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Jin "Heart on the Window (with 웬디)" ハートに託すこころ〜日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.146

今も尚 目映いあの窓辺で
僕の心を眺められるように
だから僕は窓にハートを残すよ
君を待ちわびた時間の終わりに

Heart on the Window (with 웬디)



幾多の季節をやり過ごし
音もなく吐息がにじむ時
そして僕は 君に落ちる

毎分 更に
毎刻 更に
夢のように
白く染まった 心の窓に
色濃く刻みつけた君と僕

今も尚 目映いあの窓辺で
僕の心を眺められるように
だから僕は窓にハートを残すよ
君を待ちわびた時間の終わりに

真っ白に染め上がる吐息
隙間なく描かれた僕の心
窓にハートを残した時に
もっと深く刻んでおいた


いつも暗く沈んでいた私の心に
あなたはふと 透明な窓を開け
光でいっぱいに満たす

毎分 更に
毎刻 更に
夢のように
鮮やかに広がりゆく季節の中に
刻みたい あなたと私

今も尚 目映いあの窓辺で
私の心を眺められるように
だから私は窓にハートを残すの
あなたを待ちわびた時間の終わりに

真っ白に染め上がる吐息
隙間なく描かれた私の心
窓にハートを残した時に
もっと深く刻んでおいた


更に君を愛す
更にあなたを愛す
約束する この心を刻むと
更に もっと
更に君を愛す
更にあなたを愛す
あの窓に残したこの心と共に

今も尚 目映いあの窓辺で
この心を眺められるように
だからふたりは窓にハートを残す
互いを待ちわびた時間の終わりに

真っ白に染め上がる吐息
隙間なく描かれたこの心
窓にハートを残した時に
もっと深く刻んでおいた




韓国語歌詞はこちら↓
https://music.bugs.co.kr/track/6270647

『Heart on the Window (with 웬디)』
作曲・作詞:Pdogg , Alex Karlsson , Shorelle , 이스란 , Ellie Suh (153/Joombas) , 조윤경


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今回は2024年11月にリリースされたJinのソロアルバム第1集「HAPPY」収録曲 "Heart on the Window (with 웬디)" を意訳・考察していきます。

Red VelvetWendyをボーカルに迎えた、ソロ初となる女性アーティストとのデュエット曲になります。

(この曲をもって7人全員がそれぞれのソロ活動において女性アーティストとの共作を果たしたことになりました。ソロ活の方針的に必須項目のひとつであったのではないかと個人的に思います)

ジンくん自身の声があの安定の透明感と高音域を持ち味としているので、女性の声とどう住み分けているのか、あるいは融合しているのかが、この楽曲の聴きどころのひとつでもあります。
韓国語、そして英語の歌詞は一人称に男女の違いがありませんので、今回はどちらがメインで歌っているのかを基準に主語を部分的に使い分けて意訳してみました。

アルバムリリースを記念して開催された「'Happy' Special Stage」でのジンくん自身による楽曲プレゼンテーションにて紹介されたこの曲のキーワードは〈パプ〉。
メシの歌……!?ではなくて、デュエットの相手を決めようという段階でWendyの名前を挙げた際に、食事の席で居合わせていた人が彼女の連絡先を知っていたことが今回のオファーに繋がった、という経緯があったそう。

歌詞の内容は、冬を迎えぐっと気温が下がる季節にぴったりの〈寒さ〉を前提にしたやりとりを活かした、心熱くなる物語です。




まず今回は、日本語で「上(に)」と訳される英語の「on」と韓国語の「위」が表している状態について確認するところから始めたいと思います。

★前置詞「on」は「接触」している状態を表す語であり、状態は縦置きでも横置きでも関係ありません。故に「on the window」は「窓(の外側)の上の部分に」ではなく「窓ガラスの表面に」であると認識しなければなりません。

★「위」は「上」を意味する名詞ですが「表面」の意味もあり、「위에」とすることで英語の「on」と同様の状態を表すことができます。

「on the window」「창 위에」をそれぞれ機械翻訳にかけるとどちらも「窓のに」としか出てこないので一瞬混乱しますが、
「on the window」、「창 위에」=【窓ガラスの表面に】
であると認識する方が正確な状況を頭でイメージし易いと思います。

以上を踏まえて先に進みます。

숱한 계절들을 넘어 ※1
(数多くの季節を越えて)
소리 없이 입김이 번질 때
(音もなく口から出た温かい息が広がる時)
And I fall
(そして 僕は落ちる)

More every minute
(毎分 もっと多く)
More every hour
(毎時間 もっと多く)
Oh 꿈인 듯이
(夢のように)
하얗게 서린 맘의 창 위에
(白く曇った心の窓の表面に)
짙게 새겨둔
(深く刻んだ)
You and me ah
(君と僕)

여전히 눈부신 창가에
(相変わらず眩しい窓辺で)
네가 내 맘을 볼 수 있게
(君が僕の心を見ることができるように)
So I'll leave you a heart on the window
(だから僕は窓の表面にハートを残すよ)
널 기다린 시간 너머 ※2
(君を待っていた時間の向こう側)

새하얗게 번져가는 숨
(真っ白に広がっていく息)
빈틈없이 그려진 내 맘
(隙間なく描かれた僕の心)
When I left you a heart on the window
(僕が窓の表面にハートを残した時)
더 깊이 새겨두었어
(もっと深く刻み付けておいた)

※引用文に付けた和訳は直訳
https://music.bugs.co.kr/track/6270647

※1 넘어→넘다…越える(参考
※2 너머…向こう側(参考
★넘어と너머はどちらも耳で聞くと「ノモ」だが別の言葉(参考

「on the window」「창 위에」がしっかり「窓の表面に」であるとわかった状態でこの歌詞を読めば、登場人物が何をしているのかが一目瞭然です。

寒さで白く染まる息、そして窓ガラス。
「ここで待っていれば姿を見せるはずだ」と、窓がある場所で意中の相手を待ち伏せていたけれど、本人は姿を見せず。
せめて自分がここにいたという痕跡を残すために、白く曇った窓ガラスに指でハートを描くことにする。
相手が自分の心を目にすることができるように。

「Heart on the Window(窓の表面のハート)」
タイトルの回収完了です。
にしても、今どきなんてアナログな世界観(褒めてる)。

オンラインでのコミュニケーションが発展し、「待ち合わせ」だけでなく「待ち伏せ」においてもその難易度が格段に下がってきている現代社会。
だからこそ尚更、このような〈もどかしい〉やりとりが歌詞のモチーフとして絵に成り得るのかもしれません。

お気づきだとは思いますが、この歌詞に登場するふたりは互いに待ち伏せし合っているのに肝心の本人には直接会えてはいません。
ですが、立ち去る際に窓に残す「ハート」を介して相手にその気持ちを伝えようとしています。
自分の愛情を「ハート」に託し、その深さを伝えさせる。
目を見て語り合うことが叶わなくても、ふとしたことで光を浴びるように互いの存在を確かめ、巡りゆく季節の中でもたくさんの同じ時間を過ごしていきたいと望みます。

늘 깊이 어둡던 내 맘에
(いつも深く暗かった私の心に)
넌 문득 투명한 창을 내
(あなたはふと透明な窓を出して)
빛으로 가득 채워
(光でいっぱいに満たす)

More every minute
(毎分 もっと多く)
More every hour
(毎時間 もっと多く)
Oh 꿈인 듯이
(夢のように)
선명히 번져갈 계절 속에
(鮮明に広がりゆく季節の中に)
새기고 싶은
(刻みたい)
You and me ah
(あなたと私)

※引用文に付けた和訳は直訳
https://music.bugs.co.kr/track/6270647

触れ合うことは無くても互いの愛の存在を決して疑うことなく、この先もずっとその愛の証を深く刻み続け、心を照らし合って生きて行きたい。

なんだか、ARMYとバンタンの理想のあるべき姿のように思えてきます。

転役直後、積極的にARMYと触れ合う機会を自ら作ってくれたジンくんでしたが、承認欲求も性欲も丸出しで一線を越えた変質者がイベント参加者に混ざってしまっていて、ジンくんが本っっっ当に気の毒で仕方ありませんでした。
情報収集が容易になったことで禁止されている「出待ち」を平気で実行し、あわよくば本人に接近しようと試みる不届き者もいます。

ウィバスやイベント、ライブなど、公式の場でARMYが送る「💜」に込められている愛の深さを彼らはちゃんと理解し、受け止めてくれているのですから、それ以上法外な手を使ってまで自分だけどうこうなろうと考える必要は一ミリもない。
あんな危険な目にはもう金輪際遭って欲しくない。
そんな当たり前のことをあらためて考えるに至りました。


聴く度に何度もこころを温めてもらえる、冬が良く似合う冬生まれのジンくんの素敵な冬の歌。
寒暖差で窓が曇っているのを見かけたら、ちょっと💜を落書きしたくなりそうです。




今回も最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。