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オーセンティシティ(authenticity)に想う

日本リサーチセンター広報室長の小宮山 学(こみやま まなび)です。
企業と消費者のコミュニケーションが変化する中で、近年のマーケティング業界でよく使われる用語が、「オーセンティシティ(authenticity)」らしいです。直訳では、「信憑性・信頼性」になりますが、フォーブスが2021年の「世界で最も影響力があるマーケティング責任者」のトップに選出した、ボゾマ・セイントジョン(45)は、その根底にある意味を「ありのままを伝えること」と定義しました。なるほど! 

その中で、「担当者が自分のレンズを通してありのままを伝えていくことが重要」という結論には賛成するのですが、その例示が広告のクリエーティブ表現になっているのはあまり賛同できません。
なぜならマーケティングは広告などの限られた場面での狭い話ではないと思うからです。だからといって、先日NewsPicksなどでも取り上げられていた「マーケティングは経営」というP&G流のマーケティング解釈にまで拡げると、それは話がまた大きすぎると感じます。
経営にマーケティング思考を取り入れるのであれば理解できますが、経営にはもっと違う要素も諸種あります。マーケティング思考の重要性が高まってきていることは理解できますが。

私が「ありのまま」に賛同するのは、インターネットの大衆化によってもたらされた現象が生活に浸み込んできているからです。
現代は、人間の五感が届く範囲以上の情報が画像、文字を通じて即座に共有されるようになりました。スマホで個人の行動もログ化され、街でも監視カメラが人々の生活をチェックしています。生活の様子はほぼデータ化されている中で、何かを取り繕ったり、違う自分を演じたりなど、実態と乖離した上っ面な行動や表現は、かなりの確率で見透かされていると思えます。

ニュースでは、政治家、企業人などが不祥事を指摘され、辞任に追い込まれています。逆説的に捉えると、「ありのまま」状態をさらされたら、不正が露見したということなのではないかと感じます。少し前までは有効だった何らかの防衛対策が通じなくなっている顕著な例かと感じます。我々大衆は、有名人の行動露見をベンチマークしなければなりません。何気なく行動していることが現代社会と適合しなくなっていることはあるのです。犯罪レベルではなくても、日常生活にたくさん潜んでいると感じます。

2022年も駄文にお付き合いいただきありがとうございました。2023年の個人目標は、今回の話に刺激され、改めて「襟を正してみよう」と思いますが、スーツも年に数回しか着用しなくて、ほぼ襟のない服で過ごしていますので、「皺を伸ばしてみよう」かもしれません。
2023年が皆様にとってハッピーでありますように。

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