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移動が制限されるこの時期に、どのように観光で稼ぐまちづくりをするか。~いまできること、周囲の人の巻き込み方~

コロナ禍で打撃を受ける観光業界。移動が制限されるこの時期に、どのような取り組みをしていくのか。コロナ収束後に向けて今をどう過ごすのか。地域の人を巻き込みながら観光で稼ぐまちづくりをしていくための考え方とは。

”地域おこし企業人”としてYahooから美瑛町に出向、8月からは公益社団法人福井県観光連盟の観光地域づくりマネージャーに就任し「観光で稼ぐ」地域づくりを推進する佐竹正範さんをゲストにお迎えしました。

全編動画はこちら⇩

チャンスに向かっていく。

あんな:地域おこし企業人としてYahoo!から美瑛町に出向され、その後は福井県、と場所や会社に縛られないキャリアを築かれる佐竹さん

「チャンスがあれば、場所にこだわらずチャンスに向かっていく。飛び込む。」
とおっしゃっていましたが、今回の公益社団法人福井県観光連盟 観光地域づくりマネージャーは、まさに「チャンスを掴んだ」という感じだったのでしょうか?

佐竹さん:本当にチャンスを頂いたという感じです。高校の時から、福井をどう面白くしようかを考えていて、大学も職業もそれをベースに選んできました。

現実に福井関連の仕事をするのは、60歳とか定年退職してからになるだろうと思っていたんです。

今回福井県がDMOを作って観光地域づくりマネージャーを公募していて、それをみた福井の仲間たちがURLを送ってきてくれて知りました。

りよ:呼ばれたみたいな感じですね。

佐竹さん:そうなんですよ。「これ募集してるけどお前向きじゃね?」と情報が送られてきて、見たらすごく面白くて、いままでやってきたことを役立てられるかも知れない、とポチッと応募しました。

イベントの先の、人と人との交流


あんな:2024年には北陸新幹線福井・敦賀が開通するということで、「おもてなしオンラインセミナー」というものを実施されていますね。
https://www.fuku-e.com/910_education/

佐竹さん:観光の仕事を美瑛町で5年くらいやって、現地で観光してお金を落としてもらって、滞在時間も伸ばしてもらうような体験プログラムをつくっていました。その中で、オンラインセミナーの先の「人と人の交流」が重要だなと思っていたんです。

美瑛に何度も観光に来てくれる人で、「農家さんに『来てくれてありがとう』と言われて大ファンになった」という方がいらっしゃいました。

観光って、基本ファンづくりなんですよね。そういった意味で、「おもてなしセミナー」というのやっているのがいいなと思っています。

りよ:県全体で、「来てくれてありがとう」雰囲気を出していけるのが温かくて素敵ですね。

佐竹さん:そういう働きかけをしてる県がまた好きになりました。

ななみ:また行きたいってなりますよね

苦しい状況をチャンスに変えるために今できること

あんな:コロナ禍で観光業界は打撃もうけていると思いますが、未来に向けてコロナがおさまった頃を見据えて準備していけたらいいですね。

佐竹さん:観光業は今本当にピンチです。旅館やホテル、観光客向けの飲食店を始めとする事業者の方です。

言葉にするのは簡単ですが、ピンチをチャンスにどう変えるかというのはやはり大事なことですね。

今のうちに、お客さんの顔を思い浮かべながら、シェアしてもらえるような満足度の高いモノやコトを試行錯誤し開発しておけるといいですね。

りよ:シェアですか。

佐竹さん:マーケティングの満足度調査に推奨意向という回答項目があります。
「人に勧めたくなるほど満足度する」って結構大きくて、シェアしたくなるようなモノ・コトをつくるということが重要です。

りよ いま人が来れない状況で、コンテンツを作ったり、新たなコトやモノを準備している場所は、人が戻ってきたときに一気に花開きそうですね。

佐竹さん:そうですね。地域には、前向きにいろいろなことにチャレンジし続ける人がたくさんいます。地域をどう元気づけるかという熱量を持った人を「変態」と呼んでいます。
そういう人たちをどう応援できるかということをやっていけたらなと思います。

「自分たちの価値ってなんだろう」を問い直す

あんな:「コロナによって地域の価値が見直されている今はチャンス」とお話しされていましたが、どんな可能性があるのでしょうか?

佐竹さん:改めて「自分たちの価値ってなんだろう」というところを問い直す・振り返るチャンスですね。いろいろものが変化していっている中で、自分たちの存在価値を改めて問い直すことです。最後に自分たちに残るものはなんだろう、というところが響いてきます。

発信することで人が寄ってくる

りよ「発信することで人が寄ってくる」というお話もされていますね。

佐竹さん:仲間をつくっていく、何かをやっていくためには情報発信はすごく大事ですね。
発信することで、「あの人はああいうこと考えている人だな」ということ知ってもらえて、なにかあるときに思い出してもらえます。

観光地域づくりマネージャーの就任の件もそうでした。
夢や、やりたいことはどんどん発信しておいたほうがいいと思います。

美瑛町でやっていたミートアップ「美瑛の未来を妄想する会」でも、まず始めはなんでも妄想から始まります。言語化して伝えてみることで、ちょっとずつ共感を得て形になっていきます。コミュニケーションをとる情報発信が重要ですね。


あんな「今はリアルの場でのミートアップは難しいと思いますが、福井でもやりたいとお考えですか?」

佐竹さん:やりたいですね。形はいま模索中です。まさにいろいろな人に声掛けしてアイディアをもらっている状況ですね。


りよ:YouTubeのチャットに「縁は大事ですね」というコメントを頂いていますね。

縁は大きいですよね。

美瑛町も福井県もキーマン的な人がいます。「こんなのあるよ」、とつないでくれる人ですね。知り合った中のいろいろな人が手を差し伸べてくださいます。

22:50 全ては楽しい妄想から始める
りよ「この人に声をかえたらきっとやってくれるだろうというな、声をかけやすいな、と思ってもらえる発信って必要ですよね。」

佐竹さん:ある人に言われて残った言葉に「開いて繋がる」という言葉があって。自分はいつでもオープンにしてどんなことも受け入れられるようにしておくこと、オープンにこんな人につながったよと発信していくこと、そういうことは大事にしています。

あんな:「美瑛の未来を妄想する会」では、ミートアップから実際の企画につながってますよね。

佐竹さん:そうですね。まずは妄想することが大事で、楽しい妄想から、1個か2個「やってみようよ!!」と試しにやってみて、手応えのあるものを定着させていきました。

まちづくりは、まちの人が楽しんでなんぼだと考えています。ベースにまちの中の熱量があって、それを外から見て「なんかおもしろそう」と人が集まってくるという形が理想です。

あんな:まちの人を巻き込むのは大事なんですね。

佐竹さん:そうですね。主体はまちの人なんです。住んでいる人が楽しくなさそうなまちには行きたくないじゃないですか。そうじゃなく、「わが町、ちょっと楽しいから来て!」という方が行きたくなりますよね。

地元民を巻き込んだ観光づくり

あんな:地元の人が誇れるまち、ということですね。
美瑛町は、はじめの内は農家さんに観光客誘致を受け入れてもらうことが難しかったと聞きました。

佐竹さん:そうですね。農家さんの気持ちもすごく分かって。北海道の農家さんはすごい広い面積で農業をやってるんですね。そこに、観光客の靴の裏のバイキンが畑に入ると、その農地が30年使えなくなるとか、一生使えなくなるとか、そういうことが起こるんです。
そういう状況で観光客がいっぱいくると、ドキドキしちゃいますよね。

あんな「祖父母の家が観光地で、観光客が来てくれると嬉しい反面、ゴミが増えて困るなど地元の人にとっては問題が起こったりしています。」

佐竹さん:農家さんのネガティブな気持ちもわかる中で、どう観光客を呼び寄せて地域にお金を落としてもらえるか、それを農家さんと一緒に考えました。

そのなかでやっていったのが、スノーシュー体験です。「家の畑入っていいよ!」と言ってくれる人が現れたりもしました。

りよ:やっぱりコミュニティの持つワクワク感のようなものがあったんでしょうね。

佐竹さん:気持ちのいいメンバーが集まっていましたね。

変態さんって気持ちい人が多いんですよ。まずオープンですし。
自分を信じて、楽しいことをやっていて、他の人も楽しければさらによし、と、そういう人が多いです。

りよ:変態さんは利他的な人が多いとも言えるのかも知れませんね。

佐竹さん:そういう気持ちのいい人たちのネットワークの中で「なんかやろうよ」が生まれていくんですよね。


基礎自治体の差、視点の差

あんな:ここからは未来の話をしていければと思います。美瑛”町”から福井”県”へ移られて、その違いは感じますか?

佐竹さん:感じますね。立ち位置が違うので、考え方も変えなくてはいけません。

美瑛”町”ではプレイヤーとして動いていました。地域にどうお金を落としてもらうか、自分たちが稼ぐ仕組みを創っていくという形でした。

比べて、福井”県”ではプレイヤーをどう応援するかという視点で動きます。稼ごうとしてる人をどう応援するかという形ですね。

りよ:町は安定や地域の中にあるものを使い、県になるともっと大きな世界観・規模感になるんでしょうか。

佐竹さん:視点が変わるというのはありますね。
現場が主役なので、その人たちがどう仕事をし生きていくかという視点です。

幅広い年代がいるまちづくり

りよ「まちづくりの中で、人口のバランス、子供からおじいちゃんおばあちゃんまでいるまちを作っていくには、関係人口や移住と関わり方が複数ありますね。」

佐竹さん:日本全体の人口動態を見ていると、若い人が減ってお年寄りが増えて、生産年齢人口が減っていくのはどうしようもないです。お年寄りしかいないまちになってしまうとまちづくりという観点では難しい部分もあります。若い人もいて、多様性があるからまちが動くというのはあるのでそのバランスはとれたほうがいいです。

引っ越してきて住んでくれたら一番いいけど、人口バランスを関係人口という領域で保つという方法もありますね。


りよ「移住者を増やさなくても持続できるまちづくりも必要になってくるのかなと思います。移住ドラフト会議というイベントに参加した際に、関係人口でなく”関係地域”という概念が出てきました。」

佐竹さん:関係地域ですか!そういう人に関わってもらえる関わり代をつくっていきたいですね!

若い世代の関わり代をつくる

あんな:若い人が入ってくると、その人達を育てる次世代人材育成という動きもまちの中で起こってくるのでしょうか。

佐竹さん:大人たちがどれだけ楽しんでるかの背中を見せて、その楽しむ姿勢が次の世代に受け継がれていくような循環が生まれるのは理想ですね。


りよ「今は地域を飛び回って農家の人と関わってみたいという学生が多いと肌感覚で感じています。特に、関東の学生です。そのように地域と関わる若者がくると、地域の人の肯定感もあがりそうですね。」

佐竹さん:なるほど、それはあると思います。

福井県の鯖江市に、「TSUGI / ツギ」という移住さんがやっているデザイン事務所があるんですが、その人に「なんでずっと福井にいるの?」と聞いてみたことがあるんです。すると、「漆器づくりなど伝統工芸をやる人が、伝統に固執せず柔軟に良いもの・新しいものとマッシュアップしながら創っていく姿勢が好き」と言っていました。

最後に佐竹さんよりひとこと。
やっぱり楽しむことが一番大事だと思うので、みなさん楽しんで行きましょう!

動画の全編はこちらからご覧いただけます!
この記事には書ききれなかったお話もぜひチェックしてみてください!



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