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生成AIの最先端を知る!アメリカ西海岸レポート


はじめに


こんにちは。NRIデジタルの勝島です。

私は、去年からNRIデジタルのCoE(Center of Exellence:組織横断の研究拠点)活動に携わっており、生成AIを重要テーマとして活動してきました。実施してきた主な内容は、生成AI関連の技術獲得、ユースケース探索、デモアプリ開発です。

その一環として、2024年1月、AIの最先端が集まるといわれるアメリカ西海岸へ視察に行く機会がありましたので、そのレポートをしたいと思います。

訪問先


今回の訪問先と紹介いただいた内容は下記の通りです。いずれの訪問先でも、生成AIや、生成AIに限らないAIの取り組みについて、ヒアリングしました。

  • スタートアップ

    • シードステージからレイターステージに至るまで大小さまざまな会社から、生成AIを活用した自社サービス

  • ビッグテック

    • 生成AIクラウドサービスの開発状況やユースケース

  • 日系IT大手

    • 西海岸の研究開発拠点における、生成AI関連の研究開発

  • ベンチャーキャピタル

    • AIを活用したサービスを提供しているポートフォリオ企業や、ベンチャー業界の最新動向

  • 大学

    • 生成AIの基礎研究や、スタートアップ支援プログラム

得られた知見


各訪問先での対話を通して、幅広い知見が得られました。

スタートアップ

データ準備ツール・チューニングプラットフォームなど、toBのAI開発支援ツールビジネスが拡大していると感じました。例えば、RAGアプリ構築時に必要となるインプットデータの前処理ツールや、ドメイン特化モデル構築時に必要となる学習データのクレンジングサービスです。

一方で、toCビジネスはまだまだという状況であり、生成AIのユースケース探索が引き続き行われているという印象でした。

ビッグテック

各社とも、LLM、そしてチャットボット・エージェントアプリ構築などの生成AI周辺サービスを活発に開発中でした。LLMについては、高精度なAzure OpenAIが一つ抜けている印象でした。ただし、コンテキスト長が長い他モデルも登場してきており、用途によってはAzure OpenAI以外のモデルも選択肢に入ってきそうです。周辺サービスについては、各社とも内容は概ね変わらない印象でした。大きな差別化要素は、クラウド内の他サービスとの接続容易性くらいだと感じました。

また、独自チップ開発への投資も積極的に行っているとのことでしたので、将来的な差別化要素になるかもしれません。

ユースケースについては、エージェントを活用したチャットボットなどの事例紹介がありましたが、いずれについても想定内の取り組みでした。

日系IT大手

業務効率化のための生成AI適用検討やドメイン特化の独自モデル構築に取り組んでいるものの、現場適用はこれからというステータスでした。やはり、生成AIを適用するユースケースを見つけるのが難しいのかもしれないと感じました。

研究開発の体制については、日本を含む世界中のグローバル拠点と連携しながら数百人単位で実施しているとのことでした。人材については、日本人だけでなく現地エンジニアも採用しており、アカデミアもうまく活用しながら優秀な人材を確保しているとのことでした。人が集まってくる西海岸という立地の強みを活かしていますね。

ベンチャーキャピタル

ご紹介いただいたポートフォリオ企業は、AIチャットボットサービスやデータカタログサービスなどtoB向けサービスがほとんどでした。

ベンチャーキャピタル業界ついては、今ホットなビジネステーマは、AI、デジタルヘルス、サイバーセキュリティあたりとのことでした。また市場が低調のため、今はExitタイミングではなく投資フェーズとのことでした。

大学

LLMの大きな課題であるプライバシーやハルシネーションへの対策手法が基礎研究されていました。実用レベルに達するまでにクリアすべき課題はまだまだ多そうでしたが、内容はとても興味深かったです。なお、ハルシネーションについては、LLMの仕組み上100%なくすことは難しいと思うので、それを受け入れた上でどう扱っていくかが重要な気もしました。

スタートアップ支援プログラムでは、大学の卒業生や研究室のエコシステムにコネクションを持つことで、スタートアップが成長することを支援してくれるそうです。このような大学の取り組みも、西海岸において価値あるスタートアップが誕生している背景となっているのかもしれません。

週末の過ごし方


このままだと真面目すぎるレポートになってしまうので、余談ですが週末どう過ごしたかをご紹介します。

サンフランシスコの街を走るケーブルカー

コンピュータ歴史博物館

予定を決めるべくWEB検索している中で、たまたま見つけました。せっかくアメリカに来たので週末は現業とは離れたことをしてもいいのではという思いを抱えながら、あまり期待せず訪問しました。

結果、とても興味深く、面白かったです!名前の通りコンピュータの歴史に加えて、ゲーム、アニメーションの歴史なども展示されていました。日本の製品が多数紹介されているため展示内容に親近感を覚えましたし、かつて日本が世界のコンピュータ界をリードしていた時代を感じることができました。また、業務の中で触れてきた断片的な知識同士がつながり、爽快感も味わえました。

特にITシステムに関わっている方は、ぜひ一度訪問してみることをおすすめします。

コンピューター歴史博物館に展示されている、google傘下waymoの自動運転車

NFL

アメリカのスポーツといえばNFLということで、スポーツバーで49ersの試合を観戦しました。本当は現地で観戦したかったのですが、ポストシーズンだったということもありチケットが高く断念。

試合はシーソーゲームの接戦だったのですが、最後は49ersが逆転で勝ち、大変盛り上がりました!私はアイシールド21を軽く見ていたレベルのアメフトにわかのため、当初はルールをしっかりとは理解できていなかったのですが、試合中に周りの方々に教えてもらい、気づいたらテレビに釘付けとなっていました。

アメフトが大人気なのも納得でした。どうやってその頭脳とフィジカルを両立させているのか、NFLプレイヤーは同じ人間とは思えない異次元領域にいますね。いつかは現地で観戦してみたいものです。

おわりに


本記事では、西海岸視察で得られた知見をご紹介しました。

視察を通して、生成AIへの投資は活発に行われており、toBを軸にビジネスが拡大していると感じました。一方で、ユースケースの探索はいまだ続いており、toCビジネスはこれからという状況でした。しかしながら、マルチモーダル化やコンテキスト長増大などのLLM高度化が急速に進んでいるため、生成AIの最適なユースケースが出てきてもおかしくないと感じています。

私たちも、生成AIの最新動向を継続的にウォッチしながら、適用先を検討していきたいと思います。


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