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Jung Kook "Seven" 愛しき君といつまでも ~日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.097

たったひとりで全てを背負い込む君
その腰に唇を落とし楽にしてあげる
君と出会った僕は幸せ者に違いない
僕はこの手で 君の輪郭をなぞる

Seven (feat. Latto) - Clean Ver.



たったひとりで全てを背負い込む君
その腰に唇を落とし楽にしてあげる
君と出会った僕は幸せ者に違いない
僕はこの手で 君の輪郭をなぞる


そうやって君と僕は僕らでいられる
そうやって君と僕は僕らでいられる
僕は君と前世で会っていたのかもね
だから別れるのはまたの機会にして

僕を包み込み命を与えてくれる君
そしてだからこそ夜を重ねる度に
僕は君を正直に愛していくのだろう

月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、
土曜、日曜
月曜、火曜、水曜、木曜、金曜
来る日も来る日も
毎時、毎分、毎秒
ごとにわかるでしょう?
僕は君を正直に愛していくのだろう
来る日も来る日も

僕の性急さも君は愛してくれる
僕が捧げている この全てで
海より深い忠誠を君に示そう
一息ついてゆっくりしていく
その余韻を君に残すよ
海より深い忠誠を君に示そう

そうやって君と僕は僕らでいられる
そうやって君と僕は僕らでいられる
僕は君と前世で会っていたのかもね
だから別れるのはまたの機会にして

僕を包み込み命を与えてくれる君
そしてだからこそ夜を重ねる度に
僕は君を正直に愛していくのだろう

月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、
土曜、日曜
月曜、火曜、水曜、木曜、金曜
来る日も来る日も
毎時、毎分、毎秒
夜毎にわかるでしょう?
僕は君を本気で愛していくのだろう
来る日も来る日も



月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、
土曜、日曜
月曜、火曜、水曜、木曜、金曜
来る日も来る日も
毎時、毎分、毎秒
夜毎にわかるでしょう?
僕は君を正直に愛していくのだろう
来る日も来る日も


しっかり手綱を握って
キツく彼の心を掴んで
あなたのカメラロールに刻んで
服はドア前に置き去りにして
まごついてるくらいなら、
目的を達成する方がまし
彼は衝動のままに動いて
夜明けに向って私たちは一睡もしない
来る日も来る日も
7枚のシーツ、7通りのアングルで
私はあなたの思うがままになれる

口を開けて Ahhh
こっちにきてよ ねぇ
そのプライドを捨てさせてよ
あなたが何をしていようとも
私はその感じに合わせられる

連絡をくれたら喜んで従うわ

あなたは月曜を週末みたいに感じさせる
私は彼を浮つかせたりなど絶対させない
仕事も会議も忘れさせたわ
さあ 朝をゆっくり楽しみましょう
来る日も来る日も


月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、
土曜、日曜
月曜、火曜、水曜、木曜、金曜
来る日も来る日も
毎時、毎分、毎秒
夜毎にわかるでしょう?
僕は君を正直に愛していくのだろう
来る日も来る日も

月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、
土曜、日曜
月曜、火曜、水曜、木曜、金曜
来る日も来る日も
毎時、毎分、毎秒
夜毎にわかるでしょう?
僕は君を正直に愛していくのだろう
来る日も来る日も


英語歌詞はこちら↓
https://music.bugs.co.kr/track/6207490
『Seven (feat. Latto) - Clean Ver.』
作曲・作詞:Andrew Watt, Jon Bellion , Henry Walter (Cirkut) , Theron Makiel Thomas , Latto


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今回は、2023年7月にBTSのJung Kookがソロ名義で初めて世に送り出したシングル曲、"Seven" (Clean Ver.)を意訳・考察していきます。


1.「サマーソング」

プロデューサーにAndrew watt(2020年グラミー賞受賞「年間製作者賞(クラシック以外)」、ジャスティン・ビーバー "Peaches"、エド・シーラン、ホールジー 等)とCirkut(ニッキー・ミナージュ、Becky G、ENHYPEN "Bite Me" 等)を迎え、期待以上・予想以上の話題性でソロデビューを果たしたジョングク。

リリース3か月前にはそんな大物PDたちと堂々と肩を並べる姿がすでに公開されていました。↓
(音楽プロデューサー スクーター・ブラウン氏のインスタ投稿。1枚目左よりブラウン氏、グク、ワット氏、サーカット氏。2枚目にはパンPDの姿も)

韓国メディア・聯合ニュースが運営する芸能チャンネル「TongTongCulture」では、リリースに合わせてグクのインタビュー動画が公開されました。↓

選曲の時点でこの "Seven" は特に心に残ったので、「リリースをしなければとすぐに思った、こんなことは滅多にない」という旨のコメントを残しています。

"Seven" は1990年代にイギリスで生まれたUK Garageという音楽ジャンルであるとNME誌の記事で紹介されています。ここでは、ビート主体のUK Garageがこれまでの彼のソロ曲を印象付けていたヴォーカル主体のメロディックなラインナップとは対象的なものであるとしており、アコースティックギターのループとドラムパターンが生み出す断続的なリズムの破断面をグクの声が中和していく様が見事だと評しています。↓

UK Garage が持つ圧倒的に軽快で聴き心地の良い清涼感たっぷりのリズム感は、この "Seven" の〈表の顔〉として設定された「サマーソング」としての役割を十二分に果たしていると思います。ですが、既に世をざわつかせている〈大人の顔〉をしたもうひとつの世界観の存在なしにはこの "Seven" の魅力はお伝えしきれません。

本人が語っている通り「愛する人とずっと一緒に居たい」というテーマにのっとって生み出された "Seven" は、2023年7月18日時点で「Clean Ver.」「Explicit Ver.」「Summer Mix」「Band Ver.」にInstrumentalを加えた計5種の音源が配信されています

Fワードが含まれているExplicit Ver.はもちろん読んで字の如くなのですが、その道に詳しい方々が詳細に解説してくださっている通り、Clean Ver.と共有する部分においても(もちろんLattoのラップにも)スラングとしての別の意味を持つ単語やイディオムがちりばめられているようです。

老舗米エンタメ誌Varietyによる記事では「曲全体がセクシー」であるとインタビュアーが表現し、Lattoのラップが他のパートよりもよりあからさまに性的なものになっているが大丈夫だったのか?と尋ねている程です。↓

今更「全米デビュー」なんていう触れ込みも必要がない程すでにシンガーとしての知名度が海外でも確立されている彼が、あらためて全編英語詞曲をひっさげてひとりで世界の舞台に立つ時、一体何を武器にするのか、という点で、この〈セクシー解禁〉という選択以上のものはなかったのではないでしょうか。

そんなセクシーなテーマで完成された楽曲を、あの持ち前のキラキラした輝きを以ってして軽快な「サマーソング」だと名打って売り込むことは、彼のソロとしてのキャリアをより芸術的で普遍的・恒久的なものにしていくのではないかと私は思います。

(こういった性的な表現をメンバーが作品として発表する度に露骨に反応する方々がネット上に必ずいらっしゃいますが…例えば、アートとして発表されている裸婦画について性的な感想で盛り上がる人がいたらどう思われるでしょうか。私だったらかなり引きます。歌詞が芸術であるか否かの判断は一概には下せませんが、少なくとも「より多くの人に聴いてもらうために慎重に選ばれた言葉たち」に対して、ただ性的な部分だけに標準をあてて騒ぐような場面にはうんざりします。)

では、この "Seven" の歌詞にどれ程の愛が詰まっているのか、歌詞を少しずつ掘り下げていきたいと思います。


2.毎時間、毎分、毎秒

■この世の全てを背負う君

まずは冒頭からロマンチックな表現が並びます。

Weight of the world on your shoulders ※1
(ひとりで全てを背負いこむ君)
I kiss your waist and ease your mind
(僕は君の腰にキスをして、君の心を楽にする)
I must be favored to know ya ※2
(僕は君と出会い(天に)味方されているに違いない)
I take my hands and trace your lines ※3
(自らこの手を取り、君の輪郭をなぞる)

※引用文に付けた和訳は直訳
https://music.bugs.co.kr/track/6207490

※1 carry the weight of the world on one's shoulders…一人で何でも背負いこむ(参考
※2 be favored…favor(味方する)の【受動態】(参考
※3 line…(しばしば複数形 linesで)輪郭、外形(参考

特に私が好きな表現は「lines」を「trace」する、という部分です。自分が絵を描く人間ということもありますが、「輪郭をトレースする」という行動がどれくらい精密で神経を使うことかを身をもって知っているだけに、「自らこの手で」という前提も含めてこの1行はたまらないですね。


■正しくありたい

It's the way that we can ride ※4
(それが僕たちが乗ることができるやり方)
It's the way that we can ride
Think I met you in another life ※5
(僕は君と前世で会っていたと思う)
So break me off another time ※6
(だから僕と別れるのはまた別の機会にして)

You wrap around me and you give me life
(君は僕を包み込み、僕に命を与えてくれる)
And that's why night after night ※7
(そしてだから毎晩)
I'll be lovin' you right ※8
(僕は君を正しく愛していくだろう)

※引用文に付けた和訳は直訳
https://music.bugs.co.kr/track/6207490

※4
・way…何かを解決するための道筋・やり方(参考
・ride…(馬のようにまたがる物に)乗る(参考
→「一緒にいる(同じものに乗る)ことができる」ようにするための道筋
★Explicit Ver.では「we can ride」が「you can ride」となり、スラングとしてのrideがより強調されていると思われる。(参考
※5
・think (that) ~…~と思う
・in another life…前世において(参考
※6
・break off…縁を切る、別れる(参考
→前世でも会っていたのだから、次に生まれ変わってもきっとまた出会うだろうし、それならせめて現世の自分とは別れようとしないで、という可愛いお願いなのかなと思います。
★参考:スラングとしてのbreak off
・another time…別の機会、別の折(参考
※7
・that's why~…それが~した理由だ、だから~なのだ(参考
・night after night…夜な夜な、毎晩(参考
※8
・will be ~ing【未来進行形】~しているだろう(参考
・right【副詞】…真っすぐに、正しく、非常に、とても(参考
★Explicit Ver.ではlovin'がFワードになっている。

ここは「(基準に対して)正しい」という副詞rightの解釈が肝となるのではと思います。MVの公式和訳では「本気で」とあり、口語的には「とても」という意味もある(参考)とのこと。

何を基準として「正しい」とするかは様々な解釈があると思いますが、自分を愛し、守り、力を与えてくれる存在に対して抱く感情としては、自らが抱く「君への愛」に対して正しくありたいと思う「実直」「正直」といった気持ちがふさわしいのではないかと思います。

そんな「正しくありたい」という心持ちが彼の原動力となっていることを裏付けるWeverse Magazineインタビューが公開されています。↓

率直であればこそ、本当の自分になれると思うんです。僕がしたいことをしようとする気持ちに変わっているようです。僕が行動を上手くやれば、たくさんの人たちがそれを受け入れて下さるだろうし、そうすれば僕はもっと僕の姿を思い通りにお見せすることができるからです。
――Weverse Magazine 「정국 “제 스스로가 좀 바뀌고 있는 것 같아요”」2023.07.20 より抜粋して和訳

https://magazine.weverse.io/article/view?num=825&lang=ko


■四六時中も好きと言う

続いてサビ部分です。

Monday Tuesday Wednesday Thursday Friday Saturday Sunday
(月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜 日曜)
Monday Tuesday Wednesday Thursday Friday
(月曜 火曜 水曜 木曜 金曜)
Seven days a week
(週に七日)
Every hour every minute every second
(毎時間 毎分 毎秒)
You know night after night ※9
(毎晩わかるでしょ?)
I'll be lovin' you right
(僕は君を正しく愛していくだろう)
Seven days a week
(週に七日)

※引用文に付けた和訳は直訳
https://music.bugs.co.kr/track/6207490

※9 you know~…~でしょ?、~じゃん?、知ってる?(参考

楽曲の中でARMYに注目してもらいたい部分は?との質問に、「毎時間、毎分、毎秒」の部分だとSpotifyの公式動画でグクが答えています。振り付けもお気に入りとのこと。


■海より深い献身

ヴァース2は全体を通しても特に表現の境目が曖昧で、最も湿度の高い箇所なのではないかと思います。官能的な雰囲気と純真な愛情が交差した表現が並びます。

You love when I jump right in ※10
(君は僕がすぐに本題に入っても愛してくれるね)
All of me I'm offering
(僕が捧げている僕の全ては)
Show you what devotion is Deeper than the ocean is
(海より深い献身であることを君に示す)
Wind it back I'll take it slow ※11
(巻き戻して 僕はゆっくりやるよ)
Leave you with that afterglow ※12
(君にその余韻を託す)
Show you what devotion is Deeper than the ocean is
(海より深い献身であることを君に示す)

※引用文に付けた和訳は直訳
https://music.bugs.co.kr/track/6207490

※10 jump right in…とりあえずやってみる、すぐ本題に入る(参考
※11 wind back…巻き戻す、(get one's wind backで)激しい運動の後一息つく(参考
※12
・leave A with B…AにBを預ける・託す(参考
★スラングとしてのafterglow


■手綱を握って

そして、ここからLattoのラップパートに入ります。ここは前述した記事にもある通り「あからさまに性的」であると思って読むのが自然だと思います。

Tightly take control
(しっかりと主導権を握る)
Tightly take his soul
(しっかりと彼の魂を掴む)
Take your phone and put it in the camera roll
(あなたの携帯電話を手に取り、カメラロールに入れる)
Leave them clothes at the door
(ドアの前に服を残す)
What you waiting for, better come and hit ya goals
(何をもたもたしているの?こっちにきて目的を達成する方がまし)
He jump in it both feet ※13
(彼は後先考えずにやる)
Going to the sun-up, we ain't getting no sleep
(日の出に向かって進み、私たちは眠らない)
Seven days a week, seven different sheets, seven different angles
(週に七日、七枚の異なるシーツ、七つの異なるアングル)
I can be your fantasy
(私はあなたの空想になれる)

Open up say ahhh
(口を開けて言う アー)
Come here baby let me swallow your pride ※14
(こっちにきてよ ねぇ あなたのプライドを捨てさせて)
What you on I can match your vibe
(あなたが何しようと 私はあなたの雰囲気に合わせられる)
Hit me up and I'mma Cha Cha Slide ※15
(連絡してくれたら私はチャチャスライドするわ)

You make Mondays feel like weekends
(あなたは月曜日を週末のように感じさせる)
I make him never think about cheatin'
(私は彼に浮気なんか絶対にさせない)
Got you skipping work and meetings, let's sleep in ※16
(あなたに仕事と会議をさぼらせたわ 朝をゆっくり過ごしましょう)

※引用文に付けた和訳は直訳
https://music.bugs.co.kr/track/6207490

※13  jump in it both feet…深く考えずに行動する(参考)
※14  swallow one's pride…プライドを捨てる(参考
★耐えがたい事案をswallow飲みこんで受け入れるの意。
 スラングとしてのswallow your pride
(楽曲のこの歌詞の部分には「飲みこむ」音が挿入されている)
※15
・hit (人) up…(人)に連絡する(参考
・I'mma=I'm going to~(~するつもりだ)(参考
・Cha Cha Slide…アメリカの国民的ダンス(公式動画
元々はDJ Casperがフィットネストレーナーの身内に有酸素運動で使ってもらうために作った曲だという。ラジオを介して人気に火が着き、やがて全国的に広まったとのこと。特別な練習をしなくても歌詞の通りに従えば自然と体が動く設計になっている。
参考:「20年近く経っても人々を感動させるチャチャ・スライド」米テレビ局WTTWの記事

※16
・get 目的語 ~ing…目的語に~させる(参考
・sleep in…朝寝する、寝過ごす、あえてゆっくり寝る(参考

ここでLattoが表現しているのは「しっかり彼の魂を掴む」「絶対に浮気させない」「仕事なんかサボらせる」と主導権を握っている女性であり、それでいて相手の男性に対して「あなたの全てに従える」と断言するブレない人物です。Cha Cha Slideは従順さの象徴であり、fantasyは妄想とも受け取れるでしょう。どんな要求にも応えてあげる、あなたを失望させない、と。

"Seven" リリース後は主に海外のショーで精力的に活動をし、2023年中のアルバムリリースも示唆しているジョングク。
「ビッグなポップスター」を目標に掲げる彼にしか見えていない景色が、私たちの目の前にも広がる時がやってくるのは時間の問題かもしれません。



今回も最後までお付き合い下さりありがとうございました。
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