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知覚学習

「もう一つの学習」

小学3年生までの基礎教育期では、主に「言語教育」が大切になります。人の、知的発達の源が言語だからです。ものには名前(名詞)がある、動きを表す動詞がある。そのものの特徴を表現する形容詞がある、このように、「言語」とは思考と表現を可能にする大切なものです。昨日行われたプリンスジュニア新越谷教室主催のセミナーも「ことばと文字」でした。ここでは主に心に主眼を置くセミナーとなりましたが、その後の学習にも大きく影響を与える問題提起を数多く含んでいます。

セミナーの帰り、食事で立ち寄った所で、一人の若いお母さんが、2~3歳の女児を叱っていました。しかし、それは、叱ると言うより感情的に威圧しているというものでした。この時、アメリカの知的水準を調べた調査結果を思い出しました。1970年代、まだ白人と黒人の知的格差がある頃、親子間のある行為についての格差が、そのまま知的格差に比例するという見方があったのです。その行為とは、「叱る」でした。子どもを叱る際、どうして叱られるのかを理解させることを大切にする白人と、口汚く罵り、時には暴力で制するという黒人の違いは、そのまま知的格差を生んでいるというものでした。ここに、「ことば」による思考力、判断力、概念というものを教え育むことの重要性が秘められているように思います。勿論、その後の調査では、白人、黒人の知的レベルの差は、肌の色ではなく、「貧困」が知的レベルを左右しているという結果を示しましたが、「叱る」という行為そのものが「指導」「教育」「躾け」であることを決して忘れてはいけません。

ことばの習得と共に大切な学習があります。それが概念形成です。概念形成は、思考力、判断力、分析力、観察力、想像力、表現力等の知的発達を促します。つまり「ことば」を活かす学習が望まれます。
概念は、大きな分け方から始まります。これを大分類といいます。

「お手玉」「すごろく」「あやとり」「ビー玉」「めんこ」「縄跳び」「鬼ごっこ」「凧揚げ」

これらをどのように分類されますか?最も簡単な分け方をすれば、「遊び」となります。次に「内遊び」「外遊び」となり、男女で分ける場合も出てきます。それぞれどの視点で分類するかです。子ども達に分かり易いと言われる概念は「四季の概念」です。また、果物と野菜の概念もあります。この様に、概念で分類することは、ことばの使用頻度を高め、同時に理解力を高めてくれます。

大分類、中分類、小分類される概念は、基礎、応用、発展という学習において当たり前の学習分類へと繋がります。実社会でもこの考え方は幅広く使われています。大事故によるけが人の緊急分類は、色で分けられますが、これもその一例です。この学習こそ、幼児教育では第三の学習と言われる「知覚学習」なのです。ことばを活かす一つの学習がここにあります。しかし、知覚分野は幅が広く、「ことば」の学習だけでなく、「かず学習」の一分野も担っているのです。

2012/12/3


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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