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「特別寄稿:わたしがいる、あなたがいる、なんとかなる最終回」by抱樸職員 花岡真琴

「特別寄稿:わたしがいる、あなたがいる、なんとかなる最終回」

クラファン終了まであと少し。自由な形式でご寄稿いただく企画最終回!!!!第12回は抱樸職員の花岡真琴さんです。

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ひとりひとりに名前があって、それぞれにこれまで生きてきた人生がある。だから、できるだけ顔と名前は覚えようと決めた。

炊き出しやパトロールで、その日出会った人の名前や特徴、話したことなどをとにかく毎回書き記した。

「もう誰も相手にしてくれないから、呼ぶ名前なんて言わんでいいやろ。」「なんで名乗んなきゃいけないんや。」

「おお、覚えとってくれたんか。」「今日は何話そうか。」

誰もあなたのことを知らない、と言わせない。あなたのことをおぼえている、私の中にあなたはいる、と伝えたかった。

初めて北九州へ来た10代の私は、困窮者支援の現場を目の当たりにして、人生をひっくり返されるほど衝撃を受けた。そして、自分に絶望した。

私もひとりでは生きてはいけない。私も誰かにおぼえていてもらいたいと思うひとりだった。

そんな私が北九州へ来て、ボランティアとして関わり始め、今は抱樸で仕事をさせてもらっている。毎日色々ある。良いことばかりな訳はない。たくさんの出会いもあるが、別れの方がやっぱり多い。それはしんどい。できれば見送りたくない。長生きして欲しい。

北九州に来て、10年。ライフステージも変化した。息子を出産した時、「人は生まれてきてくれただけで、生きていてくれるだけで良いのだ」と改めて強く感じた。

どんなことがあっても、生きていればみんなで笑い、泣き、共に生きていける。出会いから看取りまで。抱樸は関わり続けることを大事にする。

誰もあなたのことを知らない、と言わせたくないと必死になっても、結局私一人ではなんとかならないこともわかった。炊き出しだって、支援だってみんなでやるからできる。

これから希望のまちでどんな出会いがあるだろうか。これまでの出会いがどう広がってていくのだろうか。

ついつい日常に手いっぱいになってしまう私だけれど、今は今の自分にできることをし続けていきたいと思う。

ここでの出会いや関わりは、私の希望だ。

これまでの出会いに、つながりに私はたくさん教えてもらった。
なんとかなる!

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NPO法人抱樸 花岡真琴


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