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Leading Teams: チームの働き方で感じた日本とヨーロッパの違い

Hyper Islandの体験記も終わりに近づいてきた感じがします。今回は6つあるモジュールの最後の6つ目が終わったので、その報告です。
今までの体験記は下記にまとめています!

最後はLeading Teamsというモジュールで、Hyper Islandのコアとなるモジュールだと言えます。このモジュールだけ短期ではなく、10ヶ月に渡って少しずつ行われました。

Hyper Islandでは、10ヶ月で5つのプロジェクトをチームを行いました。それぞれのプロジェクトでどうチームを運用するかは各チームに委ねられていましたが、Hyper IslandのValueには『Team is Everything』という言葉もあり、どうチームをまとめるのか、どうそのチームにしか出せないアウトプットを出していくのか、ということを強く求められています。

個人的には、多くのチームの動かし方、リーダーシップの取り方を経験することができ、非常におもしろい経験ができました。ただそのなかで日本的なリーダーシップとヨーロッパ的なリーダーシップには、どうやら大きな違いがあることがわかってきました。今回は、どこにその違いを感じたのかにフォーカスして書いていきます。

個人的には、日本的〜とかヨーロッパ的〜とかのカテゴライズはあまりしたくないのですが、わかりやすくするためにもこの記事ではその表現を使わせていただきます。

日本のリーダーワークはどうやら特殊らしい

Erin Meyerの『The Culture Map(邦訳:異文化理解力)』という本には、いろいろな国の文化の違いについて下記グラフのようにマッピング・説明されています。

ON OUR BOOKSHELF: The Cultural Map by Erin Meyer
(大元のグラフよりわかりやすいので、第三者の方が作成したグラフを引用しています)

それぞれの行は、その国の文化がローコンテキストかハイコンテキストか、ネガティブフィードバックがダイレクトかダイレクトではないか、などの軸で表現されています。そして各国がその軸のどこに位置するかをマッピングしているものです。

見ていただくとわかるように、日本はどの軸においても右側か左側に位置しており、かなり極端な文化だと言えます。
そのなかでも、他の国と大きく違う部分が「組織は階層的」であるのに「合議制」で決断をする、という点です。その文化を表しているのが稟議制度だと言えるでしょう。あれ、特殊らしいです。

他にも日本とヨーロッパのチームワークの違いについて、下記のように述べられている記事もありました。

ヨーロッパと日本のマネジメントにおいて、最も違いが見られるのがチームワークに対する考え方です。「調和を第一に、みなが協力しあっていかなければならない」というのが日本なら、「チームはより迅速に、より多く、自分に利益を与えるものでなくてはならない」というのがヨーロッパです。
〜中略〜
ヨーロッパにおけるチームリーダーの仕事というのは、その一人一人の人格や考え方の違いをケアしながら、最終的には任務を遂行させることです。ヨーロッパでは個人の考えに重きを置くことをよしとされていますから、人々がチームに所属する理由も、自分に対して有益であるということが最優先されます。チームに居続けるためには、私はここで幸福でなければならないし、活躍の場がなければならないし、好きな仕事や興味のある仕事をしていなければならない。そういった条件がすべて揃って当然とヨーロッパ人は考えます。

【日本の常識は世界の非常識?】ヨーロッパとの比較で見えてきた日本企業の強みと課題

まあこれらの情報は情報として知っておく分には「ふーん」ぐらいで済むものですが、実際にプロジェクトを動かしていくなかで、確かに日本とのチームワークの大きな違いを経験できました。

ここからは実際の感じた違いや、その感想を述べていきます。

リーダーになるための資格は必要ない

これはおもしろい感覚でした。まず、プロジェクト開始時にはチームリーダーを決めるわけですが、日本的には「このプロジェクトは一番知識がxxさんがありそうなので、xxさんにお願いしたい」とかなりそうじゃないですか。
ただ、Hyper Islandのグループワークでは「興味あるんでやります!」って絶対にその分野に詳しくなさそうな人が立候補してきたり、逆に「リーダーじゃないのに、結局はお前が全部決めるやん・・・」みたいなめちゃくちゃ張り切ってくるメンバーがいたり、少なくとも日本での一般的な”リーダーシップ”像とは大きく違うイメージを持ちました。

この違いはなんなんだろうなーと思いながら、スッキリしたのがイギリスの方との下記会話です。

「プロジェクトの成功のために、このチームをリードするべきか?」という問いを立てるのが日本だとしたら、「このチームをリードしたいか?」と思うのがヨーロッパ的であり、Hyper Islandで出会ったみなさまだった気もします。

ただ、その人がちゃんとチームをリードできないとプロジェクトはうまくいかないので、成功確率という意味でいうと、日本的なほうがうまくいくような気もしなくもない……意思決定の制度が変わりそうな感覚がある。

チームへの貢献意識の違い

僕はヨーロッパのグループワークスタイルが最高だとも思っていないので、なるべく自分の日本人的な感覚を大事にしながら、全てのプロジェクトに参加しようと決めていました。
自分ができることはなんでもするし、他の人のサポートが必要であればする、全体としての調和をとりながら、プロジェクトを成功に持っていく、という感覚です。

なので、プロジェクトとしてあるべきゴールを決めたあとで、そのなかでどう役割分担をしていくか、という考え方が僕としては前提としてあります。

対して、他の参加メンバーは「俺・私はこういうスキルを持ってるので、こういうプロジェクトにしたい。」という態度の人が多かった感覚です。なんなら、期待に添えなかったときに「あんま今回プロジェクトでできることないから、他の人に任せるわー」というモードになる人もいたぐらい。
対クライアント、対プロジェクトを考えるときに、同じぐらい「対自分」をいう軸がメンバー一人ひとりにあって、そこはすがすがしさも感じました。

他のメンバーからすると、「なんでもやります!」スタイルの僕は意思が見えにくかったらしく、「Nozomuはどうしたいの?」「Nozomuは、もっと自分でできることをアピールしていきなよ」というフィードバックをもらうこともありました。

「完成系が見えているパズルに、どう自分がピースとしてはまっていくか」が日本だとしたら、「自分というピースの形を変えずに、完成系を作っていく」のがヨーロッパ的・Hyper Island的なのかもしれません。

そして、その個々人のピースの形をうまく潰さないようにしながら、完成系を作っていくのがヨーロッパ的なリーダーシップスタイルなんだと思います。そういう意味ではよりかなりパルプンテ的と言いますか、うまく決まるときはめちゃくちゃ決まるし、そうじゃないときは大きくプロジェクトが崩壊する…というようなイメージを持ちました。

なんとか、Distinctionをゲット・・・

さて、他すべてのモジュールは実在するクライアントに対するグループワークと、エッセイで採点がされていましたが、このモジュールだけは1人作業でした。なぜかリーダーシップに関する話をエッセイとPodcast形式で提出するのが、求められている要件です。

私は「AIがどんどん組織に入っていったときに、リーダーシップはどう変わっていくのか?」というちょっと攻めた内容(モジュールのなかでは扱っていないテーマ)で提出しましたが、今回も最高成績のDistinctionをゲットすることができました。うれしい〜〜〜

ということで、あとは修士論文だけなのですが、修士論文としては最低の成績をとったとしても、単位全体の平均としてはDistinctionがとれることは決定したので、かなりホッとしています。

修士論文は、すでに書き始めておりますが、テーマもスムーズに決まっており楽しんでおります。一方で、一般的な修士論文よりもアカデミックなサポートはどうしても受けにくいですし、Hyper Islandのメンバーとの交流もかなり少なくなってしまったのは悲しいところ。
実際ここの修士論文が書けなくて卒業できない人もそれなりにいるそうです。孤独な戦いって感じですもんね、理解します。

ということで6つのモジュールについては、独り言スタイルではありますがなんとかnoteを書けました……。誰か今後Hyper Islandを志望する人の参考になりますように……。

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