シビレの伴う腰の疾患の話
こちらでは、腰の痛みと足のシビレが出ている方に向けた内容となっております。
これから紹介する症例は似ているようで違う疾患となりますが、解剖学からの視点と画像所見からの視点、それぞれ特徴的な症状が出現するのでその点も踏まえて、解説していきたいと思います。
腰の疾患で足のシビレが伴う疾患の代表格が「腰椎ヘルニア」と「腰部脊柱管狭窄症」です。この二つは一般の方でもよく聞く疾患名ではないでしょうか??
・そもそもヘルニアとは何ぞや??
→身体の中の一部が、あるべき場所から出てきてしまった状態を
「ヘルニア」と言います。
※ここでは、腰のヘルニアにつて書きますが、人のカラダでは
その他の部分でも起こり、その場所によって疾患名も変わります。
腰椎の間には椎間板と呼ばれる組織があり、上下の腰椎を支えるクッションの働きを持っています。この椎間板が破れて各神経を圧迫するのが「腰椎椎間板ヘルニア」と言います。
椎間板はいわばクッションの役割を果たすものになり、一番の要因は加齢による水分含有量低下の影響により、動作時にいきなり飛び出してしまい神経を圧迫すると言われています。
椎間板が飛び出してくる原因の一つとして、老化現象による機能の低下が挙げられます。
長年と不良姿勢による腰部に対して負荷の積み重ねにより、荷物を持ち上げる動作の時、長時間の中腰姿勢から上体を起こす時に起こりやすく、ふとした時のくしゃみでも起こることがあります。
・腰部脊柱管狭窄症って何??
「腰部脊柱菅狭窄症」は、腰のだるさや足のだるさなどで整形外科に受診した際、医師からよく聞く病名ではないでしょうか??高齢化社会を迎えて最も一般的な腰部の疾患となりつつあるようです。
このパートでは、身近に感じる・感じてくる「腰部脊柱管狭窄症」について解説していきたいと思います。
本症例は、加齢による変形や過去の既往(すべり症、分離症、腰椎圧迫骨折)により脊柱管と呼ばれる神経の通り道が狭まることで痛みや神経症状を起こす疾患です。
また、生まれつき脊柱管が狭いために発症するケースもあるようです。
腰椎ヘルニアに比べて、60歳以上の高齢者層に多く見られます。
主症状は、下肢のしびれ、足のもつれなどが生じます。下肢のしびれは主に両側性に出現する事が多く、まれに片側性の症例が報告されています。
また馬尾型、神経根型に分類され、まれに両者の症状を有する混合型と呼ばれる症状を呈する場合もあります。
・腰椎ヘルニアの症状
初期症状は腰痛やいわゆる「ぎっくり腰」のような症状が認められ、数日後から一側の下肢へと放散する激しい痛みや「しびれ」が生じます。
→この激しい痛みや「しびれ」は、ほとんど満足に動けないことも多く、睡眠も妨げられるほどのことも。。。。
しかし、この痛みや「しびれ」は2-3週間でピークを越えることが多く、その後、徐々に痛みや「しびれ」が薄らいでいくことが多いです。
症状は一側下肢のみであることが典型的ですが、両下肢に症状が出現する場合や、排尿や排便に障害が認められる場合もあります。
しびれや痛みが長期化することにより、下肢の筋力低下が出現する事もあります。
本症例は【腰椎4/5の間】、【腰椎L5/仙椎1の間】に多く発生することが多く、他にも【腰椎3/4の間】でも起こることがあります。
障害レベルにより、しびれによる知覚障害や筋力低下がみらます。
・L3/4の障害
大腿部内側に感覚麻痺
大腿四頭筋の筋力低下
→膝を伸ばす動作の際に力が入りにくくなる。
・L4/L5の障害
下腿外側~母趾にかけての感覚麻痺
前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋の筋力低下
→足首、足に指を上げる動作の際に力が入りにくくなる
・L5/S1の障害
足背部、4、5の指の感覚麻痺
下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下
→つま先立ちや足趾を曲げる動作の際に力が入りにくくなる
・腰部脊柱管狭窄症の症状
200〜300m歩いただけでも上記のような症状が出ることがあり、長い距離を続けて歩くのが困難になります。
しかし、しばらく前かがみになって休むと症状が治まり、また歩けるようになるのが特徴です。このように歩行と休息を繰り返す状態を「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」といい、特に朝や寒い季節に症状が出やすいという特徴があります。
間欠性跛行は神経の圧迫の状況により馬尾型と神経根型と呼ばれる2タイプがあり、馬尾型は両下肢のしびれ感や陰部のしびれ、異常感覚を認め、歩行により同症状が悪化します。さらに症状が重篤化すると膀胱直腸障害と言われる排尿障害や排便障害を出現することがあります。
神経根型では片側性に臀部から大腿部、下腿部への放散するような痛み、しびれが出現します。圧迫されている神経根によって痛みの出る部位や範囲が異なり、症状が悪化すると下肢の筋力低下を認めることもあります。
腰部脊柱管狭窄症は軽症から中等度の症状のうち30%くらいの方は、自然によくなるケースがあります。運動麻痺がなく日常生活に支障を感じていない場合は、前述の間欠性跛行があっても、まず手術をしないで保存療法でのケアでしばらく様子を見るという選択肢もあります。
通常では歩くことは筋力の強化に役立つとして推奨されますが、この疾患の場合は症状を悪化させる可能性があるので注意が必要です。
・二つの症例の違い
先述の「腰椎ヘルニア」では、若年層~中高年層にみられやすく、ぎっくり腰のような強い腰痛と下肢のシビレを伴う疾患で、シビレは片側性に出現することが多い。
※まれに両側性のシビレの場合がある。
後述の「腰部脊柱管狭窄症」は、60代以上の高齢者に多く、腰痛を伴うことは稀です。両側性の下肢のシビレと足がもつれる症状のことが多く、「間欠性跛行」が見られます。
※分類として馬尾型と神経根型があり、前者は両側性に下肢症状が出現し、後者は片側性の下肢症状が出現する。
・当院での治療
当院で行う「腰椎ヘルニア」・「腰部脊柱管狭窄症」の治療は、まず日常生活動作の確保として腰部部の痛みとその他関連部位の可動域の改善を行っていきます。
主に立位時・座位でのカラダの重心の位置や姿勢を評価を行い、現状での運動パターンから徒手アプローチを行う部分を選択します。
腰部・股関節部、その他関連部の可動域制限を改善することにより、ヘルニア部分の接触が減る、脊柱管の狭窄部は少なくなってきます。
上記のように、ヘルニア部分の神経刺激や脊柱管の狭窄部が少なくなればしびれや筋力低下の症状は抑制されていきます。
「腰椎椎間板ヘルニア」の約80-85%は自然経過で軽快するとされ、同様に「脊柱管狭窄症」も軽症から中等度の症状のうち30%くらいの方は、自然によくなるケースがあるので保存的療法での治療が原則です。
しかし、共に重症度が高い場合、筋力低下による歩行困難、失禁などの排尿、排便障害が見られる場合は手術による治療が適応となります。
尚、「脊柱管狭窄症」の場合、経過観察中に症状が急激に悪くなった場合、通常は腰部脊柱管狭窄症のみが原因となっていることはありません。
※たとえば腰椎椎間板ヘルニアや脊椎の圧迫骨折、腰部ののう胞や出血などが同時に起こっている可能性があります。
上記のように、その他の疾患が合併している可能性があるは専門医へ一度相談しましょう。重症例の場合、当院では信頼のできる医療機関へご紹介させていただきます。
当院では、「腰椎ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」の症状を、クライアント様のカラダ全身を診て、日常姿勢の修正から症状の改善を目指しております。
そのために、必要な運動や日常生活でのカラダの使い方などをアドバイスいたします。
ご来院の際は、当院独自の治療メゾット「施術×トレーニング」でお身体の変化を実感してくださいませ♪