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タイルさんすう

「経験の積み重ねがない」

梅雨の中、晴天に恵まれた今日、プリンスジュニア本厚木教室主宰のセミナーが行われました。演題は「言葉と文字」学習の要でもあり、子ども達の心を形成することばの扱いについて熱く語ってきました。

ことばは経験や体験から得られることが多く、それは彼らを取り巻く環境の良し悪しにも影響します。あるお父さんからも、幼稚園で悪いことばを覚えて帰ってくると嘆かれていました。良い悪いの判断を大人が教えない限り子ども達の心は、薄汚いことばで覆い尽くされていきます。「鉄は熱いうちに打て」大人の姿勢が問われています。

今年開発した教材に「タイルさんすう」があります。算数の基礎から学べる幼児用のテキストです。この教材をメインに幼児の数指導をされている先生がいらっしゃいます。幼児の指導は、言語を持たない年齢と、言語を持ち使い始める年齢、そして会話ができる年齢と分けて指導することがあります。これは、記憶に関係しているのです。幼児の記憶の中で、ことばを介さない記憶は成長と共に消えて行きます。このため、0~2歳の指導は言語記憶を導くことばがけが望まれ、知的行動の前と後でかけることばは自ずと変化します。この点が幼児教育の難しさであり専門性が問われる所以でもあります。

記憶の中には経験や体験というものも含まれます。数分野は抽象思考が求められます。ですから、2歳・3歳の中頃まで様々な経験や体験が数指導の中心となるのです。そして、この指導を簡単と一言で論じてはいけないほど大切な要素が詰まっています。数の要素の中に、「並べる」「置く」「くっつける」「半分」」「分ける」「合わせる」「数える」、これらは日常数多く使う数のことばです。生活用語から数の要素や概念を学ぶことができるのですが、今の子ども達はこの経験値が全くといってよいほど持ち合わせていません。これは、子どもとの関わり方の変化、親子遊びの少なさが主な原因ではないでしょうか。タイルさんすうを通して、今の時代に欠けていると思われる具体的問題を探ることができます。数指導だからと、最初から数字を指導することはありません。その手前、数を量として実感することから指導は始まります。タイルを持つ、合わせる、並べる、くっつける等動作を伴い行います。これで言語と動作の一致を行っていきます。プロの幼児教育者は、指導において「言語化」するといい、このことを大切にします。子ども達が持たなければいけない経験は多くの具体性を伴っています。机上の空論での説明では表現できないほど経験における、感覚的刺激は複雑です。具体的経験を多く持つ子は、その後の数という学習を、抽象的思考論理性などを、ことばという具体性を持って学習していきます。

幼児教育の教材はシンプルです。それでいて奥が深い物です。なぜなら、人間の成長発達に即して制作されているからです。問題集とは違います。その為、「練習帳」などのネーミングとなるのです。

今日は、ちょっと疲れてしまい話がまとまらなくなってきました。申し訳ありません。先週、テレビ局の方からの取材で、宿題を出されています。これから、そちらに取りかかりたいと思います。

2013/6/2


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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