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「きく力」は、なぜ大事なのか。

今年から始まったアートベンチャーエヒメというプロジェクトに、アートコミュニケータ(通称:ひめラー)として参加しています。

先日、基礎講座の2日目が開催されたので、その記録をしておこうと思います。

テーマは「きく力」でした。


■「きく力」を身につける


講義は、以下のような内容でした。

「きく力」を身につける/講師:西村佳哲さん
コミュニケーションの基本は、上手な話し方をするのではなく、話している相手に、本当に関心を持って「きく」ことから始まります。この会では、話を「きく力」について考えます。
・話を<きかない>とはどういうことか?
・話を<きく>とは? また、それによって生まれるものとは?

アートベンチャーエヒメ基礎講座

講師は、働き方研究家・リビングワールド代表の西村佳哲さん。

西村さんの著書「自分の仕事をつくる」は、読んだことがありました。Amazonの購入履歴を見ると2009年。会社員を辞めて何か自分で仕事がしてみたいなぁとぼんやり考えていた頃だったかなと思います。(実際に退職するのはそれからずっと先の2017年です。)

そんな、古くからの知り合いのような気持ちを勝手に抱いていた西村さんは、さっぱりした坊主頭に眼鏡、スラっとした出立ちで、落ち着いた優しいトーンで話される方でした。

■話を<きかない>とはどういうことか?


講義は一方的に話を聞くのではなく、半分以上の時間がロールプレイングや近くの人と感想を述べ合う時間に使われました。

最初は話を<きかない>を体感するワーク。

話を<きかない>パターンは大きく4つあります。

  1. 横取り•••「私はね〜」と話題に乗っかって自分の話を始める

  2. 否定•••「そんなの大したことないよ」「あなたが悪いよ」と否定する

  3. 解決•••「○○してみたら?」と解決法を提示する

  4. 無視

1〜3のパターンを「きき手」「はなし手」「観察」の役割を交代しながらやっていきます。

私は「3. 解決」のはなし手をやり、我が家のねずみ問題についてこんなに困ってるんだよ〜と熱弁しました。

私「PC仕事中も天井でガサゴゾ音がするので、気が散って困ってるんですよ〜」
きき手「耳栓をつけたらどう?」

いやいやいや、そういうことじゃないでしょー!!ワークだとわかっていてもカチンときました(笑)

でもね、こういうこと普段無意識でやっちゃってるかも。とくに思い当たるのは子供との会話。

子供「宿題めんどくさい〜。やりたくないよ〜」
私「どうせ最後はやるんだから、今やれば?」

あぁぁ、胸が痛い。

▶︎関心がどこにあるのか?

「4. 無視」は完全に関心がない状態です。無関心は人の心を殺します。人は関心がエネルギー源になるので、まったく関心がない状態だとしゃべれなくなってしまいます。

一方で、「1. 横取り」「2. 否定」「3. 解決」は、相手の話を聞いた上でのリアクションなので、まったく関心がないわけではない。

ではどこに問題があるのか。それは、話の「内容」に関心はあるけれど、その「人」には関心がない、というところなのです。

▶︎内容よりも、その人に関心を持つ

「内容よりも、その人に関心を持つ」も実際にワークでやってみましたが、頭では理解できても実際にやるのは難しかったです。

人間の脳は考えるのが仕事なので、話をききながらも自然と考え始めてしまいます。まったく頭をからっぽにして、相手の話を全身全霊で受け止めるということがいかに難しいことなのか。それでも、なるべく意識して「その人」自身に関心を持とうとする姿勢が大事なのだとわかりました。

これはもう一朝一夕で身につけられるものではない。日頃から意識して話をきいて、ときに揺れ戻され落ち込みながら、だんだんと身につけていけるものだと思いました。

■話を<きく>とは?


▶︎人は2種類の言語を話す

さらに講義の後半では、話を<きく>ということについて、深掘りして考えていく時間でした。

インタビューの仕事をしている西村さんいわく、インタビュー中に人は大きく2種類の言葉を話しているとのこと。

  1. 事柄•••頭から出てきている思考や情報

  2. 気持ち•••体のどこかから出てきている実感や感覚

ときに「事柄」と「気持ち」が一致していない人もいるそうです。(口では「自信がないんです」と言いながら、目はキラーンとしてるとか。)

「事柄」ばかりに囚われて、話す言葉を正確に知的に理解しようとすることが話をきくことの本質ではない。もっと、非言語の部分(表情や態度、抑揚、体の動きなど)をひっくるめて話をきくことが大事だ、とおっしゃっていました。

「きく」って、耳だけじゃなくて、全身の全感覚で受け取るものなんだな、というイメージだけはできました。

▶︎感覚→感情→思考

感覚→感情→思考、の順で育っていく、という話も印象的でした。

感覚は「なんかモヤモヤする」とか言葉にならないもの、感情は「うれしい」「悲しい」など感覚が言葉になったもの、思考はさらにそれが処理されてセンテンスになったもの。

純度でいうと「感覚」が一番新鮮で今の自分に近く、「思考」に行くほどちょっと古くなり、誰かが言ってた言葉やどこかで読んだ言葉も混ざり始めます。

「思考」の領域だけで話をすると、決まりきったことのやりとりになってしまいます。一方で「感覚」に触れる話は、今話している私とあなたの間で、今まさに何が生まれるのか!?という躍動があります。

▶︎わかった気にならない

最後は「簡単にわかった気にならない」ことが大事というお話がありました。

人はどうしても自分の物差しで、人の話を処理しがちです。「私ならこう」で決めつけず、相手の気持ちは相手に聞いてみる。

また、一回聞いて話してくれたとして、相手の中の感情はそれ一つとは限りません。そこで安心しないで、関心を持ち続けることの大切さを、具体的なエピソードとともに教えてくださいました。

それは、相手の感情もだけど、何気なく使っている言葉についても同じです。

「健康」「民主主義」「文化」、、、よく聞く、よく見る言葉たち。だけど、それらに対する意味づけやそれらにまつわる経験は一人一人違います。

その人がどんな気持ちで、どんなニュアンスで使っているのか? ここにも注意を向けて、簡単にわかった気にならないことが大切です。

■「きく力」は、なぜ大事か?


この問いに対して、講師の西村さんはこのようにおっしゃっていました。

相手がより自分を表現できる時間を一緒に作るため。
どんなに話したい人も、きいてくれる人がいないと話せない。
きく人の態度によって表現できるものが変わってくる。

プレゼンテーションが上手な人が多いコミュニティが良いコミュニティではなく、きくのが上手い人が多いことで表現できる人が多くなるのが良いコミュニティ。ひめラーの基礎講座の序盤で「きく力」について学ぶ所以です。

「きく」ことで目の前の人とどう関わっていくか、人生全体における姿勢にも通じてきそうだと思いました。

最後に、講義を受けて私が感じたことを記しておきます。

「きく力」は、なぜ大事なのか?という問いに対する、今の私の答えはこちらです。

お互いに「いい時間」を過ごすため
→相手の深いところに触れ、心震わされる瞬間を味わうこと
 予定調和ではなく、互いの掛け合いにより新たな何かが生まれること
 その人と深く関わっていくこと

まだまだ「きく」の初心者ですが、ひめラーの活動を通じて体に染み込ませていけたらと思います。


今日も最後まで読んでくださり
ありがとうございました😊


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