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支援付き住宅の全国展開 NPO法人わっぱの会の状況

「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援を」から始まり、その後もコロナ緊急事業から生活困窮者全般への支援と発展していった「支援付き住宅の全国展開」。各地で担っていくパートナー団体の一つであり、東海地方を中心に活動するNPO法人わっぱの会の崔さんにお話しをお伺いしました。


ーそれではまずNPO法人わっぱの会がどのような支援事業をしていらっしゃるか教えていただけますか?


崔:わっぱの会は障害者の共生・協働を求める団体として50年前に立ち上がり、社会的弱者といいますか、困窮者の方々の救済のためには居住支援が必要だということで居住支援法人を立ち上げました。障害者のための職場を作ったり、彼らが生活をする場の生活共同体を作ったり、グループホームの運営などを中心にやっていて、その中で住宅確保要配慮者と呼ばれる方々のために名古屋市から委託を受け、名古屋市内に3つある相談事業所のうち1つ、また名古屋市内に16ある障害者のためのソーラーセンターの1つを運営しています。
また、生活を支える保証事業という事業もやっていて、こちらは身元保証、緊急連絡先の提供などをしています。そんな中、抱樸さんのサブリース事業パートナー団体としてうちが手を挙げさせていただいて支援付き住宅事業も行っております。


ー現在何部屋の支援付き住宅を運営していますか?これまでに何名の方が利用されましたか?

崔:一棟の建物内に18部屋借り上げてスタートし、現在はそこから2部屋増えて計20部屋の支援付き住宅を運営しています。これまでに延べ25人ほどの方が利用されています。

ーどういった状況の方が利用されるのでしょうか?

崔:名古屋の刑務所からの紹介で出所者の方や、障害者機関の相談支援センターからの紹介で精神を患ってらっしゃる方、高齢の方は無低に入れたけども支援付き住宅へ移れないかと相談に来られる方や、いろいろ事情があって自宅に帰れなくなったということでお引き受けしてる方などです。そのような方々については大体生活保護を一旦受給していただいて、その上わっぱの会で受け入れをしていく形でご案内しています。
例えばアルバイトで生活していた方が仕事が急に減ったことで車上生活になってしまい、住宅斡旋している事業を探されているということでうちの知り合いの福祉団体からご紹介いただいたり、借金をお持ちの方で愛知で期間工として働いていたけどもコロナの影響で契約打ち切りになってしまい、さらに鬱を発症してしまい相談に来られた方、高齢で病院を退院しなければならないけども、ご自宅が相当古くて戻ることができないので支援付き住宅に入れないかと病院の方から直接紹介を受けて来られる方、名古屋でホームレスの支援をしているNPO法人ささしまサポートセンターからの紹介で昼間はスーパー銭湯に泊まって夜中はアルミ缶を集めるという生活をずっとされている方など状況や事情は様々です。

ーわっぱの会の活動の中で、社会的に排除されてしまう方や障害のある方に対する取り組みを強くやられてこられたというふうにお伺いしてるんですけれど、この世の中でそういう方が自立して暮らしていくことの難しさはどういうとこから来てると思われますか?

崔:利用者の方はまず基幹相談支援センターに住宅・生活支援を相談された後にうちに紹介されて相談に来られるというパターンが多いのですが、話を聞いていると50代くらいの方で精神的に参っていて一般就労が難しい方が結構多くいらっしゃいます。その世代の方は世の中でちょうど就職氷河期と呼ばれていた時代にかかってしまった方で、定職に就いて住居を構えて安定した生活が送れず職を転々としていた方が多く、それで精神的に限界がきてしまった。そういった時代的な背景があると思います。


ーマスクの着用が任意になりましたが、コロナ禍に加え物価高や円安が叫ばれていますが利用者の方にこれからどんな影響があると考えますか?


崔:住宅を失われる方はこれからさらに増えると思っています。賃金を上げろと世の中で叫ばれていますが、大きい会社はそれができても、中小・零細企業と言われるところは給料を上げることは難しいんじゃないかと思います。所得は上がらないのに物価や光熱費など生活にかかる費用が確実に上がっている中、これからそのひずみが明確に出てくる気がします。今相談に来られている方たちもそうですが、コロナが終わったからといって下がった月収が上がるのかというとその保証がないような仕事をされてる方がほとんどだと思いまので、滑り落ちていく方はこれからまだ増えると思います。
ガス・水道・電気は必ず使うものです。その必ず使うものの値段が上がっているわけで、それを今までと同じかそれ以下のお金の中からどうにか捻出していかなければならない。そうなると自由に使えるお金がどんどんなくなっていくわけで、自分の生活基盤の落ち込みを経験される方はさらに増えていくと思います。そして親の経済的な不安定さが行き着くところは結局子供の不安定になっていくので、この不安定を解消していくためにもこの支援付き住宅のような支援があるということを発信していくことで、支援が必要な人にとって具体的な希望を持ってもらえたらと思っています。


ー最後に支援活動を通じて何かを伝えたいことや、寄付者の方へ向けてメッセージがありましたらお願いします。

崔:今回の抱樸さんのクラウドファンディングで資金を得て始めることができた支援付き住宅事業ですが、事業を継続していく中で沢山の学びや気付きがありました。私たちが支援団体として今後どういう風にやっていけばいいのか、また利用者さんの未来にとっても明確な希望になっていると思います。
利用者さんの中にはご自分で就職しようとされたり、自立して新しいアパートに移る計画を立てている方もいらっしゃいます。そのような再スタートをする場として支援付き住宅を提供させていただいて、私たちとしましても非常にいい経験をさせていただいてると思っています。引き続き本プロジェクトへのご支援よろしくお願い致します。

ー本日はお忙しい中、貴重なお話どうもありがとうございました。


いただきましたサポートはNPO法人抱樸の活動資金にさせていただきます。