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子どもの権利条約とは?ユニセフのレポートを読む

1989年に児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)が国連で採択されてから30年が経つ。ユニセフ(国連児童基金)が出したレポート「岐路に立つ子どもの権利条約」では、30年の成果と課題を提示した。

レポート「岐路に立つ子どもの権利条約」

日本の多くのNGOも取り組むアジアやアフリカでの教育支援。レポート「岐路に立つ子どもの権利条約」によると学校に通えない小学校学齢期の子どもは30年前の17.6%(5.6人に1人)から7.8%(12.8人に1人)に減少した。特に女子が6160万人(小学校学齢期の子ども総数:5億7100万人)から3230万人(7億2200万人)と大きな改善がみられた。

だが、これは30年の期間でみたときのことだ。実は2007年ごろからはほとんど変化がない。要因の1つは、アフリカや南アジアでの人口増加だ。経済成長も進む一方で格差も広がっている。

人口増加によってもう一つ教師不足という重大な課題も抱えている。アフリカでは、2030年までに130万人の追加教師が必要だという。

ユニセフ「最も貧しく、最も弱い立場の子どもの不平等は拡大」

30年の成果の一つに、世界の5歳未満児の死亡率の改善がある。死亡率は11人に1人だったが、26人に1人へと低下した。

減少したとはいえ、2018年には5歳未満の子供が、毎日1万5000人亡くなっていることにも目を向けないといけない。そして、最も貧しい家の子どもは、最も裕福な家の子どもと比べて、5歳までに死亡する可能性は2倍高くなる。それも予防​​可能な原因でだ。

ユニセフは「最も貧しく、最も弱い立場に置かれた子どもが直面する不平等は拡大している」という。

世界中を脅かしている気候変動の影響を受けやすいのもまた貧しい国の人々だ。国連食糧農業機関(FAO)によると、南アジアやアフリカでは2030年までに気候変動の影響によって農家の収穫量が減少し、極度の貧困に陥る人が最大1億2200万人増える可能性を指摘している。

格差の拡大は海外に限らず、日本国内でも当てはまる。相対的貧困の数値は、1988年の13.2%から2015年15.6%と増加している。大きな数字で世の中を捉えつつも、向こう三軒両隣の手の届く範囲で支え合う市民活動の裾野の広がりが今こそ必要だ。

子どもの「生きる、守られる、育つ、参加する」権利

子どもには「生きる、守られる、育つ、参加する」権利がある。30年の節目に日本国内でも子どもに関わるNPO団体を中心にキャンペーンが行われた。「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」のウェブサイトもオープンした。
https://crc-campaignjapan.org

国内での子どもの現状は様々な問題が、児童虐待の件数は過去最多の15万9850件となり、不登校の小中学生は16万人と増え続けけている。子どもの7人に1人が貧困にある。自殺件数は全体では減っているが未成年は増加した。

子どもの権利を保障するのは大人、社会の責任だ。キャンペーンサイトには、「子どもに関する活動を行う団体が連携して子どもの権利を広められないか、そんな想いでこのキャンペーンを企画した」と書かれている。

キャンペーンの賛同団体は101あるという。生きづらい社会がある一方、これだけの数の大人たちもいることに希望がある。

全54条の子どもの権利

子どもの権利条約には全54条の子どもの権利に関することが明記されている。同条約は1989年に国連で採択され、今では世界196の国と地域が条約に入っている。条約には、生きる権利や守られる権利などだけでなく、「意見を表明する権利」や「集会結社の自由」、「遊びや芸術に参加する権利」など子どもの能動的な権利も記されている。

では、日本の子どもたちはこれらの権利がすべて守られているのか。虐待件数は増加傾向だ。児童養護施設には約2万7000人の子どもが暮らす。6割は虐待された経験がある子どもたちだ。

子どもの権利条約をすべて読まなくても、ユニセフが作成する「子どもの権利条約カードブック」はイラスト付きで、とてもわかりやすい言葉で書かれている。カードゲームになっているので、海外の子どものこと、日本国内の子どものこと、どの権利が守られていないかなど、職場や学校、家族、友人と、具体的な周りの環境や最近のニュースなどからワークショップをしてみるのもおすすめだ。

「子どもの権利条約」の1条〜40条までを分かりやすく要約したイラストつきのカードブック。切り離したカードを使った様々なアクティビティも紹介されている。

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