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手を当てなくても、繋がっている世界

私は「手当て」といわれる施術を主にやっていますが、手を当てるとはどういうことなのでしょうか?

手を当てるだけで人は安心するそうです。

そして、実は手を当てなくても、人は何かを感じています。

近くにいる、それだけ支えになり
安心でき、活力が湧いてくることもあります

どういった原理でそのようなことがおこるのか

今回はそんなことを伝えさせていただきます。

触れることでの安心


落ち込んでいるときに、触れられて安心したり
手を握るだけで苦痛が軽くなったりした経験はないでしょうか?

アメリカの心理学者ジェームズ・コーンたちは
夫婦に参加してもらい、妻に軽度の電気ショックを与えた時の脳の反応で
夫と手を繋いだ時と、1人の時の反応の違いから
人が触れることの効果を調べました。

といっても実際に電流を流すわけではなく、電流を流すと予告した時の反応を調べたそうです。

結果としては、今まで我々が経験してきた通り
夫と手を繋いでいる方が、脳の反応が弱くなったそうです。

触れることにはすごい力がありますね✨

触れなくても良い?


先程の実験の結果は、触れたから起こった現象なのでしょうか?

友達同士でも、一緒にいると安心する感覚や
やる気が湧いてきたりするような経験はありませんか?

もしかしたら触れなくても、近くにいるだけでも効果があるのかも知れませんね!

アメリカの心理学者サイモン・シュナルたちは
実験参加者を坂のふもとに連れていき、その坂の角度について推測するという実験を行ったそうです。

結果は面白いことに、友人と一緒に推測した人は、1人で推測した人に比べて、坂を「緩い」と判断したそうです!

坂の角度を推測してもらうだけですが、勝手に坂を登っていくと仮定するようで、友人となら頑張れる!って思うんですかね✨

またこの効果は

「駅までの道のりの判断」
「重い荷物を背負って登る階段の高さの判断」
「痛みに耐えられる程度」

についても起こり、友人が寄り添ってくれるだけで負担が軽く感じられることが分かっているそうです!

一体なぜこのような効果があるのか?


人に触れられると痛みへの脅威が軽減したり
人と一緒にいると坂道が緩やかに感じられたりすることは分かりましたが、なぜこのような効果があるのでしょうか?

それは、ストレスの影響です。


動物はストレスを軽減するために群れて生活をします。

野生の動物は、ご飯を食べているときなどに、襲われそうになったら誰かが教えてくれるので、一人一人のストレスが少なくなり、警戒に使うエネルギーも節約できるため、群れているそうです。

そのため先程の、坂道の角度を推測する実験でも、1人の方がよりストレスを感じやすく、坂を登るというストレスをより強く感じ、坂を急だと判断したということです。

そのため、ストレスを感じている人や、
疲れを感じている人、重い荷物を背負っている人は、坂の傾斜を急だと判断するそうです。

さらに、エネルギーの面でいうと
身体のエネルギー源であるブドウ糖入りのジュースを飲んだ人は、同じ味でブドウ糖が入ってないジュースを飲んだ人よりも坂の傾斜が緩やかだと判断するそうです。

このように人間は、群れることでストレスの軽減と、余計なエネルギーを使わないようにしています。

群れることでストレスへの耐性がつき、エネルギーも節約できるので、坂道を見たときにも「登れそう」と感じ、緩やかであると判断する、ということなんです!

みんなでなんかやるって、楽しいだけでなく、こんな効果もあったんですね!

近くにいる人は仲良しの方が良い


群れるとストレスの軽減と、エネルギーの節約ができることは分かりましたが、群れる人も誰でもいいわけではないですよね。

最初に紹介した電気ショックの実験では
「夫に手を握られる方が、誰にも握られていないより脅威が少ないと判断した」
と書きましたが、これは「仲の良い夫」が手を握った時のお話しだそうで、

逆にあまり仲が良くない夫が手を握ると、脳の活動は、誰にも握られていない時よりむしろ、増大してしまったそうです。
また、他人が手を握った時も、脳の活動は増大したということでした。

これは
電気ショック+他人に手を握られる
というストレスが二重になってしまったからだと考えられます。


また、坂道の実験でも隣にいる人との関係性は重要で、頼りになりそうな人が隣にいれば、緩やかに感じますが、そうでない人だと緩やかに感じにくくなるそうです。

これは急な坂に感じるわけではなさそうです。
ちょっと安心。笑

他人と信頼できる人の違いとは?


ここで
この人は信頼できる!という判断はどこでしているのか?
という疑問が出てきます。

日々の生活の中で、この人は信頼できる、この人は信頼できない、などと線引きをして生きている人はほとんどいないのではないでしょうか?

その判断は、「脳」でおこなっているのですが、無意識におこなっており、いわば本能でおこなっています。

過去の経験で、人に助けてもらえなかったり、裏切られたりしたことがあると、人との間に線を引いてしまい、なんでも自分で解決しようとします。

逆に過去に人に助けてもらった経験がある人は、人との間に線を引かず、境界を拓き、人を頼るようになるそうです。

皮膚が人を信頼する?


信頼できるかどうかは脳が判断すると書きましたが、脳で判断するより先に、皮膚が判断しているのです。

前に、うつ病の方は皮膚の血管が閉じており、熱を外に逃せないから深部体温が上がってしまう、という記事を書きました。

そこでは、うつ症状のある方の身体を、近赤外線で外から温めると、深部体温が下がり、うつの症状が軽減した、という実験結果も書いてありますが、この実験からも皮膚と心の関係が見えてきます。


過去の経験から人を信頼することができず、人との間に境界線を引いてしまう、ということは交感神経が優位になり、皮膚の血管を収縮させ、臨戦態勢になってしまうということになります。

逆に、周りに信頼できる人がいるということは、安心できるということで、安心できるということは、副交感神経が優位になるので、皮膚の血管は拡張します。

皮膚の血管をコントロールしているのは脳ではなく、自律神経ですから、脳よりも先に皮膚が相手を判断し、指先が温かくなるから信頼できる、指先が冷たくなるから信頼できない
と皮膚が判断していると考えることもできます。

まとめ


ここまで読んでいただきありがとうございます。

信頼できる人が触れるだけ、近くにいてくれるだけでも人はストレスの軽減、エネルギーの節約ができるから、1人の時よりも色々とできるようになるんですね✨

人は触れられても、触れられていなくても
いろいろな情報をキャッチしながら生きていることもわかりました!

ただそれは幼少期の影響を強く受けるそうなんですが、これもまた長くなるので、別の記事で書いていきます!

施術を受けるとストレスも軽減しますし、動きもスムーズになってエネルギーの節約にもなって、活力爆上がりですよ✨

のぞむ整体院
小林 望

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