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子育て心理学「逆算の思考」

「語彙の獲得」漢字の扱い

小学1年生の段階で既に大きな差を生んでいるのは何か、その問題点を分析すると「ことばの数=語彙数」が浮かんできます。計算ができない、文章問題ができない、漢字が書けない、先生の話を聞けない、これらの問題点の殆どが言語理解です。小学1年生で成績上位と下位の差が5000語にもなる語彙数、この差は年を追う毎に広がりを見せていきます。低学年だからまだ間に合うと油断してはいけません。この5000語もの差をどう捕らえるかで、その先の子どもの状態が大きく変化してきます。およそ幼児期の6年間で5000語もの語彙数の差が生まれた原因はどこにあるのでしょうか。それは子どもを取り囲む言語環境に他なりません。

「言語環境を大切にする」一方的な言葉の投げかけではなく、ことばのキャッチボールが大切、幼児でも遊びを通した会話が成立します。その際に使われることばは、状態を示すもの、表すもの等感覚的部分をことばに表すことです。「すいすい」「ぽっちゃん」「ぱちぱち」などの音をことばで表す擬音や、「重い」「軽い」「広い」「狭い」「大きい」などの形容詞を使って表現してあげます。絵本読みも、繰り返し繰り返し読むようにして、自然と暗唱ができる環境にすることです。決して勉強などとして無理強いは禁物です。料理をするところを見せたり(勿論、食材をにているときは「ぐつぐつ」、切るときは「さくさく」「とんとん」等のことばを使ってあげましょう。掃除のときなど多くのことばが出てきます。無理に子どもと外に行く必要はなく、お母さんとの会話を重視する方が大切です。会話をするとき、お母さんは子どもの前に座ることが基本です。最近のお母さんはこのことができなくなっています。注意してください。以上のように言語環境を整えることで語彙を獲得する下地ができてきます。

小学生になると、幼児とは違い生活が一変します。義務教育として学習が中心となるからです。すると、学習量に比例して語彙数の獲得に大きな差が生じてきます。成績上位と成績が下位の子どもでは、なんと毎年およそ4000語の差が累積されていくことになります。6年間で累積された語彙数は30,000語に及びます。この差が示すように、子どもの理解力、集中力、思考力に与える影響は大きく、小学6年生になっても理解力など小1レベルの子が全体の1~2割近くになるほどです。

語彙を高めるには、読書・書写・音読・会話などが上げられます。更に私は個人学習ができる漢字練習をお薦めします。今回、開発した漢字練習帳は、漢字と共に自学自習と語彙の獲得を目標に制作されました。よく「先取り教育」と言いますが、漢字こそ先取りすべき学習でしょう。今回は、漢字を使った例文を数多く出すようにしました。漢字をどのようなことばと共に使うのか、漢字1文字だけを覚えるのではなく、他のことばと共に覚えていくことが大切です。

また、何故先取り教育なのか、それは、1年で80字、2年で160字、3年で200字と6年生までに1006字を学習します。しかし、ご存じのように、漢字には、音読み、訓読み、字形、筆順、画数、部首、熟語、熟字訓(特別な読みをする熟語)、反対語、同音異義語等々、1字に何倍もの要素が含まれています。そのため、指導を待って学習するのではこれらの要素を学ぶ時間が足らなくなります。まさに、逆算の方程式の活用です。漢字学習と語彙の獲得は、語彙数の少ない子必須となるでしょう。

新開発された漢字練習帳は、「配当漢字帳」「筆順練習帳」「音読み・訓読み練習帳」(なぞる書写タイプ)「書き取り練習帳」(小テスト)、以上の4種類で、それぞれの例文を書写する専用のノートも併せて制作しました。(今回は、大変申し訳ないのですが制作部数が限られており、手に入らないことが考えられます。)

漢字学習は、年長からもできる学習です。書写を通して、丁寧に書くことを学んだ子どもであれば十分対応できるはずです。漢字学習を通した語彙の獲得数は1万語以上になります。語彙数は算数・理科・社会からも知識となる語彙数とてし獲得できます。成績上位の子に語彙数が多いのはこのためです。1年生の配当漢字が80字だからこそ、逆算すれば漢字の先取り学習を始めるべきです。漢字学習を始めるなら…?。

2013/4/17


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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