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アオノヨル - 青の夜


あらすじ:

九条青空は、冬の夜の屋上で謎の青い光を目撃する。天文学部に所属する青空は、この光が単なる反射や街灯ではないことを直感し、光のパターンを観察し始める。ある晩、クラスメイトの白銀莉子が青空の元に現れ、青い光に興味を持つ。二人は協力して光の正体を調べることを決意する。

調査を進める中で、青空は学校の図書室で古びた日記を発見する。その日記には、青い光に関する古代の神話や伝説が書かれており、光の出現が特定の星座と関連していることが示唆されていた。日記の最後には「古の神殿に足を運べ」という謎めいた言葉が記されていた。

青空と莉子は、この手がかりをもとに学校内を調査し、古い美術部の倉庫に辿り着く。倉庫で見つけた古い地図には、「紫苑」という名前の建物が記されており、それが神殿に関連している可能性があると考える。美術部の部長、黒田涼の協力を得て、青空と莉子はさらに調査を進める。

次に、図書館で見つけた古い資料によると、紫苑はかつての旧校舎で、今は廃墟となっている。青空と莉子は紫苑の管理人、田中氏に出会い、彼から紫苑の歴史やその場所にまつわる秘密を聞く。田中氏は、紫苑に隠された秘密と青い光の関係を知っているようだが、詳細を語ることはなかった。

青空と莉子は、古の神殿と青い光の真相を解明するために、紫苑に足を運ぶ決意を固める。探索を通じて、彼らは神秘的な力や古代の伝説に触れ、青い光が持つ深い意味に迫っていく。青空と莉子の冒険は、彼らの友情を深めるとともに、自らの運命に対する新たな理解をもたらす。

果たして、青空と莉子は青い光の真相にたどり着くことができるのか?そして、その光が示す未来とは一体何なのか?彼らの物語が、夜空に輝く青い光と共に、次第に明らかになっていく。



登場人物プロフィール

九条青空(くじょう あおい)

  • 学年: 高校2年生

  • 性格: 冷静で理知的

  • 特徴: 天文学に強い興味を持ち、天体観測部に所属。青い夜空に映る神秘的な光に魅了され、その正体を探るために活動を始める。クリスタルの謎解きに挑む中心的な役割を果たす。

白銀莉子(しろがね りこ)

  • 学年: 高校1年生

  • 性格: 明るく元気

  • 特徴: 青空のクラスメイトで、青空が興味を持つ青い光の正体に強い関心を示す。好奇心旺盛で、青空の調査に協力し、自らも積極的に参加する。

黒田涼(くろだ りょう)

  • 学年: 高校2年生

  • 性格: ミステリアス

  • 特徴: 美術部の部長。独特な魅力と深い知識が物語に深みを加える。青空と偶然出会い、クリスタルに関する調査を共に行う。美術部での経験が謎解きに役立つ。

天宮紫苑(あまみや しおん)

  • 学年: 高校3年生

  • 性格: 優等生でありながら、何かを隠している様子がある

  • 特徴: 美術部の副部長。学年トップの優等生。青空の調査に偶然巻き込まれ、その隠された背景や過去が物語に影を落とす。彼女の知識と経験がクリスタルに関する重要な手がかりを提供する。

田中氏(たなかし)

  • 職業: 管理人

  • 性格: 穏やかで親しみやすい

  • 特徴: 天宮紫苑が通う学校の管理人。学校内での様々な情報に詳しく、紫苑や青空たちに対して親身に対応する。紫苑の隠された過去に関する手がかりを知っている可能性がある。





第1章 - 青い光の夜


九条青空は、冷たい風が吹く冬の夜に高校の屋上に立っていた。空には星が瞬き、遠くには街の灯りがちらほらと輝いている。その中で、青空の目を引いたのは、まるで天から降り注ぐ青い光だった。光はほんのり青白く、薄暗い夜空に奇妙なコントラストを描いていた。

青空は、一度見たことがあるこの青い光が、ただの反射や街灯のせいではないことを確信していた。彼は天文学部に所属しており、星空の観察や宇宙の神秘に興味を持っていたが、この青い光は彼の知識を超えたものであった。

「また、あの光が…」青空はつぶやいた。彼はポケットから小さなノートとペンを取り出し、光の動きをメモし始めた。光は定期的に、まるで何かの合図のように点滅していた。

屋上の扉が開き、青空のクラスメイトである白銀莉子が現れた。彼女の明るい声が、静かな夜空を破った。

「おい、青空!こんな時間に何してるの?」

青空は驚いたように振り返り、「莉子?どうしてここに?」と聞いた。

「うちの家から見えるんだよね、あの光。なんか気になって。」莉子は少し不安そうな表情を浮かべながら、青空の隣に立った。

青空は莉子に向かって、光のことを説明した。「見ての通り、この青い光は毎晩ここに現れるんだ。何か特別な意味があるんじゃないかと思って。」

莉子は青空のノートを覗き込みながら、「面白そうね。私も手伝うよ。」と決意を示した。

二人はその後も、光の観察を続けた。青空は光の出現パターンや色の変化を記録し、莉子は周囲の状況や時間帯を観察した。時折、青空はノートに細かい図やメモを書き込みながら、莉子に「この光の出現頻度は、何かの周期と関係しているのかもしれない。」と話した。

莉子は「周期かぁ… それなら、もしかしたら何か自然現象かもね。」と考えながらも、どこか楽しそうな表情を浮かべた。

夜が深まるにつれて、光はさらに強くなり、まるで青空を引き寄せるかのように輝いた。その瞬間、青空は青い光の中に、微かに揺らめく何かを感じた。それは、何かのメッセージが込められているように思えた。

「莉子、これが一体何なのか、もっと調べてみよう。」青空は決意を新たにし、光が消えた後も屋上に残り続けることを決めた。

莉子は「うん、私も協力するから、これからも一緒に調べようね。」と答え、青空の隣に座り直した。彼女の言葉に、青空は心強さを感じ、これからの挑戦に希望を抱いた。

青い光が静かに消え、夜の静寂が戻る中、青空と莉子は屋上で夜が明けるのを待ちながら、次に何をするべきかを考えていた。青空は、自分たちが解き明かそうとしている謎が、何か大きな意味を持つことを確信していた。


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