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自分のbeを体現するための会社を作った

飯野 希(@nozomuiino)と申します。自己紹介noteになればいいなと思い、書いてみます。

いままで約10年間の社会人経験のなかで、3年弱はメーカーでオフィス用複合機のUX/HCDを、のこりはITスタートアップで新規事業開発という名のなんでも屋をやりながら社内起業を2回していました。

そして2023年の3月からmoyau株式会社を設立し、独立しています(その前にフリーランス期間が1年ぐらいありますが)

THE消極的起業

「起業した」という言葉だけ見ると、なんだか大層なことに感じるかもしれませんが、起業に至った経緯は決してカッコいいものではありません。いろいろな観点で次のキャリアを検討したときに、消去法的に自分で起業するという案しか残らなかったという感じです。
なので「こんなプロダクトで社会を変えるぞおおおお!」とか「めっちゃ資金調達してJカーブでスタートアップビジネスを駆け上がるぞおお!」みたいな気持ちは皆無です。無理やり言葉にするのであれば、「消極的起業」と呼べるのではないでしょうか。
ただ消極的、といっても自分で意思決定をして、自分と家族が食べる分の給料は稼がないといけないので、改めて自分で何がやりたいのかを考える必要がありました。どんな会社をやりたいかなあ、と思ったときに最初に浮かんだのは、会社としてのルール・あり方を決めることでした。

なお、いまはたった一人の会社なので、フリーランスと何も変わらない生活をしているのですが、然るべきタイミングで一緒に働く人を探したいなと思っていて、その前提でのルールです。

なんとなく頭のなかにある私のやりたい組織

自分のなかでカッチリと決まっているわけでもなく、しっかりとコピーライティングしているわけでもありません。
ただ、誰かにカッコつけて見せたいわけでもないし、別に伝わると思うので、超第0案的な感じで書いちゃいます。
前提として、僕はめちゃくちゃお金持ちになりたいという願望もないですし、自分が幸せであって、それによって周りにいる人にもちょっとだけいい影響が与えられるならいいな、というぐらいに考えています。

  • 自分のbeを最優先に

  • 足るを知る。成長を求めない

  • できるだけ身軽に

  • 再現性を求めない

これらは独立ではなく、互いに依存関係にあるので、ひとつひとつを説明してもパッとしない可能性もありますが、一応現段階で言語化してみます。

自分のbeを最優先に

突然ですが、会社のパーパスや、ミッションビジョンバリューってなんなのでしょうか。
こんなことを言うと、一部の人にすごく怒られそうですが、僕は社内のコミュニケーションコストを下げる方法の1つだと考えています。
従業員が増えれば、全員の統率を図るのが難しくなりますしコミュニケーションコストも増大するため、「私たちはここに向かっている」ということを示すことが重要になります。それがパーパスやMVVの役目のひとつでしょう。
ただ、そのなかで従業員ひとりひとりの「自分たちはどうありたいか」は置きがちにされているとも思っています。

僕自身は前述の通り、社会に対して大きなインパクトを残したいと思っているわけでもなく、周りの人を少しでも幸せにできればいいな、と思っているぐらいの人間です。
ただ、みんながみんな大層な野望を持っているわけでもないですし、同じような思想の人はいるんだろうな、と。

だとしたら、会社がどこに向かうか、会社がどんなインパクトを社会に残したいか、よりももっとコアに「従業員が『どうありたいか』が実施できる環境」があってもいいんじゃないかな、と思ったんですよね。自分たちが満たされていれば、それは周りにいい影響を結果的に与えるじゃないかな、と思っていたりします。

会社って、そんな大層な大義を掲げているところばかりじゃなくていいと思うんです。

ただ生きるためにお金を稼がないといけない以上、人生と仕事はパッキリ切り離せないと思うので、「どんな仕事ができれば、自分らしいのか」を深く考えてみんなで実践する、というイメージです。

足るを知る。成長を求めない

足るを知る、という言葉が好きです。

「足るを知る」とは、古代中国の思想家、老子の言葉です。 「足るを知る者は富む」、つまり「何事に対しても、“満足する”という意識を持つことで、精神的に豊かになり、幸せな気持ちで生きていける」ということを表しています。

「足るを知る」と、幸せになれる 植西 聰【著】

もちろん資本主義社会において、無意識に全てが「成長」という前提のもとに成り立っているので、「もっともっと」を求める方が正しいというか、自然な流れな気もします。
ただ、僕自身は組織が大きくなることに興味がないというか、むしろ大きくなるにつれて、自分のbeと遠くなっていく感じを受けていて、「成長を目指さずに、自分たちのbeを求める方が、総合的にいい人生なのでは?」と最近思い至りました。

成長を目指さない、という資本主義に反するような感じなのですが、一回この考えで物事を考えてみると、いろんなことから自由になれるような気もしています。

自分たちのbeに必要な金額を稼いだら無駄に残業したり、他のプロジェクト追加で獲得に行ったりすることなく、あとは自分の人生にできるだけ時間を使って欲しいと思うし、自分もそうでありたいと思います。

できるだけ身軽に

僕はこれからのビジネスを考える上で、「社会の不確実性がどんどん高まるなかで、数十年続くビジネスなんてあるのかな?」と常々思っています。

もちろんそれを狙っていきましょうよ、という話ではあるのかもしれないですが、僕がめーーーっちゃ飽き性だということもあり、「いつ、どのタイミングでも面白いものを見つけたら飛び付ける」ぐらいの規模がいいな、と思っています。
そして成長を求めないという企業においては、マネージャーも必要ありません。

そう考えると、最大でも会社に必要な人数は、5人ぐらいだと思うんですよね。

そして5人ぐらいの規模であれば、それぞれのbeを大事にしながらも、ツールに大きな投資もせず、スプレッドシートでがんばれるぐらいじゃないかなあと。そのぐらいが気持ちがいいと思うんだよなあ。

話はちょっと変わります。
組織が大きくなればなるほど、どうしても数字で管理するようになってくるわけですが(そっちの方がビジネスを伸ばす上では正しいと思います、もちろん)、「こういうクオリティの商談を組めば、20%の確率で受注できる。だから売上このぐらいを達成するためには〜」みたいな考えって、個々に課題も違えば要件も違う顧客を数字で一括りしてしまっていて、本当にその顧客に向き合えているのかな……となんとも正直むず痒くなることも少なくありませんでした。(このあたりが本当に僕の社会耐性がない部分だと思う)
一方で経営者としては、その読みがないと計画の達成がどの程度辛そうなのか、楽観できるのかもわからないのも理解できます。僕もそうでしたし。

ただ、「成長」という前提をとってしまったときには、事業計画も、そういった数字の管理も、不要になるのかな、とも思っています。もちろん従業員に給料を払うための仕事は必要ですが。
でもいい仕事をちゃんとしていれば、運は小さいながらも回ってくるものだとも信じている性分でもあります。

そういう意味では、僕は自分の手触り感がある距離感で顧客とちゃんと向き合えた対価を受け取る、という昔々の物々交換、みたいなテンションで仕事がしたいのかもしれません。
それを感じられるために、身軽でいるべき、という考えもあります。

再現性は求めない

企業は成長をするために、再現性を求めます。ただ「成長」というものを無視したときに、再現性ってあまり意味がないものだと思うんです。

再現性があるということは、その人じゃなくてもできるということでして、それって楽しいんだっけ? と。
私はそんな再現性よりも、属人的にその人だからできたこと、の方が価値があると思うし、小さい会社でやる意味が大きいと思っています。
再現性を求めないことのデメリットとして、一人退職者が出ると、大きく組織が変わってしまう、という問題がありますが、別にそれでいいじゃん。

そのタイミングでその人と一緒に仕事するからこそ生まれたもの、を大事にしたいなと思っています。

moyau、舫う、催合う。

だいたい大事なことを決めるときは、兄に相談しています。といっても、相談というか今回においては「今度会社立てようと思ってるんだけど、なんか最近気になっている日本語ってない? 一般的に知られていない単語で、そこまで長くなくてキャッチーなやつ。アルファベットにしても5-6文字のやつ」って感じで、聞いただけなのですけど。

「もやう、って知ってる? 船を港の杭に繋ぐことを『舫う』って言うんだけど、どうかな」

と、そのとき兄は言っていた。

会社って船に例えられることが多いし、なんか語感もいいなーと思ってドメインも空いていたので、割とあっさりと決めてしまったんですけど、すごく気に入っています。
ちなみに「もやう」という言葉には「誰かと共同で物事を行う(催合う)」という意味もあります。
ちょうどそのときに「しっかりと自分たちのあるべき姿からずれない会社がいいな」とか、「それでも独りではなく、誰かと楽しく仕事をしたいなあ」とか思っていたので、ピッタリな言葉なのかな、と今更ながら。

会社という船は、いろんな方々と催合いながら、いろんなところに旅をしながらも、大海で迷子にならないように、フラフラしないようにちゃんと港に舫う。元となる部分(=ルール)はずらさないぞ、と。
まだwebサイトすらないけれど・・・

まあ、いろいろ書いたんですけど、結局自分の分も稼げなくて「うわああああ」ってなる可能性も多いにあります。し、それはそれでいいかなとも思っています。
だし、青いこと言ってるなあというのは自分でも理解しています。そんなに甘くはないぞ、と。ただ自分で会社やるって決めたんだから、スタート時点では、好きなこと言わせてよ。
で、具体的に何をするのよ? は書くと長すぎるので、またどこかで……。

ちなみに、上記したルールを守るためには、もっともっと自分自身の力が必要だなと思っていて(おかしなことに、会社としての成長を求めないというスタンスをとると、自分の成長は絶対に必要になってしまう)、スウェーデンのビジネススクールに行くことにした、という流れでもあります。
そちらも気になる方は、下記にまとめ始めてますので、ぜひ。


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