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【閑話】タイの首相らしい発言

タイなどインドシナ半島では年初めから魔の野焼きシーズンがはじまって、大気汚染真っ盛りである。

5月の雨季がはじまる前にと、各国の農家が野焼きをするのだ。

昨年の実績を見ると、ミャンマー、ラオスの野焼きがダントツ多いようだ。

野焼きをすると雨季に入ると雨水でその炭が土壌に浸透して有害な微生物を浄化してくれるからだ。雨季前に野焼きをして雨によって土壌をリセットする。伝統的農法だ。

月別ホットスポット数(2022年)

インドシナ半島はどこも大変な状況であるが、偏西風に乗って特にタイに汚染大気が押し寄せる。風向きにもよるがかろうじてタイ南部は大気汚染を免れることができる。

実は、タイの都市部や工業地帯は、野焼きに加えて、自動車の排気ガスや工場から出る排ガスも大気汚染の大きな原因で、それは雨季の間もおこっている。

だが、5月から11月はじめまでの雨季の間は雨によって待機中の有毒成分が洗い流されるため問題は少しおさまったように錯覚される。

そんなことがあるので、仕事で場所を選べない駐在員などを除くタイ居住希望者には、南部のプーケットをすすめている。

注)オレンジ、レッドは健康に注意の汚染レベル

大気汚染マップ

タイの首相が、野焼きに走る農民に向けて警告メッセージを出しているがその内容が興味深い。ここではチェンマイの農民向けのように聞こえるが、実際はタイ全国の農民に向けての警告であろう。

ここでタイらしいと言うのは、タイにはすでに野焼きを罰則の対象とする法律がある。しかし、タイ首相はそれを使いたくはないと言う。まず自主的に野焼きを減らす努力を促しているのである。農民への気配りや情が感じられる。まだまだ社会の上下の距離感が近いのだろう。うらやましい限りだ。

以上