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塀の中と外を媒介するツールとして―NPO法人マザーハウス会報「たより」2022年10月号Pick Up

NPO法人マザーハウスは、受刑者・出所者の社会復帰支援をする団体です。私たちは会報誌「たより」を毎月発行しています。

塀の中の受刑者から寄せられた手紙(便り)や絵、社会にいる私たちから送りたいメッセージなどを掲載しています。今回は2022年10月号の内容をご紹介します。

出所者Tさん

「受刑者と共に捧げるミサ」菊池大司教からのメッセージ

この時期に恒例となりつつある「受刑者と共に捧げるミサ」が、今年も、マザーハウスの主催で、10月8日午後2時から、カトリック麹町教会で捧げられました。

以下、このミサで行われた説教の原稿からの抜粋です。

簡単には抜け出すことができない困難の中で、私たちが選択するべき道はただ一つです。それは、互いに支え合い助け合う「連帯」の道です。

いま世界に必要なのは、互いの違いを受け入れ、支え合い、連帯することであり、神の愛を身に受けて、自分のことではなく他者のためにその愛を分かちあう生き方です。

今日このミサを捧げながら、過去を顧み、ゆるしを求めている人に善なる道が示されるように、祈りたいと思います。同時に、犯罪の被害に遭われた方々の、心と体のいやしのために、祈ります。さらには、加害者のご家族、また被害者のご家族の方々の、いやしと生きる希望のために、祈りたいと思います。

受刑者の絵(KATTOさん)

元受刑者による特別講義 学生たちが感じたこと

マザーハウス代表の五十嵐が専修大学法学部で昨年12月に行った「法社会学Ⅱ」での特別講義に、学生さんたちが感想を寄せてくださいました。7~9月号に続き、その一部をご紹介します。

ボランティアで文通している人のお話を動画で視聴しましたが、刑務所で社会の繋がりが絶たれ、自分が必要ないのではという不安を抱えている人の気持ちが伝わってきました。そして、自分の気持ちを言える環境の大切さ、社会の人とのつながりが刑務所内の人の光になるということがわかりました。

「刑務所での受刑が再犯防止になるのか」という問題で、自分の罪を悔い改めるためには、社会との接点を持たせないと意味がないということに納得出来ました。

今回の講義でお話を伺って、犯罪者の更生を考える上では、単に起こした事件についてのみ注視するのではなく、犯罪者が事件を起こしてしまった背景にはどのようなことがあったのかという点についてまで考え、犯罪者と向き合っていく必要があることが分かりました。

受刑者の絵(T拘 Aさん)

「塀の中のたより」~受刑者からの手紙~

受刑者から私たちのもとに届いた手紙のうち一部を抜粋してご紹介します。なお本人の許諾を得て掲載しています。

母は私に、「今回はもう縁を切るつもりでいた。周りからももう縁を切れと言われた」と言いました。私は母に、「じゃ、なぜ面会に来たのか?」と聞いたところ、母は「自分が後悔をしたくないから、自分のために会いに来た」と言いました。その言葉を聞いた時、この人の為に真っ当に生きようと思いました。こんな心配してくれる人がまだいるうちに生き方を見直そうと思いました。

(N警察署 Nさん)

法や規則を破り、罪を犯し、悪事を働くと、必ず明るみに出ます。たとえ誰も見ていなくても、自分の目がそれを見ているのだから、自分の目を通して神が見ていると、この頃思うのです。

(A刑 Fさん)

その人は損得なしに色々なことをしてくれました。それは、私のことを好きだから、友達だから、という理由でした。それから私は、どうでも良かった毎日が、「明日も頑張るぞ」と、今日を生きる、今を大切にし、何事にも感謝だと教えられ、気付かされました。

(真ノ介さん)
出所者Tさん

編集後記

私がNPO法人マザーハウスに広報チームとして関わるようになって、半年余りが経ちました。その業務の一つが、この「たより」のPick Up記事の作成です。

それまで、自分の生活のなかで受刑者や出所者のことを考えることはほとんどありませんでした。たよりを読むことで、毎月受刑者や出所者を取り巻く環境に思いを馳せています。

このように、たよりが塀の中と外を媒介するツールになっていけたらうれしいです。

執筆:黒木萌

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ご支援の方法③マザーハウスオンラインショップでの、フェアトレードコーヒー「マリアコーヒー」等のご購入支援

マザーハウスでは活動の一環として、「マリアコーヒー」を販売しております。マザーハウス事務所にて、元受刑者が販売に携わっており、収益金は受刑者の更生・社会復帰支援等に使用いたします。

ルワンダから仕入れたフェアトレードのコーヒーであり、生産地ルワンダの生活や産業の発展にも貢献しています。マリアコーヒーが使用しているルワンダコーヒーは、日本国内のコーヒーシェアにおいて大変貴重な希少種でありながらも、近年の世界中のカッピングコンテストでは上位入賞の常連です。

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