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トレインキルンを作る

思い起こせば2017年5月、信楽にある施設、陶芸の森とアメリカクラフトスクールとの初めての交流事業に参加させていただき、アメリカメイン州にあるヘイスタッククラフトスクールとノースカロライナ州にあるペンランドにいかせていただいたことがきっかけとなっております。

生まれて初めての海外への一人旅。
全く英語の喋れない40過ぎの私は、飛行機の乗り継ぎ一つも頼りなくニューアーク空港では二時間くらい彷徨い半泣きになる有様でした。
#アメリカ陶芸シリーズ #ヘイスタック #ペンランド編
そんな私に色々親切にしてくださったのが、ヘイスタックのクレイスタジオで出会った Hideo Mabuchi さんでした。

初めて見るオートミールやベーグルの食べ方も知らず、何にもつけずに食べ始める私を見て、「半分に切ってトーストして食べるといいよ」とか「トライフルーツを入れて牛乳かけて食べるといいよ」とか親切にしてくださったのが彼でした。

彼は「日本の京都には学会で行くから、信楽も近い。その時によるよ」
とおっしゃるので、私も気軽に「ぜひいらしてください!」と言って別れました。

その後行ったペンランドではたくさんの薪窯を使う陶芸家やそれまで海外の薪窯を紹介する本で見ることかできなかったタイプの登り窯や穴窯を見ることができました。

しかしその中でも最近instagramで知ることができた、「train kiln」だけは見ることが出来ませんでした。
ペンランドでtrain kilnを使っているという陶芸家から話は聞くことが出来ましたが、その分余計に見ることが出来なかったことが残念でした。

そのことを日本に帰ってからもSNSなどで書いていたのですが、それをマブチさんは覚えていてくださったようで、ある日連絡が入ってきました。

「今度、私がいつも焚きに行っているユタのトレインキルンを一緒に焚かないか?」というお誘いでした。

なんとマブチさんは、あのスタンフォード大学の物理学教授だったのです。
二つ返事でスタンフォードに行くことに決めた私は、2019年5月、
カリフォルニア州スタンフォード大学へ。
マブチ先生と再会を果たして、スタンフォードでワークショップをさせていただき、先生の土で制作した器を持って、飛行機に乗りユタ州立大学へ。 #アメリカ陶芸シリーズシーズン2 #スタンフォード編 #トレインキルン #ユタ編

そこでついに「train kiln」をこの目で見ることが出来ました。

なぜマブチ先生がわざわざユタまで私を招いてくださったかというと、そこにはトレインキルンの設計者である John Neely 先生ご本人がいるところだったからです。

そこで私はニーリー先生に宿泊や食事のことまでお世話になった上に、日本語が堪能な先生直々にトレインキルンの構造や特徴について質問するという貴重な体験をさせていただきました。

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ユタ州立大学でのトレインキルンの窯焚きの様子

日本に帰った私は、2017年の陶芸の森交流事業に参加したおかげでできたこのご縁と経験をなんとか、信楽に還元できればと考えるようになりました。
そこで、ニーリー先生にサイン入りの設計図面をいただき、それを持って陶芸の森へいき「トレインキルンを作らせてほしい」とお願いをし、このたび県民講座として築窯の許可をいただきました。


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陶芸の森県民講座。トレインキルンを作る

築窯ワークショップに参加される皆さんは、陶芸経験も豊富で築窯経験もある方がほとんどという練韃ばかり。
そんな方と窯の事、土のこと焼きのことをこのトレインキルンを通して話せることが私は嬉しい。

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これからも、この窯を通して日本の穴窯や登り窯との違いや共通点、そして「薪を燃料とする窯」の広がりについて、窯を焚きながらセッションできる日を想像するだけで、ワクワクしております。

機会をくださった陶芸の森の皆様、参加者の皆様
教えてくださったニーリー先生、そして何より大きなご縁をくださったマブチ先生。本当にありがとうございます。

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