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BTS "네시(4 O'CLOCK)" 朝4時の君へ 〜日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.012

そう 僕らは生きながらに死んでいる
でも 今なら目を開けても平気だよ
とある映画のように その台詞のように
月明かりの中では
世界の全てが青いから

네시(4 O'CLOCK)

ある日 月に
長い長い手紙を書いた
君より明るくはないけれど
小さなろうそくを灯したよ

薄明るい公園で歌う名もなき鳥

「ねぇ、どこにいるの?」

どうして泣いているの
ここには僕と君しかいないのに


夜の深みを従えて
君の歌声が
一歩ずつ 一歩ずつ
暁の空を連れてくる

夜明けが過ぎ去って
あの 月が眠りにつけば
一緒だった青い光は消えてしまうよ


今日も僕は適当にやっていく
それなりに 相応に すり減っていく
太陽の元では息が詰まり
世界は僕を丸腰にする
僕は仕方なく 為す術もなく
月明かりの下
散らばる僕を拾っている


君を月の子と呼ぶよ
僕らは月の子ども
明け方に冷たい息をつく
そう 僕らは生きながらに死んでいる
でも 今なら目を開けても平気だよ
とある映画のように その台詞のように
月明かりの中では
世界の全てが青いから


薄明るい公園で歌う名もなき鳥

「ねぇ、どこにいるの?」

どうして泣いているの
ここには僕と君しかいないのに


夜の深みを従えて
君の歌声が
一歩ずつ 一歩ずつ
暁の空を連れてくる

夜明けが過ぎ去って
あの 月が眠りにつけば
一緒だった青い光は消えてしまうよ

夜の深みを従えて
君の歌声が
一歩ずつ 一歩ずつ
暁の空を連れてくる

夜明けが過ぎ去って
あの 月が眠りにつけば
一緒だった青い光は消えてしまうよ

夜明けが過ぎ去って
あの 月が眠りにつけば
一緒だった青い光が


公式に発表されている歌詞は見つかりませんでしたが、こちらのV LIVEではステージ上のスクリーンに歌詞が映し出されている様子が確認できます。
(49:46~が "네시" のステージ)

『네시(4 O'CLOCK)』
作曲・作詞:V , RM


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今回は2017年6月にSOUND CLOUDで公開されたRMとVのユニット曲 "네시(4 O'CLOCK)" を意訳してみました。以下、考察(考察中の和訳は直訳)していきます。

前回 "친구(Friends)" の和訳記事で書いた「マンドゥ事件から生まれた2曲」のうちのもうひとつがこの "네시(4 O'CLOCK)" だそうです(テテ談)。

公式YouTubeにレコーディング風景がアップされています。

上記を和訳して下さった方の動画も併せて拝見しましたが、冒頭で「初の完全自作曲」と興奮気味に話すテテからは曲に懸ける思い入れが伝わってきました。

マンドゥの件で大ケンカをした後、公園でジミンを待っていた時の気持ちを歌にしたい、と思ったテテの事を想いながら聴くと、より一層染みてくるスルメ曲です。



ムーンチャイルド

この曲の歌詞には、マンドゥ事件の顛末とはまた別の視点から「朝4時に起きている人」を想った要素がナムさんによって盛り込まれています。

それを象徴しているのが「Moon child」というフレーズです。

ナムさんのミックステープ "mono." のビハインド動画にて "네시" と "moonchild" の関係を語ってくれている部分があります。
(27:50~)

意訳するにあたって "Moon child(月の子供)" をどう解釈しようか悩んでいた時に、ナムさんの曲に同じタイトルの曲があった事を思い出しました。
確かビハインド動画もあったはず、と視聴してみると、やはりそこを指摘してくる人が出てくるだろうとすでに予見していた彼自身が、丁寧にその関係性を解説してくれていました。

楽曲 "moonchild" は "네시(4 O'CLOCK)" よりも先に制作が開始されていたとのことで、「昼間の自分の生き方に息苦しさを感じているが故に、夜になると解放感を覚える人」についての想いが込められているのだといいます。

そのような人たちの事を "Moon child" と呼び、その生き辛さに寄り添う楽曲として生まれたのが "moonchild" であり、"네시(4 O'CLOCK)" であったのだと理解しました。

"네시(4 O'CLOCK)" は「朝4時に起きている人」の気持ちを通してふたりの異なる感性が見事にミックスされた絶妙な楽曲である事がわかりました。意訳するにあたっても、このナムさんが作った設定を下敷きにしてみるとわかりやすくなってくる箇所がたくさんありました。


青い光

歌詞中度々登場する「푸른빛(青い光)」。
月明かりを指している事は明白なのですが、その扱い方が気になった箇所が記事の冒頭で取り上げている部分です。

그 어느 영화처럼 그 대사처럼
(その 或る映画のように そのセリフのように
달빛 속에선 온 세상이 푸르니까
(月明かりの中では 全ての世界が青いから)

この例えの元ネタが絶対あるはずだと調べてみると、ありました。

この記事には「月明かりの中で~」というセリフとそれにまつわるシーンについての簡単な紹介が。
正にこれじゃん?!と息巻いたのですが、実際のところはどうなのかな…。
引用の意図としても、この内容なら合点がいきます。機会があったら一度観てみたい作品だなと思いました。


朝4時の君へ

話題が歌詞の内容から離れますが、「朝4時」と聞くと、最近の私はジミンの事を思い出します。

8/27の4:01、Weverseに投稿されたひと言がずっと気になっていて。

私はまだ彼らを追い始めて日が浅いので、それぞれの性格や考え方、それらを作り上げている歴史についての知識を材料に彼の気持ちを慮ることは難しいです。

ですが、曲がりなりにも創作活動を長く続けてきた私自身の経験と意識をもって彼の気持ちを察すると、無性に痛くて仕方がなくて。

少年の頃から実力で舞踏の道を歩み、デビューしてからも当然「表現している自分を誰かに見せる」事で自分の輪郭を確かめ続けてきた彼が突然「(直接)人に見てもらえなくなった」今のこの状況が、どれだけ心許ない事か。

実際には世界中に彼を見守っているARMYさんがたくさんいるのですけれど、そしてもちろん本人だってそれはわかっているのだろうけれど、喝采や歓声を直に浴びる事が出来ない配信や収録ライブを重ねる度に、その不在に対して感じる虚しさとどうやって向かい合っているのか、それを考えると胸が痛い。

「毎日、毎日(ARMYに)会いたい(ステージがしたい)です」と朝の4時に呟く、そんなジミンの傍らにもどうか、一緒にいてくれる淡い青い光がありますように。



最後まで読んでくださりありがとうございました。


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