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極上の白い花・その1

白い花が好き。
白という色が好きなわけじゃない。
白い花が好きというモチーフを喚起するような意味深な記憶なんてものもない。
冷たい水を飲みたいみたいな直感的な欲求に近いのかな?。
でも、白い花見ないと死にそうになるとかそういうことじゃない。
白。
何色にも染まっていない。
そういった意味合いもある。
空白という概念の白。
抽象の世界の白という色彩。
目の前に表してみようと思うとなかなか難しい。
白い画用紙に白いクレヨンで白い花を描く。
白に白を描く。
空白に空白を埋める。
ゼロにゼロを加える。
そこには何もないはず。
のはずなんだけど。
現実に目の前にある画用紙の中には白い花の痕跡はちゃんと残されているはず。
白い画用紙も白いクレヨンも完璧な白じゃないもの。
頭の中では真っ白という色が存在してても、現実に目の前にあるものの中で真実の真っ白はこれって言えるようなものは存在しないよね。
でも黒い画用紙に白いクレヨンで白い花を描くとなると話は変わってくる。
そこには真っ白な花が現れる。
白い花はまさに白い色の花で、白にも色々あるとか、何をして白と言うのかみたいな哲学的な疑問が湧き出てくることはないと思う。
黒い画用紙でなくても、赤い画用紙でも、青い画用紙でも、黄色い画用紙でも、それは同じこと。
白に白じゃなければ白のことを考え込まなくてもいいのかもしれない。
そしたら、赤い画用紙に赤いクレヨン、青い画用紙に青いクレヨン、黄色い画用紙に黄色いクレヨン、そして、黒い画用紙に黒いクレヨンという問題も出てくるんじゃないか?。
やっぱり気づいちゃうよね。
色の概念を根本から見つめ直さなくちゃいけないことになってしまう。
白い花が好き。。。と始まったこの文の趣旨に戻るのに何年もかかっちゃうのも嫌なので、ここは白い色から外に出ないことにしておく。
白い花。
白い地に黒い活字の文字。
文字上の白い花はきちんと定義づけられているけれど頭に浮かんでくる画像は人それぞれだし、かなり曖昧なんじゃないかな?。
白い百合。
白い菊。
喪のイメージ。
白い薔薇。
カスミソウ。
ブライダルのイメージ。
そう、白い花を思うと真っ先に浮かんでくるのは非日常な場面。
花というのはもともと非日常を演出するためのアイテムでもあるのですが、白い花の登場する舞台はその極にあるのかもしれない。
白という色を表現する言葉に汚れないというのがありますよね。
一点の曇りもない色。
人の営みで数度しか到来しないハレの現場を最も高い位置まで極める白という色。
一方、そこに参加する人は礼服という黒い色をまとって白い色をさらに高める。
無色とか空白という意味での白の向こうには全てを含むという正反対の意味が無限に広がっているとも言えるんじゃないかな?。

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