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自分でやる。仮処分申立(5ch)前編

こんにちは。筆者のナツキと申します。筆者の自己紹介が見たい方はこちらからどうぞ。本記事では筆者が弁護士に依頼せずに自分で発信者情報開示の仮処分の申立を行った手順について備忘録として残すものです。この通りにやれば誰でも同じように開示決定が得られるというものでは全くありませんのでご了承願います。※本記事は有料設定となっておりますが、全文無料で閲覧頂けます。応援頂ける方のみ購入ボタンを押して頂ければ結構です。

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まず、この仮処分申立とは何なのか、何が得られるのか、ということについてご存知ない方向けに簡単に説明しますと、5chやTwitter、Google等のコンテンツプロバイダ(ウェブサービス元)に対して、IPアドレス等を開示してもらうためのものになります。このIPアドレスを開示してもらうと何が分かるかというと、経由プロバイダが分かります。経由プロバイダが判明したら発信者情報開示請求の手続きをすることになります。任意手続きで開示されることは珍しいので大体は本訴となりますが、3ヶ月から半年程度の期間で判決となり、原告の請求が認められれば投稿者の氏名と住所等が開示されると、そのような仕組みになっております。

弁護士に相談して発信者情報開示請求をするぞーとなった場合、おおよその費用感としては仮処分が25万~35万ぐらい、ログの保存申立が10万ぐらい、本訴が20万~30万ぐらいということで投稿者の氏名と住所を得るまでに50万~80万ぐらいはかかってくる見積もりになります。その後示談交渉や損害賠償請求に進む場合も弁護士費用が10万以上訴額次第でかかってきます。勿論、それだけの費用をかけても必ず開示という決定が得られるわけではありませんし、損害賠償請求訴訟で勝訴しても赤字になってしまい費用倒れになることもあります。

本記事は、そのような費用をかけずに投稿者を特定したいと思われる方向けの記事となります。100万円程度の費用負担が可能な方は発信者情報開示請求の分野で実績がある弁護士に依頼をなさるのが安心確実であることは言うまでもありません。

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ではまず5chの発信者情報開示の仮処分申立はどこにすればいいかというお話ですが、東京地方裁判所の民事第9部が担当となります。理由については後述する管轄上申書の通りとなりますので省略します。

次に申立に必要なものを箇条書きにしていきます。           ※Wordの使い方とか細かい書き方については各自で調べて下さい。 

①仮処分命令申立書

申立書です。1頁目の左上に2千円の収入印紙を貼ります。構成としては1~2頁が申立書、3頁が添付資料等の説明と発信者情報目録、4頁が当事者目録となっています。5頁目以降が投稿記事目録と権利侵害一覧となります。尚、筆者はこれで書式としては不備無しで通っていますので名前や住所などを入力するだけで即使えるひな形となっていますが、裁判官や書記官によってはここをこう直してくれなどの不備修正の指摘が入ることがあります。その際は素直に従いましょう。ページ数がホッチキスで止めれる枚数であるうちは止めましょう。                         ※9/25に書式を少し手直ししました。



②証拠説明書

初回に出す証拠説明書は事件番号がまだ分からない段階なので、年のところだけ埋めて事件番号は空欄で大丈夫です。証拠説明書は本訴で使うものと同じです。原告、被告の表記が債権者、債務者に変わっただけです。


③甲号証

掲示板投稿のスクリーンショットを貼り付ける用に使っています。私はこれが一番使いやすいと思っていますが、他にもっといいやり方がある方はそちらをどうぞ。なお、印刷は基本全部モノクロで問題無いです。カラーじゃないとダメと裁判所側が指摘したものだけカラーで出せばいいかと思います。あと細かい指摘ですが、投稿1件につき1枚で片面印刷しましょう。一般企業的な2in1とか両面印刷ではないほうがいいです。投稿や証拠スクショが複数の場合は、甲1の◯頁のような形式で複数頁にしたほうがわかりやすいです。複数頁になった場合はホッチキスで止めましょう。


④管轄上申書

相手方が海外法人の場合に必要な上申書となります。5chの部分と債務者を書き換えればTwitterとかGoogleにも使えます。


⑤陳述書

甲号証として使います。陳述書というのは当事者本人の意見を裁判所に伝えるためのものですが、本件では主に投稿内容が虚偽である場合に、反論をするためのものとして使います。例えば、「◯◯は犯罪者だ!」という投稿があったとして、「本件投稿によると、◯◯は犯罪者だと指摘されておりますが、債権者は一度も有罪判決を受けたことはなく、逮捕もされておらず全くの事実無根です。また犯罪者であるとする証拠や根拠も本件投稿内には示されておりません。よって本件投稿は虚偽事実です。」などと陳述をします。証拠を示すことが可能なものはさらに甲号証で証拠を出しますが、所謂「悪魔の証明」に当たるもの(例で言うと犯罪者ではないという証明等やっていない証拠)はやっていない、事実無根だ、と陳述するだけで証拠として成立します。原則は債権者や原告に立証責任がありますが、債務者や被告がこれに反論する場合は、「事実だ」もしくは「陳述が虚偽だ」という証拠や根拠を示す必要があります。全くの嘘や事実無根の投稿をされた場合は覚えておくと良いでしょう。


⑥資格証明書と訳文

5chの運営会社である、フィリピン法人 Loki Technology Inc. の資格証明書と日本語訳文を添付する必要があります。フィリピンの法律事務所や現地につてがある人以外は日本でストックをたくさん保有している法律事務所から購入するのが手っ取り早いと思います。筆者はこちらで購入しました。他にもっと安く手に入るなどの情報をお持ちの方はDMでぜひ教えて下さい。

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上記をレターパックライトに詰めて出せば申立は完了です。送り先住所は、東京地裁のリンク先から確認下さい。宛名は「東京地方裁判所 民事第9部」で大丈夫です。

※細かい(細かすぎる)注意点

・申立書、証拠説明書、管轄上申書、陳述書の捺印漏れ

・申立書の印紙


前編は以上となります。次回中編は申立後から開示決定までの流れについて記事にする予定です。

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