九州は日本のブラジルか

話中の花岡は別府の竹瓦温泉に今まさに着水せんと、
冬に縮み上がったおいなりさんの丸いところが
湯気を立てて揺れる湯船の喫水線に
包まれようとしているところで
長いサスペンド、長いペンディングの中にいる。

いっそ、そのまま、その話はそこで
途切れてもよかよとおもってもいるが

話はブラジルに行けなくなった
サンバの国のサウダージに
お預けを食らっている方の花岡
の話だ。

自分は失望に対する耐性があるので
というか生まれた頃より

自分だけならまだしも、
人が絡む事はどうもならん

ということは離婚した両親より特別な情操教育を
受けてきているし、失恋で鬱病になったこともあるし*
今も忘れ物ばかりしていて、失ってしまう事に
悔しがったり、儚んだりしすぎるとキリがないので
ふむ、と次善の策を取り出して忘れて
ナイナイちゃんしてしまう事が多い。

そこで花岡は九州に行くことにしたようだ。
九州はブラジルに似ているとでも思ったのだろう。
これからの旅は失われた
「ブラジル感(花岡の妄想の)」を求める旅でもある。

飽きるまで海を眺める事ができるという意味では
別府はブラジルだし、明倫堂商店のシャッターには
なぜかサンパウロのキリスト像の絵が描かれている。

(続く)





*デパスと島本和彦の『逆境ナイン』で寛解した。
ジャスミン茶は結構いけるがデパスを飲んで
pete rockのインスト集『petestrumental』
結構悲しみの園へいく。

後から見ると半透明のおはじき
が咲いていたように見えるので
今そういう思いをしている人は
死なん程度にじぶんの心模様に
翻弄されては乗り越えて欲しい。


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