『水俣病の科学』西村肇 日本評論社
水俣病の原因物質である有機メチル水銀の生成機構を明らかにした西村肇氏が著した本を愛知県図書館で見つけ、しっかりと読みました。昨日、断捨離中にその本の一部をコピーした物を見つけ、再読しています。衝撃的な一文は『生成機構』は明らかになったが、水俣以外でも有機メチル水銀が環境に放出されるも水俣のような被害が発生していないメカニズムは不明のままです。
水俣での対策は水俣湾のメチル水銀汚泥を埋め立て地に埋めることが主であり、埋立て場所からの漏えいについては十分な対策が取られていない。この行為は原発から発生する核のゴミと称される核汚染物質を固化して地中に埋設する方法を選んだ我が国の政策と酷似している。
水俣病は風土病、奇病、伝染病だとフェイクニュース扱いをし、国・県・市・大学がスクラムを組んで被害者を差別した歴史があります。
当時の科学技術には未熟な点が多く、手探りで有効な化学物質を開発して、生成メカニズムや有害性の確認などは後回しにされてきた。その言動に待ったをかけたのが「沈黙の春」で農薬・殺虫剤の無秩序な使い方に待ったをかけたのがレイチェル・カーソン女史でした。農薬類製造・販売企業は「企業を潰す魔女だ。」と言うネガティブキャンペーンをはり、御用学者はそれに従った。カーソン女史は「無秩序な使用を控えよう」と言っただけで、「ゼロにせよ」とは言っていないが。
カロザースがナイロンを開発し「水と炭素で鋼鉄より強い繊維を作り出すことに成功した」と宣伝し、ナイロン製のストッキングに女性たちは夢中になった。それまでのストッキングは絹製で高価格、すぐ破れるので高嶺の花でした。
昨晩のNHKスペシャル「ヒューマンエイジ」も科学と食の問題についての衝撃的な内容でした。トウモロコシや大豆の大量生産、それらをそのまま食するのではなく加工と言うより、分解して有用物だけを分離精製して、私達の生活の一部になっている。地球の陸地の4割が食物の生産のために使われている。その行為は温室効果ガスよりも地球を痛めつけているように思われるが、それを証明する術を私は持っていない。
ペルーの人だったと思うが数種類の作物を混植する伝統的な農法で、化学合成に頼らずにSDGsを実現している話題が。論語の言葉ではないが『温故知新』が人類を救うのではないだろうか??