ゲームの?』
「ゲームの。はい。ゲーム。」
『うん、馬鹿なの?お前異種格闘技にマジの異種連れてきてどうすんだ!』
「ふふ...彼との試合内容はフォートナイトにする様、手回しをいたします」
『馬〜鹿なの?!なんでボコスカやり合ってる中コイツとゲームしなけりゃならないんだ!」
「ご、ご安心ください。明日は出場者の個人情報は隠しております!なので彼がフォートナイトの実力者ということは誰も知りません!」
『だろうね!フォートナイトするつもりで来てないからね!』
「も、もし!他の種目でも!彼はある程度は戦えます!」
『無理よ。ワンパンよ?』
「いえ!彼は他にもレース、パズルも得意です!他のゲーマーには負けません!」
『いやゲーマーに勝っても意味ないだろ!』
「...???」
『いや、ゲームで勝ってもしょうがないだろ?!』
「...え???」
『なぜピンと来ない!...いや待て、ゲーマーに勝ってしょうがないにピンと来ないてことは...え!怖い!こっわ!』
「どうされました?」
『もしかして...他の参加者も、ゲーマー?』
「ハイ」
『最悪のビンゴが揃った』
「異種格闘技ですよね?鉄拳、ストファイ、テトリスと幅広く揃えました」
『しかもゲームもバラバラだ。なにで勝負すればいいんだ』
「くじ引きで決めます。」
『ゲームパーティかよ』
「そしてうちの選手の試合では毎試合フォートナイトにするよう工作いたします」
『バレるバレる。なんでアイツ毎回同じゲームやってんだってなるだろ』
「まぁ魅せるプレーは盛り上がりますから」
『ゲーム実況者かよ』
「ゲーム実況者です」
『ゲーム実況者なんかい!!』
「なんならVtuberもいます」
『オフ会じゃん』
「なんなら配信もありますしね」
『地下の意味わかってんのか?!それはもう大型コラボイベントじゃない』
「面白くなってきましたね」
『中止だよ!!』
「え?」
『中止も中止。配信されてる中で賭博できるか!!』
「?」
『あ〜、その感じ』
「賭博しませんよ」
『そもそもの報連相の問題があった』
「ボスの推しも出ますよ」
『なんで知ってんだ!』
「どうします?」
『...やってみるか』

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